金曜の夜、渋谷のダイニングバー。うちの会に初参加した男性が、壁際の席でずっとおしぼりを畳んでいた。シャツも髪も清潔で、顔立ちだって悪くない。それなのに二時間経っても、隣の女性に一言も話しかけられないまま帰っていった。あの背中、これまで何人見送ったか分からないくらい見てきたんだよね。
社会人向けのイベントを数百回まわしてきて、はっきり言えることがひとつあってさ。現場を見てると、相手のスペックにこだわる人ほど足踏みして、隣にいて心地いい自分になろうとした人のほうが、結局いい出会いを引き寄せてたんだよね。
彼女ができない本当の理由は、顔より手前にある
身も蓋もない話をひとつ。顔が悪いから彼女ができない、っていう思い込み。これ、半分は当たってて、半分は盛大にズレてる。
うちの会に半年通ってくれたTさん、30代でエンジニアをしてる彼は、初対面のとき正直モテなさそうな空気をまとってた。会話も、お世辞にも上手いとは言えない。ところが彼、途中からガラッと変わったんだよなぁ。何を変えたと思う?顔じゃないんだ。髪を整えて、眉を整えて、服のサイズを体に合わせた。やったのは基本それだけ。なのに女性陣の反応が目に見えて変わって、半年後には普通に彼女を連れてきた。あの変化を間近で見て、確信したことがある。女性が最初に見てるのは造形そのものじゃなくて、その人が自分自身をどう扱ってるか、なんだよね。
心理学の世界でも、近いことが言われてる。第一印象は数秒で形づくられて、その情報の多くを身だしなみや清潔感が占める、と。生まれ持ったパーツより、あとから手を入れられる部分のほうが、初動の印象を大きく動かす。ここ、希望しかなくない?
逆のパターンも見てきた。ネットで拾った会話テクニックを暗記して、自信満々を演じにきた男性。用意したセリフをスラスラ並べるんだけど、目が笑ってなくて、女性たちがスッと引いていく。作り物の余裕って、ゾワッとするほど伝わっちゃうんよね。
清潔感は才能じゃなく、作れるもの
清潔感って言葉、便利すぎて逆にぼんやりしてるよね。風呂に入ってればOK、って話じゃないから厄介で。会場で女性たちがそっと距離を取ってた瞬間を思い返すと、原因はだいたい共通してる。
束になって垂れた前髪。手入れゼロのボサボサ眉。乾いて粉をふいた頬。そして距離が縮まった瞬間に、ふわっと立ちのぼる、たばこと汗の混じった匂い。しかも本人はまるで気づいてない。そこがいちばん怖いところなの。
垢抜けは順番が肝心。何から手をつけるか
いちばん効くのは髪。美容室で二ヶ月に一度整えるだけで、印象はまるっと別物になる。1000円カットを全否定はしないよ。でも恋愛を本気で動かしたいなら、ここだけはケチらないでほしい。担当さんにモテたいんですって正直に伝えたら、それだけで似合う形に持っていってくれる。
次点は眉。眉が整ってるだけで、顔全体がキュッとしまって見えるから不思議なんだよなぁ。眉サロンに一度行けば整え方を教えてくれるし、あとは自分で維持していける。伸ばしっぱなしの眉って、それだけで疲れた印象を配ってしまう。
肌は保湿でほぼ片づく。洗顔して、化粧水と乳液を塗る。この地味な三手で、粉ふきはあっさり消えるし、肌の質感が変わると清潔感が一段上がる。
見落とされがちなのが匂い。自分の匂いって、自分じゃ絶対に分からないからね(これがまた盲点なの…)。柔軟剤をほんのり香るタイプに変える、口臭ケアを習慣にする、たばこのあとはひと呼吸置く。ここで強い香水に逃げるのは逆効果で、きつい香りは女性を一瞬で遠ざける。すれ違いざまに石けんがほのかに香るくらい、それが一番いい塩梅だと思う。
服は、正直サイズが九割。高い服なんて要らないんだよ。肩幅と着丈が体に合ってるだけで、同じ量販店の一枚が別人みたいに見える。さっきのTさんが化けた最大の要因も、実はこれだった。ダボついた服を、体に沿うサイズへ替えただけ。それだけでこんなに変わるのかって、見ててこっちが驚いたもん。
あと地味に爪。女性、意外と手元を見てるんだよね。伸びて黒ずんだ爪は一発でアウト判定。切って整える、それだけで解決するのに、やってない人が多すぎる問題。
見た目を整えると、中身までついてくる
外側を整えていくと、面白い連鎖が起きるの。中身のほうまで、勝手に動きだす。
鏡に映る自分に納得できると、背筋が伸びる。人と話すときの目線が、自然と上がる。これ、女性がめちゃくちゃ敏感にキャッチするポイントで。惹かれる要素として、顔よりも余裕とか安心感が上に来る場面を、現場で何度も見てきた。ドキッとさせにいく男より、隣にいてホッとできる男。派手さで殴りにいくより、一緒にいて疲れない人のほうが、最終的にちゃんと選ばれてたりする。ここ、けっこう見落とされがちだよね。
会話は喋る量より、聞き方で決まる
会話も、実は喋る量の勝負じゃないんだ。うちの会でいちばんモテてたKさん、20代の営業マンなんだけど、驚くほど自分の話をしなかった。とにかく聞き方がうまい。相手の一言に、それでそれで?って前のめりになる。この人といると心地いいな、っていう空気を作るのが、もう天才的でさ。
逆に、質問を機関銃みたいに撃ち込んで、面接みたいになっちゃう人もいる。出身どこ?仕事は?休日なにしてるの?本人に悪気はないんだけど、聞かれてる側はだんだん尋問されてる気分になってくるの。会話が続かないって悩む人ほど、面白いことを言わなきゃって力んでるんよね。順序が逆。相手が返してくれた一言にちゃんと乗っかって、そこから広げるだけでいい。
自信のなさは、無理して隠さなくてもいいんだよ。緊張で声が上ずってた男性が、それでも相手の目をまっすぐ見て誠実に話してたら、女性側が可愛いって笑ってた場面もあった。取り繕った余裕より、不器用でも正直なほうが、案外深いところに刺さるらしい。
出会いの母数がなければ、恋は始まらない
土台が整ったら、あとは出会いの数。ここを軽く見てる人が、これまた多いんだ。
社会人になると、放っておいて出会いが降ってくることは、まずない。学生の頃みたいに毎日同じ顔ぶれと会う環境が消えるから、意識して外に出ないと、接点はゼロのまま更新されないの。職場と家の往復だけで彼女ができたら、それはもう奇跡の域だよ。
母数を増やす手段はいくつもある。趣味のコミュニティ、友人からの紹介、マッチングアプリ、イベントやサークル。どれが唯一の正解ってわけじゃなくて、自分が緊張しすぎない場所を選ぶのが肝心。極度の人見知りなのに、いきなり大人数の飲み会へ飛び込むと、会場の隅でおしぼりを畳む未来が待ってる。まずは少人数の集まりから慣らしていく手だってある。
大事なのは、断られる前提で動くっていう構え方。全員に好かれる必要なんて、どこにもないんだよ。十人と会って一人と気が合えば、それでもう十分すぎるくらい。恋愛って結局は確率のゲームでもあってさ、そう割り切れると、一回フラれたくらいじゃ心が折れなくなる。あの頃これを知ってたら、って正直ちょっと思うよね(笑)。
会ってからが本番。距離の縮め方と誘い方
出会えたら、次はどう距離を縮めるか。ここで焦って一気に詰めにいく人、これまためちゃくちゃ多いんだよね。会って三日で好きです、みたいなやつ。気持ちは痛いほど分かる。でも相手からしたら、まだよく知らない人からの重い告白って、正直こわいだけなの。心の準備、できてないから。
連絡のテンポは、相手に合わせるのが基本。長文を送りたくなる衝動をぐっとこらえて、まずは相手の返信の量とスピードに寄せていく。既読ついたのに返ってこない…って何度も追撃するの、あれがいちばんやっちゃいけないやつ。相手のペースを尊重できる余裕、それがそのまま安心感に化けるんよ。
うちのイベントで知り合ったMさんは、この温度の上げ方がほんと上手かった。会場でカフェ好きって話が出たら、後日、そういえば気になってた店があるんだけど一緒にどう?って、ふわっと軽く誘う。付き合ってくださいの前に、まず一緒にいる時間をこつこつ積む。二回、三回と会って、お互いの空気があったまってきたところで、ようやく気持ちを伝えた。うまくいったのは勢いじゃなくて、順番を守ったからなんだよね。
デートの誘い方も、そんなに力まなくていい。二人が前に話してた場所とか、共通の趣味とか、そのへんを口実にすると会話が自然に繋がる。相手が乗ってこなかったら、それはそれ。無理に押し込まない引き際こそ、実は魅力のうちだったりするから面白い。
告白のタイミングを見誤る人も、けっこういる。まだ友達の空気なのに突っ込んで玉砕、っていうのは現場でも何度も見た光景。ひとつの目安になるのが、相手が自分から会いたがってくれるか、プライベートな話を返してくれるか。このサインがそろってきたら、変に引き延ばさず、素直に伝えたほうがいい。待ちすぎて、いい人止まりのまま横から他の男にさらわれる…あのパターン、見ててこっちが切なくなるやつだから。

コメント