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いい年して恋煩いはみっともない?年下を好きになった40代のリアル

金曜の夜、受付で名札を書いてもらっていたとき、40代半ばの女性の手が、ペンを持ったまま止まった。視線の先にいたのは、たったいま入ってきた30歳くらいの男性。グラスの氷がカランと崩れる音がするまで、その人は自分の名前を書かなかったんだよね。

席についてからも、そわそわは止まらず。お手洗いに立つ回数がやたら多い。戻ってくるたびに前髪を耳にかけ直してた。

その男性が席替えで隣に来たとき、彼女はグラスの水滴を親指でずっと拭ってた。テーブルに小さな水たまりができるくらい。会話の内容は当たり障りのない仕事の話だったのに、指先だけが忙しい。

解散したあと、駅までの道で半歩後ろから聞こえた声。この年で、こんなの、みっともないですよね。街灯の下で、口元だけが笑ってた。40代の女性からも、50代の男性からも、離婚したばかりの人からも、ずっと独身の人からもその帰り道の一言を、何十回聞いたか分からない。

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その恋煩い、べつにおかしくないよ

サークルを回して何百人と見てきたけど、恋煩いで一番しんどい顔をしてるのは20代じゃない。だいたい38歳から52歳くらいの人たち。しかも苦しさの中身が違うの。

相手のことで苦しんでるというより、こんな気持ちになってる自分に一日中ツッコミを入れ続けて消耗してる。片思いそのものより、片思いしてる自分の監視で疲れきってる感じ。

好きになるのに免許いらないじゃん。なのに、ある年齢を越えたあたりから、みんな急に無免許運転みたいな顔をしはじめる。周りをキョロキョロ見て、誰かに許可をもらおうとする。

ここは言い切っておきたい。恋煩いのほうは治さなくていい。手放したほうがいいのは、恋煩いしてる自分をジャッジする癖のほうだから。

大人の恋煩いが20代より痛い、四つの理由

若い頃の片思いって、玉砕しても翌週には別の飲み会に行けたよね。いまは、そうもいかない。

一つ目は時間の感覚。20代の失恋にはまだ在庫がある気がしてた。次があるでしょ、って軽く思えた。40を越えると、これが最後かもしれないという計算が勝手に走り出す。カーステンセンの社会情動的選択性理論では、残された時間が限られていると感じた人ほど、感情的に意味のある関係へ優先順位を寄せていくことが示されてる。中年期の恋愛感情が濃くなるのは、心が弱ったからじゃない。時間の見え方が変わったからなんだよね。

二つ目は賭け金。学生時代にテーブルへ乗せてたのは自分の心だけだった。いまはそこに、職場での立場、家庭、子どもの学校の人間関係、同僚の目線まで一緒に積まれてる。感情の大きさじゃなくてリスク計算の重さで疲れてる人、本当に多い。相談を受けていて、恋の話が始まって3分でローンと勤続年数の話になったこともあるくらい。

三つ目は孤独。友達に打ち明ければ笑われる気がする。家族には論外。同僚には絶対知られたくない。だから深夜、検索窓にだけ本音を打ち込む。あれは孤独というより、遭難に近いなと思ってる。

四つ目が、意外と本人に見えてない。何年も役割の名前で呼ばれ続けてきたこと。お母さん、部長、〇〇さんの奥さん。名前で呼ばれる機会が減った人が、久しぶりに下の名前を呼ばれると、心臓のほうが先に反応する。イベント中、名前を呼ばれた瞬間に一瞬だけ耳が赤くなった人を、何人も見てきた。恋の皮をかぶった、個人として扱われたいという飢えです。

いい年して、って誰の声?

面白いことに、いい年して何やってるの、と面と向かって言われた人にはほとんど会ったことがない。言ってるのはいつも本人。

過去に誰かから浴びた言葉が、頭の中で勝手に再生されてるだけなんだよね。母親の口癖だったり、10年前に職場で聞いた誰かの陰口だったり。もう会うこともない相手の声に、いまだに許可を求めてる状態。

年齢を理由に自分を止める人って、じつは年齢が理由じゃない。自信の話を、年齢のせいにして片づけてるだけ。書くと怒られそうだけど、現場で見てきた実感としてはほぼ例外がなかったわ。同じ45歳でも、年齢を一切言わない人と5分に一度言う人がいて、後者だけが早く帰る。

年下を好きになったときだけ現れる沼

年上の人を好きになったとき、ここまで自分を責めた記憶ある?たぶんない。

年下相手だと、比較対象が相手じゃなくなるの。20代だった頃の自分になる。あの頃の肌なら。あの頃の体力なら。あの頃の予定表なら。ぐるぐるして、勝手に競って、勝手に負けて落ち込む。相手はまだ何も言ってないのに、脳内で審査され続けてる。

イベント中に何度も見た光景がある。年下の男性と楽しそうに話してた女性が、会話の途中で急に自虐を挟むの。私なんてもうおばさんだから、みたいなやつ。あれを言った瞬間、相手の目線がスッと下に落ちる。そんなことないですよ、と否定する係を押し付けられるから、会話の温度が一気に落ちるんだよね。

言い切っちゃうけど、年齢の話を最初に持ち出すのは、ほぼ確実に年上側です。相手はまだ気にしてなかった。こっちが先に議題にしてしまう。

年齢を口にしなかった人の話

47歳の女性が、33歳の男性と半年後に付き合ったという連絡をくれたことがある。

イベント当日の彼女、年齢の話を一度もしなかった。話題は自分の仕事の失敗談と、最近ハマってる80年代のホラー映画。彼のほうが前のめりになって、名画座の上映会に行く約束をして帰っていった。年上らしく振る舞ってもいないし、若く見せようともしてない。ただ自分の話を面白そうにしてただけ。

後から彼に聞いたら、彼女の年齢を知ったのは3回目に会った日だったって。感想を尋ねたら、へえ、で終わり。こっちが拍子抜けするくらいあっさりしてた。

同じ月の別のイベントでは、44歳の女性が初対面から30秒で自分の年齢を告げて、そのあと5回謝ってた。ごめんなさいね、おばさんで。会話は続かなかった。年齢が原因じゃない。謝られた側は、何を返しても失礼になる詰みの状態に置かれるからです。

若作りが逆効果、という話ともつながってる。年齢を隠そうとしてる人が一番、年齢の話をしてる。服でも肌でもなく、態度が全部言っちゃってるんだよね。

年下の男性たちが、実際に口にしてること

二次会の終盤、酔いが回ってきた頃に彼らが漏らす言葉を集めてみると、年上側の心配とほとんど噛み合ってなくてびっくりする。

年齢が気になると言った人は、正直かなり少数。彼らが引っかかるのはもっと手前で、この人は自分を子ども扱いしてこないか、という一点にほぼ集約されてた。奢られすぎるのがきつい、アドバイスから入られると距離ができる、そういう話ばかり出てくる。

逆に評判がよかったのは、自分の失敗をあっさり喋る人。仕事でやらかした話、部下に泣かれた話、離婚したときの話。年上の弱さって、彼らからすると珍しくて、ちょっと嬉しいものらしいの。完璧なお姉さんより、変な趣味を持ってる人のほうが刺さってた。

30歳の男性が言ってた一言が、いまも頭に残ってる。年上かどうかより、この人といると自分が馬鹿にされないなって分かるかどうか。それだけです、って。

その気持ち、相手への恋なのか、若さへの憧れなのか

見分け方はシンプル。相手のダサい部分を聞いたときの、自分の反応です。転職に迷ってウジウジしてる話。家賃を滞納しかけた話。母親と揉めて実家に帰れなくなった話。それを聞いてもまだ会いたいと思うなら、ちゃんと相手を見てる。話が急に色褪せて感じたなら、見てたのは相手じゃなくて、相手が持ってる時間のほうだった。

もう一つある。返信が来ない数時間、頭の中で何をしてるか。相手の忙しさを想像してるのか、自分が選ばれなかった証拠をせっせと集めてるのか。後者に心当たりがあるなら、それは恋というより、自分の値札を確認する作業になってる。相手は誰でもよくて、反応が欲しいだけの状態。

自分の値札を確認したいだけなら、相手を巻き込む前に気づけたほうが傷は浅い。ここを見誤ったまま突っ込んだ人の顔は、半年後にだいたい灰色になってた。

職場に相手がいるなら、ここだけは守って

年下を好きになるケース、圧倒的に多いのが職場です。単純接触効果というやつで、会う回数が増えるほど好意は自然に育つ。毎日顔を合わせる相手を好きになるのは、心が緩んだからじゃなくて仕組みの問題。

だから責める必要はない。ただ、立場が上の側が動くと、それは好意じゃなくて圧力として届きます。ここを軽く見た人が、一番きれいに転んでた。

食事に誘うときの言い方、二人きりを作る回数、業務外の連絡。年上で役職が上なら、相手には断る自由が実質ないと思ったほうがいい。相手が笑って了承したことを、同意だと数えないこと。

意味深な態度で気づかせようとするのも同じ。相手に察させて、判断だけさせるのは、優しさの顔をした押し付けです。

伝えるか、しまっておくか

この判断で何ヶ月も止まってる人、めちゃくちゃ多い。決め方を一つ置いておく。

伝えたあと、断られた自分がその場に立っていられるかどうか。想像したときに膝から力が抜けるなら、まだ早い。相手の返事で自分の価値が決まる状態で告白すると、断られた瞬間に相手を恨むことになるから。恨みが混じった片思いは、確実に相手を追い詰める形に変わっていく。

逆に、断られても明日ちゃんとご飯が食べられそうだと思えたなら、そこはもう伝えていいところ。相手を試す必要も、遠回しに匂わせる必要もない。短く言って、返事を待って、その返事を受け取るだけ。

しまっておくという選択も、負けじゃないからね。誰にも言わないまま、心の中で一年くらい大事に持ってた人が、その一年で仕事も服装も変わってた例を知ってる。感情は、必ずしも相手に届けなくても燃料にはなる。

やっていいこと、絶対にやっちゃだめなこと

好きでいるのは自由。伝えるのも自由。ただ、自分の苦しさの後始末を相手にやらせるのだけは違う。

深夜3時の意味深なメッセージ。試すような沈黙。他の異性の名前をわざと出す駆け引き。あれは恋愛じゃなくて、自分の感情を相手に運ばせてるだけ。年齢に関係なく、ここを越えた人は関係ごと壊してた。例外は見たことがない。

やっていいのは、生活のほうを整えること。相手のSNSを遡る時間を、自分が上機嫌でいられる何かに置き換える。ざわっとした夜に走りに行くようになった人が、3ヶ月後にまったく別の相手と付き合ってた例もあるし。感情を消そうとするんじゃなくて、感情の置き場所を広げるイメージ。

それと、眠れない日が2週間以上続いて仕事や家事に穴が空いてるなら、それはもう恋の問題じゃない。心療内科でも自治体の相談窓口でもいいから、体のほうを先に助けてあげてほしい。恋煩いの顔をした別のものが混ざってることは、実際にある。

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