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素朴だねと言われる女性が恋愛でいい人止まりになる理由

交流会が終わって、椅子を片付けていたときだった。二十八歳の彼女が、ぽつりと私の横に立った。さっきまで男性三人に囲まれて笑っていたはずなのに、表情が沈んでる。

素朴だねって言われたんですけど、あれ、どういう意味なんでしょう。

この質問、何十回聞いたかわからない。しかも聞いてくる人はだいたい、その場でいちばん感じのいい女性なんだよね。

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その言葉が出た瞬間、男性が見ているもの

素朴という言葉が飛んでくる場面には、はっきりした型がある。三年ほど参加者の会話を横で拾ってきて、そこだけは確信を持ってる。

ひとつは、会話がひと通り盛り上がったあと。相手が笑って、少し間があって、それから出てくるパターン。この場合は好意寄り。話していて疲れなかった、という感想が言葉に変換されてるだけ。

もうひとつが、自己紹介の直後。まだ何も話してないのに出てくるやつ。これは容姿の第一印象を、失礼にならない語彙に翻訳した結果であることが多い。悪意はないけど、褒めてもいない。ニュートラルな棚に置かれた状態、と言ったほうが近いかな。

見分けるポイントは、その後に質問が続くかどうか。素朴だねで会話が止まったら値踏み、そこから趣味や休日の話に潜っていったら好意。単純だけど、現場で見てるとこれがけっこう当たるんだよね。

面白いのは、男性側に理由を聞いたときの答え。顔の話をしてる人はほとんどいなかった。返ってくるのは、話しやすかった、盛らない感じがした、変に気を遣わなくてよかった。つまり評価されてるのは容姿じゃなくて、相手の緊張を下げる能力のほう。

清楚とも天然とも違う、微妙な立ち位置

清楚は見た目の管理が行き届いている前提の言葉で、けっこう距離がある。純粋は精神性への評価だから、恋愛対象というより保護欲に近い温度。天然は面白がられている状態で、いじりの入口。地味はそのままの意味で、口に出せば角が立つ。

素朴はこの真ん中あたりに浮いてる。だから受け取った側が判定できない。褒められた気もするし、遠回しに何か言われた気もする。この宙ぶらりんが、いちばんしんどい。

聞き返せないのも厳しいところ。それ褒めてます?なんて確認したら、気にしてることが一瞬でバレる。

言われたときの返し方で、その後が変わる

ここ、意外と伸びしろがある。

いちばん多いのが、そうですかね…と受け流すやつ。謙遜のつもりでも、相手には否定と伝わる。褒めたのに拒否された、と感じた男性が次の話題を出しづらくなる場面を、何度も見てきた。

うまい人はどうしてるか。素朴って初めて言われました、と驚きを返してた。相手の言葉を受け取ったうえで、会話をもう一往復させてる。ここで相手は、自分の発言が届いたことを確認できる。

もう少し攻めるなら、それって褒めてます?と笑いながら聞き返す手もある。実際にやった三十歳の女性がいて、その場が一瞬ざわっとしたあと、男性が慌てて説明を始めた。結果、その会でいちばん長く話した相手になった。攻撃的にならない範囲で、感情を表に出せる人は強い。

入口で不利、後半で逆転する構造

立食形式の会を見てると、最初の三十分は情報量の勝負になる。服の色、髪型、声の大きさ。パッと目を引く要素を持ってる人に人が集まる。素朴系がここで埋もれるのは、能力の差じゃなくて表示形式の問題。

ところが一時間を過ぎたあたりから、動きが変わる。派手めのグループから人が抜けはじめて、静かに話していたテーブルに移動が起きる。気を張り続けるのがしんどくなるんだと思う。

心理学でいう単純接触効果は、繰り返し会うほど好感度が上がるという話。素朴な人の魅力は、この時間軸のうえで効いてくるタイプ。逆に言えば、二時間で判定される場は苦手ということ。マッチングアプリの一覧画面が地獄なのも、同じ理屈でしょ。

だから戦い方は、時間をかけられる場所を選ぶこと。単発の合コンより、月一で顔を合わせるコミュニティのほうが結果が出やすい。実際、うちのサークルで交際に至ったケースは、三回目以降の参加者どうしが圧倒的に多かった。

いい人止まりの正体は、顔じゃなかった

一緒にいて落ち着くって言われるのに、告白されないんです。

この相談も定番。原因を見た目だと思い込んでる人が九割くらいいるけど、現場で観察してると別のものが見えてくる。

ある男性が会の途中で、あの子いいよね、素朴で、とこぼした。じゃあ連絡先聞けば、と促したら、いや脈なさそうだから、と。彼女は彼と四十分も話してたのに。

何が起きてたか。彼女、話は聞いてたけど、表情がほとんど動いてなかったんだよね。うなずきは小さく、笑うときも声が出ない。本人にあとで聞いたら、めちゃくちゃ楽しかったです、と言う。楽しんでた。でも伝わってない。

男性は好意のサインを探しながら話してる。特に自信のない人ほど、断られる可能性を計算してから動く。反応が読み取れない相手は、興味なしと分類して撤退する。ここで両者がすれ違う。

好意の返報性という考え方がある。人は自分に好意を向けてくれる相手を好きになりやすい、というやつ。素朴な人は好意を持っていても外に出す量が少ないから、この歯車が回らないまま終わる。

変わるべきか、このままでいるべきか

この問いで固まってる人、本当に多い。

変えて選ばれたら、素の私が愛されたわけじゃないと感じる。変えずに選ばれなかったら、素の私に価値がないと突きつけられる。どっちに転んでも傷つく。だから動けなくなる。

ぐるぐる考えてる時点で、前提がひとつずれてる。変える対象を中身だと思ってるところ。

派手にしろとは言わない。趣味を偽れとも言わない。変えるのは伝わり方のほうで、盛るんじゃなくて届ける作業。

具体的にはこの三つ。まず、面白いと思ったときに声を出して笑う。心の中で笑ってるのは相手に見えないから。次に、返信の温度をひとつ上げる。了解ですで終わらせず、そこ行ってみたいですを足す。最後に、自己開示の順番。相手の話を聞くのが得意な人ほど、自分の情報を出さないまま終わる。聞かれる前に、少しだけ自分から渡す。

三十四歳の女性が、笑うときに声を出すことだけを意識して三回参加した。四回目に食事に誘われて、いまも続いてる。本人いわく、何も変えてないのに、と。実際、変えたのは音量だけなんだよね。

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