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男顔美人がモテない本当の理由|フェミニンより効く隙の作り方

金曜の夜。初対面ばかりが集まる私たちの交流会で、会場のいちばん奥に、背筋をすっと伸ばして立つ女性がいた。切れ長の目に、通った鼻筋。笑うとほんの少しだけ鋭さがほどける横顔。近くの女性たちが「あの人めちゃくちゃ綺麗ですよね」ってこそこそ盛り上がってるのに、男性陣は誰ひとり寄っていかない。ぽつん、と、その一角だけ空気が違って見えた。

あとで彼女が、ジンジャーエール片手にこぼした一言を、今でも覚えてる。

「私、昔から美人って言われるんです。その割にモテないんですよねぇ…」

男顔美人でモテない、顔の造形そのものが原因で選ばれない、っていうのはほぼ嘘。会場には可愛い系もいれば、ふんわり地味めの子も、男顔の子もいる。で、実際にいい雰囲気になっていくのは、顔のタイプとほとんど関係ない。整いすぎてる人ほど、ぽっかり取り残されてたりする。その場面を、何度見たことか。

実際、こんなことがあった。別の回に、これぞ男顔って感じの、彫りの深い綺麗な人が来ててね。最初はやっぱり、男性たちが遠巻きにしてた。ところが乾杯のあと、彼女がふらっと自分から輪に入って、しかも自分の失敗談で場をどっと笑わせたの。そこから空気が一変。気づいたら、彼女の周りに人だかりができてた。同じ顔、同じ服。動き方ひとつで、ここまで変わるのかって、運営一同、口をあけて見てたよ!

じゃあ、いったい何が起きてるんだろう。ここがこの話のいちばん奥。

男顔美人が置かれてる状況をひとことで言うと、称賛と恋愛が、別々の窓口で処理されてる感じ。同性からは憧れられる。かっこいい、綺麗、そういう言葉はいっぱいもらえる。ところが男性の頭の中では、彼女は最初から候補のちょっと外に、そっと置かれちゃってる。

しかも皮肉なもので、周りの女性が、あの人かっこいい、素敵、って褒めれば褒めるほど、男性の腰は逆に引けていくの。同性からの高評価が、そのまま男性にとっての参入障壁に化ける。褒められてるのに、遠ざけられてる。この矛盾のど真ん中に、ずっと立たされてるんだよね。

からくりはシンプルさ。多くの男性はプライドの生き物なのに、びっくりするくらい自信がない。綺麗な女性を前にすると、どうせ彼氏いるっしょ、話しかけても相手にされないでしょ、って心の中で完結して、勝手に引いていく。声をかける前に、脳内でもう振られてるわけ。この一人相撲が、彼女の半径2メートルから男性を静かに押し出してる。

実際、後日ある男性参加者に、なんであの綺麗な人に話しかけなかったの?って聞いてみたのね。返ってきたのは、いや、あの人は完成されすぎてて、俺が入り込む隙間がなかった、っていう一言。隙間、か。このぼやき、けっこう核心を突いてると思うんだよなぁ。

心理カウンセリングの現場でもよく言われるらしいけど、人は、自分より価値が高いと感じる相手には近づきにくい。見た目の際立つ女性は、それだけで相手のハードルを無意識に吊り上げてしまう。だから、あなたが少し隙を見せるのは、相手のハードルをちょっと下げてあげる優しさでもあるんだよね。

つまり最初の壁は、彼女の顔じゃない。近づく前に蒸発しちゃう、男性側の勇気のほう。そしてもう一枚、これはちょっと言いにくいんだけど…彼女自身が、その空気を無自覚に濃くしてる場合がある。

交流会でずっと見てると、くっきり分かれる瞬間があるの。話しかけられたとき、ふっと肩の力を抜いて、へえ、そうなんだ、って半歩身を乗り出す人。かたや、姿勢はきれいなまま、質問に短く正確に答えて、それ以上は開かない人。後者は、性格が悪いわけじゃ全然ない。真面目で、隙を見せたら負け、みたいな緊張を、何年も着込んでるだけ。でも受け取る側には、それが分厚い壁として届いちゃうんだよなぁ。

表情の話も外せないよね。キリッとした目元の人は、ただ真剣に考えてるだけで、怒ってる?機嫌わるい?って誤解されがち。自分では普通にしてるつもりなのに、あとで写真を見返して、うわ私こんな顔してたんだ、ってなった経験、ある人いるでしょ。無表情が、そのまま拒絶のサインに翻訳されちゃう。話を聞くときに、ほんの少し口角を上げて、うなずきを大きめにするだけで、相手の安心感がまるっきり変わる。笑わなくていい。ちょっと、ゆるめるだけ。

もうひとつ、現場でじわじわ効いてるのが、自分から動くか動かないか。顔立ちの整った人ほど、待ってれば来るはず、っていう受け身が骨まで染みてることがある。学生の頃はそれで回った。でも社会に出てからの出会いの場だと、待ちの姿勢は、無関心とほぼ見分けがつかないの。声をかけられないんじゃなくて、かけていいのか判断できずに、周りがずっと様子見してる。それだけの話だったりする。

前にこんな子がいた。ずっと待ちの姿勢だった女性が、あるとき思い立って、来た人に片っ端から、お仕事なにされてるんですか?って自分から一言だけ振るようにしてみたの。たったそれだけで、その日は彼女の周りの会話が、最後まで途切れなかった。気の利いたトークなんていらない。最初のひと声を相手任せにしない、ってだけで、見える景色がこんなに変わるんだって、しみじみしたよ。

ここまで読んで、うっすら気づいてる人もいるかも。もしかして、顔のせいじゃないのかも、って。その予感、当たってることが多い。でもね、顔のせいにしておくほうが、実はちょっと楽なんだよ。顔は変えられないから、諦めがつく。仕方ないよね、でそこで話を終われる。原因が態度や動き方だと認めた瞬間、変えられるぶん、変えなきゃいけなくなる。そっちのほうが、正直こわい。この逃げ場、責める気はまったくないよ。ただ、その扉の先にこそ、いちばん効く答えが置いてある。

で、ここで多くの人が舵を切る方向が、じゃあ女らしくすればいいのね、っていう路線変更。フリルのブラウス、甘めのリップ、語尾もふんわり。気持ちはすごく分かる。分かるんだけど…これがなかなか危ない橋なの。

男顔の人が急に全身を可愛い側へ振ると、本人も落ち着かないし、周りは違和感をめざとく拾う。無理してる感、ってやつね。長年クールな人として扱われてきたぶん、キャラを丸ごと着替えると、痛いと見られるリスクまで出てくる。せっかくの持ち味を、自分の手で薄めにいってることも多い。はぁ…それ、めちゃくちゃもったいないんだよぉ。

効くのは、女らしさを盛ることじゃないんだ。隙を、ひとつ、ぽとりと落とすこと。

隙って何、って感じだよね。私たちの会場でカップル成立まで見届けた例を思い返すと、決まって共通してたのが、ほんの小さな崩れなの。凛とした女性が、飲み物こぼして「うわっ、やば」って素で吹き出した瞬間。真剣な話をしてたのに、ふいに、これ実はすごい苦手で、って弱いところを一枚だけ開けた瞬間。その落差で、隣の男性の表情がふにゃっとゆるむ。ギャップは、どんな可愛い服より雄弁。会話の途中で、あ、今の噛んだ、って自分でつっこんで笑っちゃう人も強いよ。完璧に喋りきる人より、ちょっとつっかえて照れる人のほうが、なぜか距離が近い。

心理の言葉を借りるなら、自己開示の返報性、って呼ばれる働きが近い。人は、弱みをちらっと見せてくれた相手に、自分もつい心を開きたくなる。すきのない人には、近づきようがないんだよね、そもそも。

頼り方も、根っこは一緒。顔の整った人は、自分でできちゃうから、つい全部さばいてしまう。仕事なら文句なしの資質。でも恋愛だと、相手の出番をまるっと奪ってることがある。俺、いなくてよくない?って思わせた瞬間、男性の恋愛スイッチは、かちっと静かに切れちゃう。だからほんの少しでいいから、これお願いしてもいいですか、を会話に混ぜてみて。重い荷物、席取り、二次会の店選び、なんでもいい。前にね、ずっと一人で完璧にこなしてた女性が、思いきって隣の男性に、このへんで美味しいお店どこだと思います?って一つ委ねてみたことがあった。たったそれだけ。なのに彼、急にいきいきし出して、スマホ取り出して真剣に探し始めて。終わる頃には、連絡先を交換してたよ!頼られた男性の顔って、ちょっと誇らしげで、わりと可愛いんだよなぁ。

念のためだけど、隙も、頼るのも、やりすぎたら逆効果だからね。あざとさと一緒で、狙ってる感が透けると、一気にしらける。あくまで、素のあなたがたまにこぼれるくらいが、ちょうどいい塩梅。計算し尽くした隙は、もう隙じゃないから。

失敗のかたちも、ひとつ置いておくね。以前、アドバイスを真に受けすぎた参加者が、次の回で急に甘えキャラを全開にして現れたことがあった。語尾を伸ばして、上目遣いで、あざとさマックス。会場が、しーん(笑)。本人もやりながら顔が引きつってて(うわ、やっちゃってる…)、見ててこっちが切なくなっちゃった(泣)。付け焼き刃のキャラは、隙じゃなくて、無理として伝わる。素のあなたが、ちょっとだけこぼれる。それが隙。演技とは、まるで別もの。

見た目の話も、ちょっとだけ。男顔を消しにいくんじゃなくて、活かす方向で考えたいんだよね。シャープな顔立ちは、華奢なパーツと相性がいい。耳元で小さく揺れるピアス、首元のきゃしゃなライン。顔の強さはそのままに、周りに柔らかい動きをひとつ添えるイメージ。メイクも、塗り替えるより、目元をほんのり丸く抜くくらいで、印象はふわっと変わる。服だって同じ発想でいけるよ。全身を甘くするんじゃなくて、かっちりしたパンツスタイルの足元だけ、女性らしいヒールをすとんと合わせる。強さと柔らかさが、一人のなかで同居してる感じ。この緩急が、男顔をいちばん魅力的に見せてくれるんだよね。全部いじらなくていいの。一箇所、ゆるめるだけ。

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