イベントの帰り際、30代の男性が缶コーヒー片手にぽつりと言った。「あの人、なんか落ち着くんですよね。話してるとホッとするっていうか」。彼が気になっていたのは、サークルでいつも輪の真ん中にいる女性でした。声を荒げない。人の話を最後まで聞く。誰かが落ち込んでると、隣にすっと座る。
で、しばらく黙ってから、ちょっと恥ずかしそうに続けたんです。「これ、うちの母親に似てて…言うの恥ずいんですけど」。
あの顔、忘れられない(笑)。自分でも気づいちゃった、みたいな顔してた。
母親のような人を好きになる。この感覚に戸惑う男性、けっこう多いんですよ。
母親みたいな人を好きになるのは、おかしいこと?
おかしくないです。これははっきり言っておきたい。うちのサークルで何人も参加者を見てきたけど、母性を感じる相手に惹かれる男性なんて、ぜんぜん珍しくないから!
むしろ自然な流れなんだよね。人が安心できる相手を探すのは、生き物としてごく普通のこと。
ただ本人たちは、マザコンっぽくて引かれないかなってビクビクしてる。ここがね、もったいない。
心理の研究でも、人が惹かれる相手には、幼い頃に親しんだ顔立ちや雰囲気が影響するって言われてる。母親の面影を誰かに重ねるのは、脳のクセみたいなもの。恥ずかしがる必要、ほんとにないんだよ。
理由をちゃんと知れば、その不安、だいぶ軽くなるはず。
男性が母親のような人に惹かれる、いくつかの理由
一番大きいのは安心感。もう、これに尽きる部分がある。
仕事でピリピリして、SNSでは常に誰かと比べられて…今の男性って、まあまあ気を張って生きてるんですよ。そんな中で、評価も否定もしてこない相手といると、肩の力がふわっと抜ける。心理学でいう安全基地に近い感覚かな。何があっても帰ってこられる場所、みたいな。母親って、多くの人にとって人生で最初の安全基地だったわけで。その心地よさを、無意識になぞってるんだ。
勘違いされやすいんだけど、安心感のある人って、地味とかおとなしいって意味じゃないからね。うちのイベントで一番その空気を持ってた女性、めちゃくちゃ華やかでよく笑う人だったし。要は、一緒にいて自分が消耗しないかどうか。そこなんだよね。
ありのままでいられる、っていうのも大きい。
うちのイベントで、ある男性が言ってた。「彼女の前だと、カッコつけなくていいんです」。すごくない?恋愛の初期って、普通は見栄を張る場面でしょ。なのにその人の前では素が出せるって。これ、母性的な相手の前で起きやすいの。ジャッジされない安心が、鎧をするっと脱がせる。
それと、甘えたい気持ち。
男は甘えちゃいけない、みたいな空気、まだ根強いじゃん?だからこそ、受け止めてくれる相手の前では我慢が緩む。世話を焼かれる心地よさに、ぐっと持っていかれる。
うちのイベントでも、普段バリバリ働いてる男性ほど、誰かに甘えられる場面でふっと表情がゆるむ。強くあろうとしてる人ほど、その反動は大きいんだよね。弱さじゃない。ただ、安心して息を抜ける場所を探してるだけ。
地味に効いてるのが、慣れ親しんだものへの安心ね。
人は、見慣れたものや接触の多いものに好感を持ちやすい。単純接触効果って呼ばれるやつ。母親の雰囲気、話し方、ちょうどいい距離感…そういうのって、人生で一番浴びてきた要素でしょ。だから似た空気の人に、理由もなく惹かれる。なんか懐かしい、みたいな感覚の正体は、これだったりする。
包容力からくる余裕、これも強い。
慌てない。動じない。誰かのミスも笑って流せる。その器の大きさって、見てるだけでシンプルにカッコいいんですよ。男女問わず惹かれる魅力だけど、男性にとっては特に、自分の弱さを見せても平気って思える安心とセットになってる。
逆のパターンも見てきたよ。刺激的でちょっとミステリアスな相手にハマってた男性。最初は楽しそうだったのに、半年くらいでげっそりしてた。常に追いかけて、機嫌をうかがって、心が休まらなかったんだって。あの時に彼が言ってたの。安心できる人のありがたみは、失ってから気づくって。ドキドキは確かに気持ちいい。でも、それだけじゃ人は持たない。母性的な相手に流れていく男性の気持ち、ここに詰まってる気がするな。
「母親みたいな人が好き」と「マザコン」は別物
母性的な相手に惹かれること自体は、ただの好みの傾向。問題ない。
線を引くべきなのは、別のところ。パートナーより実の母親をいつも優先するとか、母親の許可がないと何も決められないとか、相手に母親と同じ役割を全部背負わせるとか…そういう、相手の人格を置き去りにする関係性のほう。
惹かれる気持ちの問題じゃなくて、相手をどう扱うかの問題なの。
うちのサークルにも、お母さん大好きを公言してる男性がいる。でも彼、パートナーをちゃんと一人の人として見てるんだよね。デートの店も自分で選ぶし、彼女の意見もきちんと尊重する。これはマザコンとは言わない。
逆に、母親の話を一切しなくても、彼女に何でもやらせて当たり前って顔してる人…そっちのほうが、よっぽど危ういと思う(笑)。
なぜ自分は、いつも似たタイプを好きになるんだろう
これ、けっこう深い相談として持ち込まれることがあって。気づいたら毎回、包んでくれる年上っぽい人を選んでる、みたいな。
恋愛の好みって、無意識の設計図みたいなものがあるんだよね。幼い頃にどう甘えて、どう受け止めてもらったか。その体験が、心地いいと感じる距離感のひな型になる。母親との時間が温かかった人は、似た温度を再現したくなる。逆に、甘え足りなかったって感覚がある人ほど、大人になってから埋めにいくこともあるみたい。
ここで大事なのは、それを悪いことだって決めつけないこと。
過去のパターンをなぞってるだけ、って思うと、自分が操られてるみたいでちょっと嫌でしょ(笑)。でもね、自分がどんな安心を求めてるか分かってる人は、相手選びがブレない。なんとなくで突っ走って失敗するより、よっぽど健やかな恋をしてる印象があるよ。
自分の傾向を責める必要なんて、ない。知っておくだけで、十分すぎるくらい。
男性が安心して心を開く女性に、共通していること
もしあなたが、彼に頼られたいとか、母性があるって言われたことがあるとか、安心される存在になりたいって思ってるなら…この心理、めちゃくちゃ使えるんですよ!
ただ誤解しないでほしいのは、母性って世話焼きの量じゃないってこと。
うちのイベントで、男性人気がじわじわ高い女性たちを見てて気づいたことがある。彼女たち、別にお節介じゃない。意外と、料理上手とも限らない。共通してたのは、否定しない聞き方だった。
前にこんな場面があって。同じ男性に、二人の女性がそれぞれ相談に乗ってたの。片方は、こうしなよ、それは違うよ、ってどんどん正していく。もう片方は、うわー大変だったね、って聞くだけ。彼が次の週ずっと話しかけてたのは、後者のほうだった。アドバイスより、まず受け止めること。男性が心を開く順番って、たぶんそこから始まるんだよね。
否定しない聞き方って、特別なテクニックじゃない。へえ、それでどうしたの?って、続きを促すだけ。解決しようとしない。これで相手は、この人なら話せるって感じる。うちのイベントで連絡先を一番交換してた女性、やってたのは、ほぼこれだけだった。
あと、感情の波が小さいこと。
機嫌が安定してる人の隣って、居心地がいい。気分がジェットコースターみたいに上下する相手だと、男性はずっと顔色をうかがって、じわじわ疲れる。穏やかさって、それだけで武器になるのよ。
逆に、怒ってないのに不機嫌そうに見られがちな人っているじゃない?あれ、すごく損してる。考えてることを言葉にするだけで、相手の警戒はかなり解ける。安定って、無表情のことじゃない。ちゃんと伝わる穏やかさのことなんだよね。
それから、ほどよく甘えさせる余裕。
完璧に見える女性より、ちょっと隙があって、でも包んでくれる人のほうがモテたりする。無理しなくていいよ、のひと言が、相手の緊張をふっと溶かす瞬間、何度も見てきた。
前に、いつもしっかり者で通ってた女性が、イベントの片付けで、あー無理、誰か手伝って〜!って笑いながら言ったことがあって。その瞬間、まわりの男性が一斉に動いたの(笑)。完璧な人より、ちょっと頼ってくれる人のほうが、人は動きたくなる。隙って、計算より、自然体のほうがずっと効くんだよね。
母親役になりすぎると、恋愛対象から静かに外れる
ここ、すごく大事。むしろ一番伝えたいかもしれない。
包容力は魅力なんだけど、やりすぎると落とし穴がある。
世話を焼きすぎて、相手の生活を管理して、ぜんぶ面倒を見て…気づいたら、彼にとって彼女じゃなく、便利な保護者になってた。これ、うちのサークルでも何度か見た光景なんだよね(泣)。
ある女性が相談してきたことがあって。尽くしてるのに男として見てくれない、って。よく聞くと、彼の食事も洗濯も予定の管理も、全部やってた。優しさのつもりが、いつの間にか彼を子ども扱いしてたんです。
その彼女に、一個だけ手を引いてみたら?って話したの。彼の分の洗濯、やめてみるとか。最初は不安そうだったけど、しばらくして報告がきた。彼が自分でやり始めて、しかも、ありがとうって言われたって。距離って、近づけるより、ちょっと空ける勇気のほうが難しいの。
恋愛のドキドキって、対等な相手との間に生まれるもの。
守られすぎた相手に、人はときめきを感じにくい。安心とときめきは、別の回路で動いてるから。安心だけ100点で、ときめきがゼロになると…関係は穏やかなのに、恋じゃなくなっていく。
母性は、惹きつける入口にはなる。でも、入口で止まっちゃダメなの。
包容力を持ちながら、恋愛対象でい続けるには
じゃあ、どうすればいいのか。
答えはわりとシンプル。与えるばかりにならないこと。
たまには、あなたが頼る。弱音もこぼす。今日ちょっと疲れちゃった、って甘えてみる。これ、母性キャラの人ほど効くんですよ。いつも支えてる側が見せる隙って、ギャップでドキッとさせる力がある。
それと、自分の世界を持っておくこと。
彼のためだけに動く人より、好きな趣味があって、友達もいて、自分の時間を楽しんでる人のほうが、なぜか追いかけたくなる。手に入りそうで完全には入らない感じが、相手の気持ちを引き寄せる。
長く続いてるカップルほど、このバランスがうまいなって思う。支えるけど、支えられもする。世話もするけど、たまにワガママも言う。一方通行じゃないんだよね。
全部やってあげないことも、優しさだったりするのね。
彼が自分でできることは、にこっと見守る。失敗しても責めない。でも肩代わりもしない。この距離感が、保護者じゃなく対等なパートナーの位置をキープさせてくれる。
包容力って、抱え込む力じゃない。相手を信じて、ちょっと手放せる余白のこと。たぶん、そっちなんだよね。

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