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美容師の彼女が不安で会えないすれ違いの正体と向き合い方

うちの集まりに何度か顔を出してくれていた男性の彼女は美容師さんだった。
「営業のあとに掃除して、片付けして、たまに練習会もあるって、頭ではちゃんとわかってるんですよ。でも…」そこで言葉が止まる。待っている時間って、勝手に想像が膨らんでいくんだよね。

美容師の彼女がいる人の悩みは、たいてい時間の話から始まる。会えない。返信が遅い。土日に限って仕事。自分が平日休みならまだ噛み合うけど、世間が遊んでいる日に彼女だけバタバタしていると、胸の奥がソワソワしてくる。

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会えないのは事実、でも苦しいのは想像のほう

美容師という仕事は、こっちの生活とリズムが噛み合いにくい。朝はゆっくりでも夜は遅い。休みは月曜や平日に寄りがちで、繁忙期になれば休日出勤も入る。撮影や講習、コンテストの練習が夜に重なる時期だってある。物理的に会える時間が削られていく。ここはもう、二人の努力でどうにかなる話じゃない部分。

厄介なのは、会えない時間に頭の中で何が起きるか、なんだよね。

連絡が来ない数時間。あの人、今ごろ何してるのかな。誰と話してるんだろう。現実には何ひとつ起きてなくても、頭の中だけで物語が勝手に完成してしまう。心理の世界では、人は情報が欠けると、その空白を自分の感情で埋めようとすると言われている。連絡が途切れた沈黙は、まさにその空白そのもの。苦しさの正体は、彼女の行動じゃなくて、見えない時間に対する自分の解釈のほうにあったりする。

美容師の彼女に不安を覚えること自体は、変でも弱くもない。

好きな人と過ごす時間が少なければ、心細くなって当然。会えない日が続けば、自分のことなんて忘れられてないかなって、ふと怖くなる瞬間がある。それは裏を返せば、この関係をちゃんと大切に思っている証拠でもある。愛着をめぐる研究でも、相手との距離や先の見えなさが増すほど、人はつながりを確かめたくなる傾向があるとされている。だから、不安がる自分をいちいち責めなくていい。

ただね。その不安を、彼女へそのままぶつけると、ほぼ裏目に出る。これは現場で何度も目にしてきた光景。

男性客、華やかさ、飲み会…本当に怖いのはそこじゃない

美容師の彼女がいる人がよく口にする不安には、いくつかの型がある。男性のお客さんの髪に触れる仕事であること。おしゃれで身綺麗だから、外を歩いていても目を引くこと。同業の集まりや飲み会、撮影で夜に出かけること。収入がまだ安定しない時期の、この先への漠然とした心配。

並べてみると、全部てんでバラバラの悩みに見えるでしょ。ところが、ひとつずつ蓋をめくっていくと、奥に同じ感情がどっしり座っていることが多い。

この人を失いたくない、という怖さ。

うちのイベントに来ていた別の男性が、ぽつりとこぼしたことがある。「彼女が男のお客さんと楽しそうに話してたって本人から聞いて、ズキッときて。でも、よくよく自分の胸に聞いてみたら、嫉妬っていうより、自分がこの人に釣り合ってるのかが不安だったんですよね」と。彼女がモテそうだという不安の下に、自分への自信のなさが横たわっていた。華やかな職業のイメージが、もともと抱えていた小さなコンプレックスをつついていた、と言うほうが近いのかもしれない。

相手の職業を疑うより、自分の足元をそっと見直したほうが、案外すっと軽くなることがある。彼女がモテるかどうかは、こっちにはどうにもできない。でも、自分が自分を信じられるかどうかは、ちょっとずつ育てられるから。

収入への不安も、よく似た構造をしている。アシスタント時代の給料を横目に、この先ふたりでやっていけるのかと胸がざわつく。けれど、その心配の芯をたどると、自分が支えになれるのかという自問にぶつかることが多い。彼女のキャリアを信じられるかどうかは、結局、自分が二人の未来をどう描けているか、と地続きだったりする。

すれ違うカップルが離れていく、本当の理由

会う時間が少ないカップルが別れやすいのは、たしかにそう。でも、別れの引き金は、会えないことそのものじゃない。会えない時間の埋め方を間違えること、なんだよね。

すれ違いで終わってしまった人たちを思い返すと、妙に共通点がある。沈黙を疑いで埋めていた。返信の遅さを、愛情が冷めたサインに勝手に翻訳していた。会えない不満を、せっかく会えた数少ない時間にぶつけていた。久しぶりに顔を合わせたのに、開口一番が「最近連絡少なくない?」だったり。彼女からすれば、クタクタで帰ってきた貴重な数時間が、責められるだけの時間に変わる。これが続くと、会うこと自体がだんだん気まずくなっていく(あー、これ本当に見ていて切なかった)。

では、休みが合わなくてもうまくやれているカップルは、いったい何が違ったのか。

拍子抜けするくらい、派手なことはしていなかった。むしろ地味。連絡の頻度を相手のペースにそっと合わせて、勝手にハードルを上げていなかった。会えない埋め合わせに必死になるより、会えた日の機嫌をよくしておくことに気を配っていた。会えないのは仕事のせいで、あなたへの気持ちが減ったわけじゃない。その前提をお互いが信じきれていた。たったこれだけで、沈黙の意味がまるごと書き換わる。同じ既読のつかない夜でも、不安の夜になるか、ただの忙しい夜になるか、で分かれてしまうんだよね。

ある二人は、毎週水曜の夜だけ、どんなに疲れていても短い電話をするって決めていた。内容は他愛もない。今日こんなお客さんが来た、とか。それだけ。でも、その小さな約束があるから、他の日の沈黙にいちいち動じなくなったらしい。安心って、量より、約束の手触りなのかもしれない。

連絡はどれくらいがちょうどいい?

朝の一言と夜の一言だけで満たされる人もいれば、まとまった通話が週に一度あれば足りる人もいる。肝心なのは回数そのものより、そのリズムが二人で噛み合っているか。彼女は施術の最中、スマホに触れない。その事情を知らないまま即レスを期待すると、お互いがじわじわすり減っていく。逆に、彼女の働く時間帯をなんとなく頭に入れておくだけで、沈黙のたびに心臓がドキッとせずに済むようになる。

ひとつだけ、やめておいたほうがいいことがある。詮索。

誰といたの。なんで既読がつかなかったの。その問いは、答えをもらってもまた次の不安が湧いてきて、安心がちっとも続かない。相手を縛ろうとするほど、相手の心は音もなく離れていく。これは現場で、嫌というほど見せられた。束縛したい気持ちと、重い男だと思われたくない気持ちの板挟みは、しんどいよね。すごくわかる。でも、強く握りしめるほど砂みたいに指の間からこぼれていくのが、人の気持ちの厄介で、せつないところで。

平日休みと遅い時間を、味方につける

ここまで読んで、肩の力が少し抜けてきたなら何より。最後に、すれ違いを逆手に取る話を、ほんの少しだけ。

平日が休みって、見方を変えると、かなりおいしい!土日は行列の人気店も、平日の昼ならふらっと入れる。観光地もガラガラ。平日の美術館は静かで、ゆっくり言葉を交わせる。世間が働いている時間に、二人でだらだら過ごす贅沢は、土日デート派には手が届かないもの。彼女の遅番明けの朝に、モーニングだけ一緒に食べる。たったそれだけで満たされたって笑っていたカップルもいた。会う回数を無理に増やそうと焦るより、限られた時間の濃さを上げにいくほうが、ずっと効く。

そして、不安がこみ上げてきたとき。彼女に投げる前に、ひと呼吸だけおいてみてほしい。この不安は、彼女の行動から来ているのか。それとも、自分の中の自信のなさから来ているのか。その区別がつくと、口をついて出る言葉そのものが変わってくる。「最近どうなの」と問い詰める代わりに、「忙しそうだけど、体は大丈夫?」と気遣える。中身は同じ不安でも、渡し方ひとつで、相手に届く温度がまるっきり違ってくるから不思議だね。

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