イベントの打ち上げが解散した深夜1時すぎ。スマホがぴこん、と鳴った。半年ほど通ってくれているMさんからのLINE。
「今度ごはん行く人が、個室のお店予約したよって送ってきて…これ、どう思います?」
この手の相談、多い。文面の温度がだいたい同じなのが面白いところでね。みんな最後に、気にしすぎですかね、って一言添えてくるんだよなぁ。
胸のあたりがざわざわする。だけど断る理由がうまく言葉にならない。めんどくさい女だと思われたくない。この三つが同時に来る。
個室という情報は、思っているより中身が薄い
サークルの二次会、私はけっこうな頻度で個室を押さえてる。理由は色気も何もなくて、フロアだと声が通らないから。20人で乾杯したら隣の人の名前すら聞き取れない。人数の増減にも対応してもらいやすい。ただそれだけ。
つまり個室単体には、下心の証拠能力がほぼない。裁判で言えば状況証拠にすらならないレベル。
じゃあ何も分からないのかというと、そうでもないの。判断材料は個室そのものじゃなくて、その個室をどう伝えてきたかに全部出る。
現場で聞いた、個室を選ぶ側の頭の中
打ち上げの席で男性参加者に何度も聞いてきた質問がある。初対面の食事、どうやって店決めてる?
返ってきた答えは、雑にまとめると五つくらいに割れた。
一番多かったのが、ちゃんと会話したいから静かな場所、という理由。声が小さい人ほどこれを言う。次に、予約できる男に見られたい見栄。三つ目が、これ本当に多いんだけど、予約サイトで検索したら上位が個室居酒屋だらけだった、という段取り不精。何も考えてない(笑)。
四つ目が距離を詰めたい下心。ここで厄介なのが、本人としては本命のつもりで選んでいるケースが混ざること。悪意の有無と、こちらの安全は別の話なんだけどね。
そして五つ目。人目を避けたい事情がある人。既婚だったり、社内で噂になりたくなかったり。この層だけは、個室という選択に明確な動機がある。
見るべきは、予約の伝え方
Kさんという30代前半の参加者がいてね。彼女、アプリで知り合った男性から個室予約の連絡をもらって、正直ちょっと引いたらしいの。
でも続きのメッセージを見て気が変わった。お店のリンクとコース内容、それから、21時半には出ようと思ってます、の一文。予約前に、苦手な食材あれば教えてくださいとも聞かれていた。
彼女いわく、この人は私が緊張することを想像してくれてる、と感じたそう。今も続いてる。
一方、当日まで店名を伏せて、駅着いたら連絡して、しか送ってこない人。あるいは日程だけ決めて詳細を渡さない人。悪人だと決めつける気はないけど、こちらが不安になる可能性を一度も計算に入れていないのは確か。
伝え方に出るのは、下心の有無より想像力の有無。ここが分かると、判断がぐっと楽になる。
あわせて確認したいのが四つ。開始時刻が20時以降に寄っているか。店が相手の自宅の最寄り駅に不自然に近くないか。コースの時間が3時間などやたら長くないか。会う前から二次会の話をちらつかせてくるか。
一つ当てはまる程度なら気にしすぎ。三つ重なったら、そこは自分の直感を信じていい場所。
行くか断るかの二択、捨てていいよ
ここが一番言いたかったところ。
多くの記事が、危ないから断りましょうで終わる。でも読んでる本人が本当に欲しいのは、安全も確保したいし関係も切りたくない、という欲張りな第三の道でしょ?
これ、実はけっこう簡単に作れる。
まず店の変更提案。行きたいお店がひとつあるんですけど、そこでもいいですか、と先にこちらから投げる。断ってるんじゃなくて、こっちが乗り気だと伝わる形になる。承諾率、体感でかなり高いよ。
次に時間で区切る。その日22時に家族と電話の約束があって、と最初に置いておく。時間の門限があるとわかった時点で、長期戦を狙っていた人は自然に離れていく。
それから位置情報の共有。iPhoneでもLINEでも、友達ひとりに数時間だけ共有をオンにしておく。誰にも言わずにできるし、この保険があるだけで、当日そわそわしないで済むのが大きい。
一軒目をカフェにしてもらう手もある。夕方に会って、話が合えばそのままご飯へ。合わなければ2時間で解散。試着みたいな感覚。
こういう場面は、切り分けて考えて
職場の上司から個室で二人の食事に誘われた場合。これは恋愛の話というより、断りにくさの構造そのものが問題なんだよね。相手が悪気ゼロの可能性も普通にある。使えるのは、人数を足すか、時間帯を昼へずらすか。同期のAさんも誘っていいですか、あるいは、平日夜は難しいのでランチでもいいですか。この二枚で大半は片づく。
マッチングアプリの初対面で個室指定。アプリに慣れている人ほど初回は個室を避ける傾向があって、これはお互いの安全を知っているから。だから個室提案そのものが、慣れていないだけのサインだったりもする。悪人判定より前に、初回はオープンな席がいいですと伝えてみて、反応を見るのが早い。
男友達から急に個室に誘われたとき。関係の温度を変えたいサインである確率が上がる。こちらにその気があるなら乗ればいいし、ないなら今まで通りの店を提案すればいい。それだけで意思は伝わるから。
既婚男性のケースだけは、はっきり言うね。人目を避ける動機が本人の側にある。ここで悩む時間は、あんまり自分のためにならないと思う。
断らずに済む言い換え、いくつか
NGから先に。遠回しすぎて伝わらない言い方、相手の人格を疑うような言い方、それから嘘の体調不良を重ねること。三つ目は一回なら通るけど、二回目でバレる。バレたときのダメージがでかい(泣)。
使いやすいのはこのあたり。
行きたいお店を先に出す形なら、実は気になってるお店があって、そこ予約してみてもいいですか。空間の好みに乗せるなら、個室だと逆に緊張しちゃうタイプで、カウンターとか賑やかな席のほうが話せるんです。時間で切るなら、その日は22時までしかいられなくて、短くても大丈夫ならぜひ。
正直に言うパターンもちゃんと機能するよ。初対面で個室だと少し緊張しちゃうので、次の機会なら嬉しいです。この言い方、相手を否定していないのに希望だけ通る。
どれを使うにしても、次に会いたい気持ちを一行だけ添える。断りの本体より、その一行のほうが相手の受け取り方を決める。
反応こそが、最大の答え合わせ
伝えたあと、相手がどう返してくるか。ここまで見て、ようやく判断材料が揃う。
じゃあこっちにしましょう、と別の店をすぐ出してくる人。全然大丈夫です、と一言で流してくれる人。この二種類なら、あなたの快適さを自分の予定より上に置いた、ということ。
逆に、なんで?と食い下がる人。個室のほうが落ち着くから、と自分の都合を繰り返す人。急にトーンが冷たくなって、しーんと既読だけついた人。
溜め息が出るかもしれないけど、会う前に分かったのはかなり大きい。誘われた段階での違和感って、後から振り返ると当たってることが多いんだよね。次に行こう!

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