「あの人、たぶん何も考えてないんですよ」
うちのサークルの二次会で、ある女性がグラスの縁を指でなぞりながらこぼした一言。三年付き合った彼氏の話だった。将来を聞いても「なるようになるっしょ」。貯金をどうするか振っても「まあ、なんとかなるって」。彼女はもう笑うしかなかったらしい。
この手の相談、イベントを何年も続けてるとやたら耳に入ってくる。
そもそも何も考えてない人って、どういう人?
受付に立っていると、初対面の数分で空気がわかる瞬間がある。会話がぜんぶ今で完結する人、いるんだよね。次いつ会う?の話が続かない。先の予定を組まない。人のスケジュールを確認しない。悪気はゼロ。むしろニコニコして感じがいいから、最初は誰も気づかない。
ところが恋愛が進むにつれて、この今しか見てない軽さがじわじわ効いてくる。デートの店選びはいつも相手まかせ。記念日をうっかり素通り。将来の話題になった途端、目が泳ぐ…。
押さえておきたいのは、考えてない=頭が悪い、ではないってこと。仕事はバリバリできる人だったりする。恋愛という一分野だけ、思考のスイッチが入らないタイプ。これがまた厄介なんだ。
恋愛で見えてくる特徴、現場で拾ったやつ
うちのイベントの常連だった三十代の男性、Kさんは話は面白いし、女性人気も高かった。でも付き合った子から後で聞いた話が、なかなかリアルでさ。デートの計画、一度も立ててくれなかったって。
彼の口ぐせは「どこでもいいよ」。優しさのつもりなんだよね、本人としては。でも受け取る側からすると、決めるのも気を回すのもぜんぶ自分の役目。一緒にいるのに、なんだか一人ぼっち。
目についた共通点を挙げると、相手に合わせているようで判断を丸ごと預けている。トラブルが起きても「まあいっか」で流す。踏み込んだ話を避ける。頭の中の将来の絵が、二人ぶんじゃなくて自分ぶんしかない。ここが決定的だったりするんだ。
実は考えてないわけじゃない、四つの心理タイプ
ここ、めちゃくちゃ誤解されてる。恋愛心理やカウンセリングの知見をかじると、考えてないように見える人の中身って、意外と枝分かれしてるらしい。
ひとつ目は、傷つくのが怖くて先を見ないタイプ。深く考えれば期待するし、期待すれば裏切られたときに痛い。だから最初から考えないフリで自分を守ってる。愛着スタイルでいう回避に近い動き、と語られることが多い。
ふたつ目は、恋愛の優先順位がそもそも低いタイプ。仕事や趣味に全振りで、恋愛は余った時間でやるもの、くらいの温度感。悪人じゃないよ。ただ、その温度差はしんどい。
三つ目は、決めるのが苦手なタイプ。日々こまごました選択に追われて、心のバッテリーが切れかけてる。恋愛の細かい場面まで気力が回らない。決断疲れってやつに近いのかもね。
四つ目は…ほんとに何も考えてないタイプ(笑)。これはもう、ね。でも実在するんだ。なぜか憎めなかったりするから困る。
同じ考えてないでも、中身がこれだけ違う。効く手当てもひとつじゃ足りないわけ。
男性と女性で、中身が少し違う
イベントで眺めてると、出方に差がある気がしてる。
男性の考えてないは、行動に表れやすい印象。連絡がざっくり、計画がぼんやり、記念日がすっぽ抜ける。本人は困ってなくて、指摘されて初めて「あ、そうだっけ?」ってなる。
女性の考えてないは、感情の勢いで進む子が多かった。その場のノリで動いちゃって、あとになって「なんでこうなったんだろ」。刹那の楽しさに強くて、コツコツ積み上げるのが不得意、みたいなね。
もちろん真逆のケースも山ほどある。性別でひとくくりにするのは乱暴だよ。ただ傾向として頭の隅に置くと、相手の言動の裏側が少し読めるようになる。
で、恋愛の末路って結局どうなるの?
イベントを回してきて見えてきた着地は、ざっくり五つ。
まず、浅い恋を繰り返してどれも長続きしないパターン。立ち上がりは早いのに、深まる前にあっけなく消える。相手が変わっても同じ場所でつまずく。本人は「縁がなかった」で片づけるけど、周りからすると理由は毎回おなじ…。
次に、尽くしてくれた相手に静かに去られるパターン。これがいちばん切ない。Kさんがまさにそうだった。彼女は文句ひとつ言わず、ある日ふっといなくなった。派手な喧嘩じゃない。蒸発みたいな去り方。彼は「なんで?」って本気で分かってなかった。分かってないこと自体が答えなんだけど、ね。
三つ目、結婚やお金といった段取りのいる場面でこける。付き合ってるうちは楽しい。でも同棲、結婚、子ども、と話が重くなるほど、計画を立てられない差が効いてくる。片方だけが未来の設計図を描いてる関係は、その紙の重さで沈んでいく。
四つ目、深い信頼が育たず、気づけば孤独。表面上は仲良し。だけど本音を交わした記憶がない。隣にいるのに、心はそれぞれ別の部屋にいる感じ。
そして五つ目は、救い。ちゃんと幸せな末路もあるんだよ。
考えてない人でも幸せになれる、たったひとつの条件
全員が不幸になるわけじゃない。
うちのサークル発で結婚まで行ったカップルがいてね。旦那さんが、絵に描いたような考えてないタイプだった。ところが奥さんが仕切り上手で、しかもそれを苦にしない人。「私が決めるの好きだから、ちょうどいいの」って笑ってたの、忘れられない(笑)。
噛み合えば、これが強い。片方が考え、片方がのびのび乗っかる。役割がハマって両方が納得してるなら、それは立派なひとつの形なんだ。
崩れるのは、考える側が我慢して回してる場合。同じ構図でも、なんで私ばっかり、の一言が芽生えた瞬間から、関係はゆっくり傾きはじめる。幸せと不幸を分けるのは、性格そのものじゃない。相性と、納得しているかどうか。ここだけは強めに言っておきたい。
相手を変える前に、あなたにできること
人を変えるのは、ほぼ無理。これは現場でさんざん見てきた実感。でも、関係の回し方なら変えられる。
考えてない相手には、選択肢を絞って手渡すと動きやすくなる。「どこでもいい」には「AとB、どっちがいい?」で返す。つかみどころのない人に広すぎる問いをぶつけても、フリーズさせるだけなんだよね(泣)。
将来の話は、詰問じゃなく共有の形にする。あなたはどうしたいの、より、私はこうしたいんだけど、どう思う?。責める言い方じゃなく、隣に並ぶ言い方。これで反応が変わる人は、変わる余地が残ってる人。
それでも手応えがゼロなら、それもれっきとした結論。伝え方を変え、時間もかけて、それでも動かないなら、相性の問題としてそっと線を引いていい。自分をすり減らしてまで続ける関係じゃないからね。

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