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年収1000万でもモテない理由と令和のモテる男の条件

土曜の夜、貸切にした渋谷のラウンジ。名刺を出さなくても、なんとなく分かる人っているんだよね。仕立てのいいジャケット、清潔感のある短髪、時計もさりげなく良いやつ。慎さんは外資系勤務で、年収は軽く1000万超え。スペックだけ並べたら、その日いちばんの優良物件だったと思う。

なのに、だよ。三時間のイベントが終わる頃には、彼のまわりだけ空気がスッと引いていた。

女性が露骨に避けるわけじゃない。最初はちゃんと寄ってくるの。話しかける、笑う。でも五分もすると、視線がふっと別の男性へ流れていく。あれは何度立ち会っても不思議でさ…現場を回してる側からすると、始まる前から予測がつくくらい定番の光景なんだよなあ。

最初の一時間、彼はいちばん人気だった。名刺代わりのスペックが効いてる時間帯だからね。でも後半になるほど、勝負は会話の深さのほうへ移っていく。前半のヒーローが、終盤には一人でグラスを傾けてる…なんてこと、正直めずらしくもないの。

翌週、慎さんがぽつりとこぼしてた。アプリではいいねが山ほど来るのに、会うと二回目がないんです、って。

高収入の男性がハマる沼の、いちばん底にあるやつって何?

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いいねは来るのに続かないモテると選ばれるは別物

年収1000万でモテないなんて贅沢だよ、って笑われて終わる。友達に本気で打ち明けたら、できる自分のイメージがちょっと崩れる気がして、言葉を飲む。

現場で何百人と見てきて、はっきり言えることがひとつある。会える力と、そばにいたいと思われる力は、まったく別だってこと。

いいねが来るのはモテてる証拠。ただ、それは選ばれてるのとは違うの。年収は前者にはバカみたいに効く。プロフィールに1000万と書けば、親指は止まるからね。でも後者、会ったあとにまた会いたいと思わせる部分には、数字はほとんど働かない。

高収入層ほど独身が多いっていう逆転現象、データにもちゃんと出てる。稼げば自然に結ばれるなら、こんなことにはならないよね。稼ぐことと愛されることは、別々の蛇口から出てくる水なのさ。

高収入が空回りする瞬間。現場で見た地雷

慎さんの会話を横で聞いてて、あっと声が出そうになった場面があった。

女性が旅行の話をしてたのね。そしたら彼、そのブランドのスイート泊まったことあるよ、って返した。悪気はゼロ。むしろ場を盛り上げようとしてただけ。でも相手の表情が、ほんの一瞬、もやっと曇ったんだよね。

自分の価値を証明したい気持ちは、痛いほど分かる。歯を食いしばって積み上げてきたものだもん。ただ、恋愛の場で年収の匂わせが刺さった瞬間を、私は現場でほとんど見たことがない。むしろ逆でね。すごいですねと言われた回数だけ、心の距離はそっと開いていく。褒められてるのに選ばれない、あの居心地の悪さ(泣)。

別の参加者、美咲さんが後日教えてくれた話も忘れられない。感じのいいハイスペ男性と食事に行った。会計のとき、自分のほうがずっと飲んでたのに、きっちり半分ね、と言われて。奢ってほしかったわけじゃないんです、と彼女は先に置いてた。ただ、なんかね…って語尾が濁ってた。

お金の多い少ないの話じゃないんだ、これ。相手をどう扱ったかが、会計の一瞬に透ける、って話。多く飲んだぶんを引くとか、今日はごちそうするよと言える余白を残すとか。金額より、配慮が見えたかどうか。豊かさって財布の残高じゃなくて、振る舞いのほうににじむんだよなあ。高収入なのにケチ、みたいな単純なレッテルとも、ちょっと違うの。

お金で埋めようとして、逆に空回りした人もいたなあ。初デートに、予約の取れない一皿何万円の店をぶつけた男性。よかれと思って最高の舞台を用意したのね。でも相手の女性、店に入った瞬間から背筋がピンと張っちゃって。メニューの端に値段が見えるたび、そわそわ。会話どころじゃなかったみたい。次は、なかった。豪華さって、ときどき相手を閉じ込める檻になるんだよね。もてなしたい気持ちが、そのままプレッシャーに化ける瞬間。ここ、稼いでる人ほど踏み抜きやすい。

それとね、稼ぐ人ほど心のどこかで疑ってる。この子が笑ってくれるのは、俺の年収を見てるからじゃないか、って。一度その眼鏡をかけると外せなくなる。優しくされるほど裏を勘ぐる。その警戒心って、笑顔の下からしっかり漏れるんだよね。相手はうまく言葉にできないまま、なんか壁があるなと感じて離れていく。お金目当てを見抜こうと身構えるほど、ほんとに自分を見てくれる人まで遠ざけちゃう。皮肉だよね…。

もうひとつ気づいたことがあってね。年収を先に出しちゃう人って、たいてい、それ以外に自信の札がないの。仕事は誇れる。でも素の自分で勝負するのは、正直こわい。だから無意識に、一番強いカードを最初に切る。相手からすると、この人スペックでしか自分を出せないのかな、って伝わっちゃうんだよなあ。稼ぎを盾にするほど、素のあなたは奥へ引っ込んでいく。守ってるつもりが、いちばん見せたい部分を自分の手でふさいでるの。

もうひとつ。仕事で疲れたとこぼす女性に、なら転職も手だよね、と真顔で返した男性がいた。言ってることは、たぶん一ミリも間違ってない。正論なの。でも彼女がその夜ほしかったのは解決策じゃなくて、大変だったね、だった。

論理で結果を出してきた人ほど、ここで足を取られる。恋愛は正解を当てる競技じゃないからさ。感情に寄り添う力は、頭の回転の速さとは別の引き出しにしまってある。

稼ぐ人が陥りやすい罠は、まだある。選択肢が多すぎる問題。いいねが大量に届くと、この人よりもっといい人がいるかも、が頭から消えない。目の前の相手に腰を据えて向き合えない。その迷いは態度の温度になって、ちゃんと伝わっちゃう。次から次へ会ってるうちに、自分が誰を好きなのかすら見失った、って相談は現場でほんとに多いのよ。ぜいたくに聞こえるでしょ。でも本人は、けっこう真剣にすり減ってる。

三高はもう錆びてる。令和のモテ条件

高学歴、高身長、高収入。かつての三高ってやつね。あの物差しが今どれだけ古びてるか、イベントを回してると肌で分かる。

恋愛や結婚で女性が上のほうに挙げるのは、性格の穏やかさとか、一緒にいて楽かどうか。高収入も大事にはされてる。でも順位はぐっと下がってきた。上位を占めるのは、会話が心地いい、気遣いがさりげない、この人となら気を張らずにいられる、みたいな体感のほう。世の中の意識調査でも、昔の三高より、人と関係を築く力を上に置く流れへ、じわじわ移ってる。

なんで変わったんだろうね。答えはわりとシンプルで、スペックが検索すれば出てくるものになったから。マッチングアプリが当たり前になって、年収も職業も学歴も、会う前にぜんぶ見えるでしょ。昔なら会って初めて分かった肩書きが、今は前菜みたいに最初から皿に乗ってる。だから会う頃には、もう物珍しくもなんともない。勝負はメニューに載らない部分で決まるようになった。会って別れたあとに残る体温、そこにみんな飢えてるんだよなあ。

言い換えるとね、今いちばん高く売れてるのは安心感なの。ピリピリした毎日を送る人が増えたぶん、隣にいて心がゆるむ相手の価値が跳ね上がった。高級時計より、そばで息がしやすいこと。数字で測れないこの感覚が、令和のいちばんの贅沢品になったんだよね。お金で直接は買えないやつなのが、なんとも皮肉でさ。

忘れられない夜がある。ひとりの女性を、二人の男性がいいなと思ってた回でね。片方は絵に描いたような三高。もう片方は年収も身長も見た目も、ぜんぶ平均くらい。傍から見たら勝負は見えてた、はずだった。

彼女が連絡先を交換したのは、平均のほうだったの。あとで理由を聞いたら、するっと出てきた。三高の彼と話してると面接を受けてる気がしたんです、って。値踏みされてる感じ、品定めの視線。悪気はなかったと思うよ。でも彼女は、素の自分でいられなかった。もう一人といるときだけ、肩の力がストンと抜けたらしい。

スペックが放つ圧って、本人が思ってる何倍も相手に届いてる。すごい人の前で、人はつい背伸びするでしょ。背伸びは疲れるの。だから最後に残るのは、一緒にいて呼吸が浅くならない相手。令和のモテって、案外この一点に尽きるのかもね。

慎さんも美咲さんの相手も、スペックで負けたわけじゃない。会ったあとに残る何かで、静かに選から漏れただけ。ここを取り違えて、もっと稼げばと逆方向に全力疾走しちゃう人、ほんと多いのよ。鍵をもう一本増やしても、扉の向こうの居心地は変わらないのにね。

現場で毎回モテてた人がやっていた、地味なこと

じゃあ逆に、スペックはごく普通なのに毎回持ってく人。いたのよ、何人も。彼らに共通してたのは、拍子抜けするくらい地味な習慣でね。

まず、聞く。自分の話は三割、相手の話を七割くらい。言い終わるまで、絶対にかぶせない。それだけで女性の表情がふわっとほどけるの。あの瞬間の空気の柔らかさ、何度立ち会ってもいいんだよね。

覚えてる、っていうのも大きい。前に猫を飼ってるって言ってたよね、みたいに、小さなことを次に会ったとき返す。自分だけ特別に見ててもらえてる感覚は、どんな高級店のコースより効く。これもお金じゃ買えない部分でしょ。

最後は、余裕。モテたい焦りが、にじみ出てない。相手のリアクション一つで浮いたり沈んだりしない、あの落ち着き。追いかけるほど逃げられるのは、恋愛の古くて意地悪な法則。年収がいくらあっても、ぐいぐい距離を詰められると、人は反射で半歩下がるものさ。

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