12月のイベント終わり、片付けを手伝ってくれた29歳の女性がぽつりと言ったんだよね。
「最近、誰でもいいから抱きしめてほしいって思うんです。こんな自分、気持ち悪くないですか」って。
社会人の出会いイベントサークルやってると帰りの飲みの席では毎年同じ悩みを聞くわけ。人肌恋しい自分がキモい。逆に、恋人は欲しいのに触られるのが無理。正反対に見えるこの2つ、根っこは繋がってるんだよなぁ。会場で見てきたものだけで書いていくね。
人肌恋しさには、ちゃんと名前がある
スキンハンガー。日本語だと肌飢餓。人との触れ合いが足りないと心や体に不調が出る状態として、心理学で研究されてる現象でさ。コロナ禍のあと一気に知られるようになった言葉でもある。
肌が触れ合うとオキシトシンというホルモンが出て、ストレスホルモンのコルチゾールが下がる。触れ合いが長く途切れると、不安が増したり眠りが浅くなったりすると言われてる。要は、人肌恋しいって空腹や眠気と同じ欠乏サインなんだよ。お腹が鳴った自分を気持ち悪いとは思わないっしょ?あれと同じ仕組み。
なのにこの欲求だけ、なんで恥ずかしく感じるんだろうね。寂しいと認めたら負け、みたいな空気のせいだと私は踏んでる。SNSじゃ充実してる風に見せるのがデフォルトだし。でも受付で何百人も迎えてきた立場から言わせてもらうと、寂しいって素直に口にできる人のほうが、結果的にいい出会い方をしてる。これはマジ。
急に人肌恋しくなる夜、引き金はだいたいこの4つ
うちのサークル、11月から1月の申込みが他の月よりはっきり多い。寒くなると身を寄せ合いたくなる本能に加えて、日照時間が減ってセロトニンが下がる影響が大きいらしい。気分が沈みやすい季節に、温もりへの欲求だけがぽっかり浮かび上がる構図ね。
失恋直後も強烈。体って記憶するんだよ。隣で寝てた人の体温、腕の重さ、布団の中の距離感。あれが急に消えると禁断症状に近い状態になる。失恋ホヤホヤで参加してくる人、だいたい目が泳いでるからすぐわかる(笑)。
3つ目は疲れ。仕事で削られてる時期ほど、人は甘えたくなる。看病してほしい、頭を撫でてほしい、ご飯を作ってほしい。弱ってる心が、人の優しさで帳尻を合わせようとするのね。
最後がSNS。深夜にカップルの投稿を見ちゃった夜、胸がぎゅっと苦しくなるあれ。比較で寂しさが増幅されてるだけで、あなたに何かが欠けてるわけじゃないからね。
それでも自分を気持ち悪いと感じてしまう理由
イベント後のアンケート、自由記入欄にこう書いた人がいた。彼氏が欲しいというより人間の体温が欲しい、こんなこと書いてすみません、って。すみませんって謝るところに全部詰まってるんだよ。欲求そのものより、欲求を持った自分への罪悪感のほうがよっぽど重い。
バーベキュー回で知り合った35歳の男性も似たこと言ってたなぁ。男が寂しいなんて口にしたら終わりでしょって、笑いながらさ。終わらないよ。むしろ言えないまま溜め込むほうが、変な方向に漏れる。
自己嫌悪の正体は2つあると見てる。1つは、寂しさと性欲の混同。触れたい気持ちに勝手に性的な意味づけをして、自分はヤバい人間だと裁いてしまうパターン。実際は別々の欲求で、両方あって普通だし、混ざる日があってもおかしくない。
もう1つは、抱きしめてほしいの中身が実は承認だってこと。このままの自分でいていいって、誰かに保証してほしい。温もりが欲しいんじゃなくて許可が欲しい。飲みの席で深掘りしていくと、ここに辿り着く人がほんと多い。だから恋人ができても満たされないケースが出てくるわけ。求めてたのが体温じゃなかったんだから、そりゃそうなんだよね。
恋愛したいのに、触られるとゾワッとする矛盾の正体
半年くらい通ってくれてたMさんという女性がいてさ。彼氏欲しいと公言してたし、会話も弾むタイプ。なのに、いい感じだった男性に肩を軽く触れられた瞬間、ゾワッと鳥肌が立って固まっちゃったんだって。後日、私壊れてますかねと打ち明けられた。
壊れてない。求める気持ちと拒む反応は、別の回路で動いてるだけ。
心理学に愛着スタイルという考え方がある。中でも回避型と呼ばれるタイプは、親密さを求めながら、いざ距離が縮まると防衛反応が先に出ちゃう。幼い頃スキンシップの少ない家庭で育った人に出やすいとされてて、Mさんも思い当たる節があると話してた。ほかにも、過去の恋愛や性的な嫌な経験が体に残ってるケース。単純に相手との相性や距離の詰め方が合ってないだけのケース。そもそも性的な接触への欲求が薄いセクシュアリティの可能性だってある。候補はいくつもあって、どれも異常じゃないんだよ。
会場で観察してると、触られるのが苦手な人はけっこう見分けがつく。壁際に立つ。バッグを体の前で抱える。乾杯のグラスを胸の高さでずっとキープする。本人は無意識ね。だから席替えのとき、私はその人の隣じゃなく正面に気になる相手が来るよう組む。横並びは距離が近すぎて防衛が発動しがちだけど、向かい合わせなら平気な人が多いから。
Mさんはその後、ボードゲームや料理みたいに手元へ視線が落ちる回だけ選んで参加を続けた。視線が交差しすぎないし、沈黙も怖くない。接触ゼロでも、一緒に何かする時間は積み上がるんだよ。1年近くかけて、急かさない男性と付き合ったと報告をくれた。手を繋ぐまで3ヶ月かかりました(笑)って。いいんだよ、それで!恋愛に速度規定なんてないんだから。
今夜できる対処法10選
恋人を作るには時間がかかる。でも肌飢餓のケアは今夜から始められる。参加者たちから聞き集めて、実際に効いてた方法を置いとくね。
①湯船に10分浸かる。皮膚全体が温まると、じんわり満たされていく感覚が想像以上に抱擁へ近い。
②セルフハグ。腕を交差して二の腕をゆっくり撫でるだけでもオキシトシンは出るって話。バカにしてた人ほどハマる。
③抱き枕かぬいぐるみを抱えて寝る。重めの毛布もいい。包まれる圧がそのまま安心になるのね。
④猫カフェや保護犬カフェに行く。動物の体温、効きすぎて泣く人までいる(笑)。
⑤整体、ヘッドスパ、美容院。プロの手を借りる、堂々としたスキンシップってわけ。
⑥友達と銭湯やサウナへ。触れなくても、人の気配と湯気でかなりほぐれるし。
⑦寝る前に5分だけ電話する。声って聴覚の肌みたいなもので、文字の10倍あったかい。
⑧軽い運動かダンス。セロトニンを自家発電するイメージでさ。
⑨温かい飲み物を両手で包んで飲む。手のひらの温度が安心感に変わるなんて研究もあるんだよ。ぽかぽかは正義。
⑩寂しさを紙に書き出す。欲しいのは体温か、承認か、性欲か。分けて書くだけで夜中の暴走が止まる。
全部やる必要はないからね。今夜ひとつだけ。
寂しさのまま、恋愛を始めていいのか
毎年11月になると元カノに連絡して、春には後悔してる常連の男性がいる。(おいおい、今年もか…)と見守ってるけど、寂しさが燃料の恋愛って、タンクが満ちた瞬間に行き先を見失うんだよ。誰でもよかった相手は、寂しくなくなった途端、誰でもなくなる。残酷だけど毎年見てる光景。
じゃあ寂しさきっかけの恋が全部ダメかというと、そうでもないのが運営目線の答えでさ。うまくいった人たちの共通点はシンプルだった。先に自分の肌飢餓をある程度、自分で埋めてから動いてたの。さっきの10個で土台を作って、足りないから探すんじゃなく、満ちてるけど分かち合いたいから探す。この状態の人は焦って連絡先を聞かないし、距離の詰め方が柔らかい。だから選ばれる。
人肌恋しいあなたも、触られたくないあなたも、欠陥品じゃなくてただの人間。寂しさはお腹の音と同じで、鳴ったら何か入れてあげればいいだけなんだよ。とりあえず今夜は、湯船いっとこ。

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