12月に入ると、うちのイベントに来る人たちの空気が少しだけ変わる。街がキラキラしはじめて、みんなどこか浮足立ってて。でも、その華やかさの裏で、妙にソワソワしてる子がいるんですよね。
去年の年末、交流会で隣になった20代後半の女性がぽつりとこぼした。「彼、年末年始はずっと実家で、たぶん10日くらい会えなくて」。声のトーンでわかる。会えないこと自体より、その先にあるものを怖がってる顔だった。
この時期って、なんでこんなに気持ちが揺れるんだろう…
たぶん、同じ夜を過ごしてる人がたくさんいる。だからまず、その不安の正体をほどくところから話したい。
年末年始に会わないカップルは、そんなに珍しくない
理由なんてバラバラよ。実家に帰る、親戚の集まりで身動きが取れない、仕事のシフトが年末年始こそ埋まる、遠距離でそもそも移動が丸一日がかり、あとは単純にお金がきつい。年末って出費がえげつないから。どれも、本人の気持ちとは関係ない外側の事情なんだよね。
なのに、会わない=関係が薄い、って式に変換しちゃう。ここがしんどさの入り口。
うちのサークルにずっと来てくれてる30代の男性が、前にこんな話をしてくれた。数年前、彼女が正月に全然連絡をくれなくて、「あー、もう冷めたんだな」って勝手に結論を出して、自分から距離を置いちゃったらしい。ところが後で聞いたら、彼女は親の通院付き添いと親戚対応でスマホを触る余裕すらなかっただけ。「勝手に振られた気になってた自分、ダサすぎでしょ」って笑ってたけど、これ、笑い事じゃないくらいよくある。
会えない数日を、勝手に物語にして怖くなる。人間って、そういうふうにできてるみたい。
付き合いたてで会えないと、なおさら不安になる
いちばん揺れるのは、付き合って日が浅いカップルかもしれない。
まだ相手の生活リズムも、連絡のクセも、つかみきれてない。その状態で最初の年末年始が来て、ぽっかり10日空くと、判断材料がなさすぎて不安が暴走する。この人こういうとき連絡くれる人なの、そもそも大事にしてくれてるの、ぜんぶ手探りだもんね。
秋に付き合いはじめたばかりの女性が、忘年会イベントで相談してくれたことがある。彼が年末に帰省して、返信がぐっと遅くなった。「もう飽きられた気がして、夜になると不安でドキッとする」って。でも彼女、そこで問い詰めなかったのが偉かった。年始に会ったとき、責めずに、実は正月ちょっと不安だったんだよね、と正直に伝えたら、彼のほうが、ごめん実家だと本気で時間なくて、って平謝りで。そこから二人で連絡のペースを決めたらしい。
浅い関係ほど、事故は一回の誤解から起きる。だから勝手に結論を出す前に、軽く言葉にしておくのが効くの。付き合いたての年末年始は、相手を試す期間じゃなくて、二人のリズムをすり合わせる最初のチャンス。そう捉えると、ちょっと楽になるよ。
しんどいのは「会えないこと」じゃなくて、その先の思い込み
正直、本当にきついのは「会えない」そのものじゃない。「会わない=私、大事にされてないのかも」っていう、静かな思い込みのほう。これがじわじわ効いてくる。
恋愛の心理を語るときによく出てくるのが、愛着スタイルという考え方。親しい相手とどう距離を取るか、そのクセみたいなもの。中でも不安を感じやすいタイプの人は、物理的な距離を、そのまま気持ちの距離に翻訳してしまいやすいと言われてる。連絡が一日途切れただけで「嫌われた?」まで一気に飛ぶ。あれね、性格が重いわけでも、あなたが悪いわけでもなくて、脳のクセに近い反応なんですよ。
しかも年末年始は、その思い込みを増幅させる装置がそこら中に転がってる。SNSを開けば、初詣デートの写真、カウントダウンで手をつないでる投稿、二人で年越しそば…。スクロールするたびに、うちだけ置いていかれてる気がして、モヤモヤが静かに積もる。あの比較、ほんとに心を削るよね。
でもさ、投稿されてるのは相手の「見せたい一瞬」だけ。写ってない23時間のケンカや沈黙は、絶対に出てこない。他人のハイライトと、自分の日常の不安を並べて比べたら、そりゃ勝てないに決まってる。
それにこれ、女性だけの悩みじゃないから。男の人も、口に出さないだけで同じように揺れてる。会えない正月に、彼女の楽しそうなストーリーを見て、俺いなくても平気なんだ…って勝手にへこむ。うちに相談に来る男性、意外と多いんですよ。不安に性別は関係ないんだなって、現場で何度も思う。
「会えない」と「会いたくない」は、分けて見る
ここで一本だけ、線を引いておきたい。似てるようで全然ちがう二つ。
会えない、は事情の話。帰省とか仕事とか、本人にもどうにもできない外側の壁があるだけ。この場合、会えない代わりに連絡はちゃんと続くし、次いつ会えるかの話も、放っておいても自然に出てくる。
会いたくない、は気持ちの話。事情の説明がないまま連絡がフェードアウトして、次の約束をのらりくらり避ける。理由を聞いてもふわっと濁される。こっちは、ちょっと立ち止まって様子を見たほうがいいサインかもしれない。
だから、会わない期間そのものに怯えるより、その間の連絡の中身を見たほうが早いの。毎日マメじゃなくていい。短いやりとりでも、ちゃんと会話としてキャッチボールになってるか。次に会う話が、ふつうに生きてるか。そこが保たれてるなら、10日会わなくたって関係はびくともしないから。
距離そのものは、悪者じゃない
会えない時間って、マイナスばっかりじゃないの。
恋愛の心理を語るときに、信頼が保たれている関係なら、しばらく離れて再会したときに気持ちがむしろ濃くなる、という話が出ることがある。ずっとベッタリだと薄れがちな新鮮さが、少しの距離で戻ってくる感覚。実際、うちのイベントでも、遠距離を経てきたカップルほど、再会の一回一回を大事にしてる印象がある。会える日が当たり前じゃないぶん、雑にならないんだよね。
もちろん、距離が勝手に信頼を育ててくれるわけじゃない。土台に安心があるかどうかで、意味が真逆になる。そこがぐらついてると、離れた時間はただ不安を増やすだけ。だから磨くべきは、会う頻度より、離れてても切れない安心のほうなんだと思う。
会えない年末年始、どう過ごすと関係が続くのか
じゃあ、その会えない数日、どう過ごすのが正解なのか。
長く続いてるカップルを見ていて共通してるのは、離れてる時間を無理に埋めようとしてないこと。ずっと通話をつなぎっぱなし、みたいな重い埋め方じゃなくて、もっと風通しがいい。
去年の交流会で知り合った遠距離の二人の過ごし方が、すごくよかった。大晦日、同じ映画を別々の家で同時に再生して、通話をつなぎながら一緒に観たんだって。「ここ怖いっ!」とか言い合いながらね。年が明けた瞬間だけビデオ通話に切り替えて、画面越しに乾杯。会ってないのに、ちゃんと一緒に年を越した感覚が残ったらしい。彼女いわく「隣にいるときより喋ったかも(笑)」って。
同時視聴じゃなくてもいい。通話をつなぎっぱなしで別々に年越しそばを茹でるとか、オンラインで初詣の配信を一緒に眺めるとか、ゲームで殴り合うのでも十分。同じ時間を共有した記憶が、一個でも残ればそれでいいの。
派手なイベントじゃなくていいの。会えないぶん効くのは、相手の“今いる場所”に軽く興味を向ける連絡。実家どう、親御さん元気?みたいな一言。これが意外と沁みる。反対に、寂しい・会いたい・いつ帰るの、を連打すると、相手は帰省先で板挟みになってしんどくなる。追い込むほど気持ちが遠のく、っていう皮肉な仕組みがそこにある。
それから、これは身も蓋もないんだけど、会えない時間を相手だけで埋めようとしないほうがいい。
年末年始って、自分をメンテナンスする絶好のタイミングでもあるのよ。積んでた本を崩すもよし、友達との忘年会でバカ騒ぎするもよし、帰省して家族とだらだら過ごすもよし。相手の通知を待って一日中スマホを握りしめてる正月と、自分の予定でちゃんと動いてる正月。同じ「会えない」でも、心の減り方がまるでちがうから。
うちの参加者に、この時期ずっと連絡待ちをして病んじゃった子がいてね。「既読がつかないだけで泣きそうになる自分、やばくない?」って。はぁ…その気持ち、わかりすぎてつらい。でも彼女が翌年やったのは、正月に一人旅を入れること。そしたら不思議と、彼から連絡が来ても「あ、来た」くらいの余裕で返せるようになったって。相手を追わなくなった瞬間、関係のほうが軽くなる。そういうこと、本当にあるんだよね。
会えない数日を、次に会う日への助走に変える手もある。正月明けどこ行く、を先に決めちゃうと、離れてる間の会話に芯が通るの。行きたいカフェのリンクを送り合ったり、初売りで狙ってるものを実況したり。会えないのに、ちゃんと同じ方向を見てる感じがする。
年賀状を送り合ったカップルもいたなぁ。今どき珍しいけど、彼が手書きの一枚をこっそりポストに入れておいて、彼女が元日に受け取って、思わず泣いた(泣)って。デジタルなら秒で届く時代に、あえて時間のかかるものを選ぶ。あの、届くまでのタイムラグごと気持ちを渡してるみたいで、ちょっとずるい演出よね。
連絡の頻度で迷うなら、ふだんのペースを年末年始だけ勝手に上げないこと。いつも一日一往復のカップルが、正月に急に返信を求めまくると、相手は戸惑うだけ。かといって、普段マメな二人が急に無言になるのも不安の火種。困ったら、帰省の前に一回だけ、この期間バタバタして返信ゆっくりになるね、と共有しておく。たったこれで、沈黙が事故じゃなくて予定に変わるの。想像で埋めなくてよくなるぶん、二人とも呼吸が楽になるはず。
会えない不安を、相手を試す行動に変えないこと
逆に、こじれる人のパターンもけっこうはっきりしてる。会えない不安を、相手を試す行動にすり替えちゃうやつ。
わざと連絡を減らして反応をうかがう。SNSの動きをこっそり監視する。私と家族、どっちが大事なの、みたいな踏み絵を迫る。これ、やってる本人もずっと苦しいし、やられたほうは静かに冷めていく。年明けにいちばん別れが増えるのは、会わなかったからじゃない。会えない間の不安の処理を、ちょっとミスったからなんだ。

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