イベント終わりの片付け中、男性参加者がぽつりとこぼした。「俺、あの人に何かしましたかね」と。聞けば、同じテーブルの女性にひと晩中ちくちくやられていたらしい。
へぇ、意外と気が利くんですね。ふぅん、どうせモテるんでしょ。そういうやつ。本人は割と本気でへこんでた。
社会人サークルの飲み会で、出会いの瞬間を横から眺めてきましたがその立場から言わせてもらうと、嫌味を言う女性の正体はひとつじゃありません。好意の裏返しのこともあれば、ただの八つ当たりも、本気の拒絶もある。読み違えると、せっかくの縁を自分から切ってしまうし、あるいは消耗するだけの相手へ延々と粘ってしまう。どちらの事故も現場で何度も見ました。
嫌味を言う女性の心理。現場で見えてきた5つの顔
パターンはおおよそ五つ。
好きすぎて素直になれない、いわゆる好き避け
いちばん切ないのがこれ。気になる男性の前でだけ、なぜか攻撃モードに入ってしまう女性、本当にいます。心理学では反動形成と呼ばれる心の防衛で、認めたくない感情がひっくり返って表へ出てくる現象です。セーターを裏返しに着ているようなものなんですよね。縫い目が外に飛び出して、見た目はとげだらけ。中身はちゃんと好意だったりします。
見抜くヒントは温度差。グループの輪では強気に毒を吐くのに、ふたりきりになった瞬間、急に口数が減って目も合わせてこない。この落差がある人は、攻撃しているのではなく緊張している可能性が高いです。素直になれない人ほど、観客のいる場でしか強がれないんですよ。
後日、カップル成立の報告に来てくれた女性が白状していました。「好きすぎて優しくできなかった。われながら小学生か!って感じ」と(笑)。あの夜ぐさっと刺されていた男性が、今は隣で笑っているんだから、世の中わからないものです。
構ってほしい、反応を試したい
嫌味を投げて、あなたの反応をじっと観察しているパターンもあります。怒るのか、笑うのか、流すのか。心理学で試し行動と呼ばれる振る舞いに近くて、安心して甘えられる相手かどうかを確かめている節がある。子どもっぽい?確かに。ただ、興味ゼロの相手へわざわざ試験なんて出しません。返信がちょっと遅れただけで、どうせ私は後回しなんでしょ、と飛んでくるのも同系統です。放っておかれる不安を、皮肉の形でしかノックできない人がいるんですよ。
嫉妬や劣等感が先制攻撃に化ける
あなたが誰かに褒められた直後や、他の女性と楽しそうに話した直後にだけトゲが飛んでくるなら、引き金は嫉妬かも。自分の立ち位置が揺らいだ気がして、先にひと刺しして心の均衡を取り戻すわけです。ただし恋愛感情とは限りません。運営を手伝って褒められた男性に毎回嫌味を言う女性がいて、てっきり脈ありかと思いきや、後から聞けば単に張り合っていただけだった、というオチも実際にありました。ここは前後の文脈で慎重に。
ストレスのはけ口、あるいはただの口癖
虫の居所が悪くて毒を撒くタイプと、皮肉が標準語になってしまっているタイプ。後者は厄介で、本人に悪気がほぼありません。皮肉の飛び交う職場に長くいた人、家庭の会話がそういうノリだった人に目立つ印象です。この場合あなたが特別なわけではなく、隣の席の参加者にも同じ調子のはず。観察すればすぐ見抜けます。対処もシンプルで、真に受けないと決めるだけ。BGMだと思えば、腹の立ち方が半分になります。
本気で距離を置きたい
残念ながら、これも存在します。はっきり拒絶すると角が立つから、嫌味で空気を重くして遠ざけようとする。嫌味以外の接触が一切増えないのが特徴で、誘いはことごとく断られ、目も合わない。次の章で挙げるサインと真逆の動きをします。数としては少ないけれど、見落とすと痛い。
その嫌味は脈あり?現場で当たってきた見分け方
コツは、嫌味そのものより前後を見ることです。
まず、あなた限定かどうか。周りには天使みたいに優しいのに、自分にだけトゲがある。これは良くも悪くも区別されている証拠です。全員に毒を吐いているなら、それはもう人柄の問題。
次に、言った後の動き。一瞬こちらの表情を確かめる。後から妙なフォローが入る。なんだかんだ接点を切らない。三拍子そろったときの脈あり率、体感ではかなり高めです。言いっぱなしで視線も合わず、連絡も次回の参加も避けられるなら、深追いは禁物。
単発か継続かも見てください。たまたま機嫌の悪い日の一発なら流していい。三回続いたら何かしらの意味がある、くらいの粗い目安で十分です。
似て非なるものに、いじりがあります。境界線は笑った後の感触で、いじりは一緒に笑えて何も残らない。嫌味は、笑ったはずなのに胸の奥がうっすら冷える。場が湿るかどうかで判断していました。
目線も正直です。言い終えた後にこちらの顔を見られない人と、反応を待つようにじっと見てくる人。前者は照れ、後者はこちらの出方を測っているタイプ。どちらにせよ関心はあります。完全に興味のない相手の顔色なんて、人はうかがいませんから。
運営ならではの観測ポイントもひとつ。席替えのタイミングです。嫌味を言うわりに、自由席になると毎回近くへ座ってくる女性がいました。口ではどうせ私のことなんて、とか言いながら、距離は嘘をつかない。半年後、そのふたりは付き合いました。イベント後のお礼LINEだけ妙に絵文字が多い、なんてケースもあって、対面の毒と画面の甘さの落差はわかりやすいヒントになります。
嫌味の中身も情報源です。モテるくせに。どうせ週末も予定パンパンなんでしょ。こういう台詞、あなたを観察していないと出てきません。情報量の多い嫌味は興味の裏返しであることが多くて、トゲのある一言ほど、実はラブレターの下書きだったりするんです。
ひとつだけ釘を刺させてください。脈がありそうだからといって、嫌味を無限に受け止める義務はないですよ。
言われた瞬間どう返す?うまかった人、撃沈した人
正面から受け止めない。見てきた限り、これに尽きます。とはいえ、頭でわかっていても刺さるものは刺さりますよね。だからこそ、型をいくつか持っておくと楽になるんです。
返しがうまい人は、にこっと笑って「そう見えます?」と軽く聞き返していました。相手は図星を突かれて口ごもるか、笑って白状するか。どちらへ転んでも空気は壊れません。毒を笑いに薄めるのも強くて、どうせモテるんでしょ、に対し、だったら今ごろここにいませんって、と返した男性は場を一気に和ませていました。意外とって言われるの逆に嬉しいです、と天然ふうに受け取ってしまうのも高等テク。皮肉の刃は、まともに掴むから切れるんですよ。
スルーにも技術があって、完全な無視は冷戦の引き金になるからおすすめしません。聞こえたうえで乗らない、が正解。へぇ、そういえばさっきの話なんですけど、と半歩ずらして進める。角は立てず、餌にも食いつかない。糸を垂らされても素知らぬ顔で泳ぎ続ける魚のイメージです。何度か続ければ、大抵の嫌味は燃料切れを起こします。
撃沈例も山ほどあります。正論で言い返した男性、いましたねぇ…。その瞬間テーブルは氷点下。グループ全体が静まり返って、正しさでは勝ったのに、何も残らなかった。真顔で、それどういう意味ですか、と詰めるのも同じ末路をたどりがちです。周りへ、ねぇ今の聞いた?と同調を求めるのもやめたほうがいい。公開処刑になった瞬間、芽生えかけていた何かごと燃えます。酔った勢いで応戦するのも最悪でした。翌朝のグループLINEが、お通夜になります。
ただし、人格を削るレベルの言葉が続くなら話は別。笑顔のまま、その言い方は結構へこみます、と一度だけ伝えて、なお続くなら席を立っていい。我慢は優しさじゃないので。
彼女の嫌味に疲れたら。関係を立て直す伝え方
付き合ってから嫌味が増えた。サークルのOBやOGから、そんな相談を受けることもよくあります。デート中ずっと小言と皮肉のセットメニューで、帰り道のため息が年々深くなる。聞いているこちらまで胃が重くなる話、本当に多いんです。
交際後の嫌味は、片想い期とは中身が違います。甘えと、不安と、言えなかった不満の在庫が混ざっている。どうせ私より仕事が大事なんでしょ、の奥には、最近会えなくて寂しい、が埋まっていたりするんですよね。愛情を確かめたいのに、出てくる言葉はわざと感じが悪い。本人もあとで自己嫌悪していたりして、要するにお互いしんどい。
効いたのは、やめてよと正すことより、自分を主語にして打ち明ける伝え方でした。嫌味を言われるたびに、好かれていない気がしてじわじわ削られる。そう告げた男性がいます。彼女は驚いた顔をして、それから泣いて、トゲの根っこが会う頻度への不安だったことをやっと言葉にできたそうです。半年後、ふたりで遊びに来てくれたときの表情、忘れられないなぁ。

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