イベントの後半戦、彼女はいつもテーブルの真ん中にいる。初対面の男性にも肩の力の抜けた感じで笑いかけて、二次会では隣になった人と、まるで十年来の友達みたいに盛り上がってた。その輪から半歩だけ外れた場所で、ずっと彼女を目で追ってる男性がいるんだよね。
視線の先で、彼女がふっと笑う。ドキッとする。今の、自分にだけ向けてくれた気がした…。ところが五分後。ドアから入ってきたばかりの新入りにも、彼女はまったく同じ角度で笑ってた。
あれ。俺、ちょっとだけ特別だと思ってたのにな
この温度、勘違いなのかな。それとも脈あり? うちのサークルを運営していると、この手の男性を毎月のように見かける。誰にでも優しい女性を好きになって、でもその優しさが自分に向いたものなのか判断できなくて、期待と落胆のあいだをぐるぐる往復してる人たち。気持ち、めちゃくちゃわかるよ。かつて自分も、似たようなことで頭を抱えたことがあるからさ。
そもそも、なぜこの恋はこんなに難しいのか
誰とでも仲良くなれる女性を好きになると、恋の難易度がぐっと跳ね上がる。これは気のせいじゃなくて、ちゃんと理由がある。
一番大きいのは、信号にノイズが混ざりすぎること。彼女はもともと、みんなへの優しさの基準値がやたら高い。だから、あなたへの好意が特別なのか、いつもの彼女の平常運転なのか、その差分が見えにくいわけ。恋愛心理の世界でよく言われるのは、その人の普段の温度が高いほど、そこからのプラスαが埋もれて読めなくなる、という話。優しさが標準装備の人だと、加点が見えないんだよ。テストで全員に八十点あげてる先生から、自分だけが特別扱いされてるか見抜くようなもの。むずいに決まってる。
次に、ライバルが実際より多く見えてしまう。彼女が誰かと楽しそうにしてる場面を目撃するたび、頭の中で勝手に競争相手を数えちゃう。あの人も、この人も…って。もやもやが静かに積もっていく。本当は候補ですらない相手にまで、心の中で一人相撲の嫉妬をしてたりするから、これがまあまあ消耗するんだよね。
深まりにくさ、というのもある。広く浅く温かさを配れる人ほど、二人だけの濃い時間を作るのに時間がかかる。みんなと仲がいい状態がその人のデフォルトだから、そこから一段深い場所へ抜ける入り口が、なかなか見つからない。全員と等距離にいる人の、その等距離を一歩詰めるのが、思ったより骨が折れる。
それから、曖昧さに耐えなきゃいけない期間が長い。はっきりした返事が来ないまま、宙ぶらりんの時間がずるずる続く。この待ちの時間が、正直いちばんきついかもしれない。
最後にひとつ、これが一番やっかいなんだけど。彼女自身、友情の親しみと恋愛感情の線引きが、本人でもよくわかってないことがある。だから明確なサインを出したくても、出せない。つまりね、あなたの読解力が足りないんじゃなくて、そもそも明確な信号が発信されてない、ってわけ。
みんなに優しい彼女が、実は抱えていること
もうひとつ、現場で長く見てきて気づいたことがある。誰とでも仲良くなれる女性ほど、心のどこかで、誰にも本当の自分を見られてない、って感じてたりするんだよね。
うちのイベントだと、こういう子はたいてい幹事役をやってる。飲み物が足りない人にすっと気づいて、初参加で浮いてる人にさりげなく話を振って、場をまわす。ずっとホスト側。楽しそうにしてるんだけど、片づけが終わった深夜、ふと真顔に戻る瞬間があってさ。あの表情、何度か見たことがある。
みんなに気を配れる人は、その分だけ、自分の素を出す場所を持ちにくい。いつも人気者の顔でいるうちに、それが半分、鎧みたいになってる。だからこそ、その鎧をおろせる相手を、本当は探してる。ここを理解してるかどうかで、あなたの立ち位置はまるで変わってくるよ。
判断材料にしちゃいけない、よくある勘違い
ここからが本題。多くの男性が脈ありサインだと信じ込んで、盛大に空回りするポイントがある。先に地雷を潰しておこう。
ボディタッチ。話しながら肩をポンと叩いたり、腕に軽く触れたり。これ、やる人は誰にでもやるんだよね。あなただけの特別行動とは限らない。笑顔もそう。とびきりの笑顔を向けられて舞い上がっても、隣の人にも同じやつが飛んでたりする。あと、LINEの返信が爆速なこと。マメな子は、ほぼ全員に爆速で返すから。
うちの常連だったKさんの話。彼女からのLINEがいつも一分以内に返ってくることに舞い上がって、まだ二回しか二人で会ってないのに、勢いのまま告白しちゃったんだよね。返ってきたのは、ごめんね、そういうつもりじゃなくて、っていう申し訳なさそうな一言。ズキッときたと思う。しかもそのあと、あんなに気楽だった飲み仲間としての距離まで、なんとなく気まずくなっちゃって。彼、しばらくイベントに顔を出さなくなった。もったいなかったなあ。
即レスは性格。ボディタッチは癖。ここを脈ありと数えた瞬間、足元がぐらつく。急いで動くと、今ある心地よい関係ごと失いかねないから、ここだけは冷静に構えたいところ。
本当に見るべき、たった数個のサイン
じゃあ何を見ればいいの、って話だよね。派手な行動じゃなくて、もっと地味な場所に答えがある。
まず、彼女のほうから、あなた個人に連絡が来るか。全体グループへの投稿じゃなくて、あなた宛に、あなたが前にぽろっと言ったことについて届くかどうか。反応じゃなくて起点、っていうのがカギ。受け身の優しさは全方位にまくけど、自分から動く手間は、そうそう誰にでもかけないからね。
前に参加してた女性で、こういう子がいた。ある男性が、雑談のなかで一度だけ口にしたラーメン屋を、ちゃんと覚えてたの。後日、この前言ってたお店、行ってきたよ、って個別に写真を送ってた。しかも、それを他の誰にもやってなかった。みんなには等しく優しいのに、その一人にだけ、記憶の解像度がやけに高かったんだよね。じわっとくるよね、こういうの。
些細な発言を覚えてる。これは思ってる以上に大きい。人って、心が向いてる相手の言葉ほど、無意識にストックしちゃうものだから。
そしてここが核心。素の顔や、弱さを見せてくるかどうか。誰とでも仲良くなれる人は、さっき話した通り、いつも人気者の鎧をつけてる。ずっと明るく、ずっと気を配って。その鎧を、あなたの前でだけそっと外して、疲れたとか、こういう場たまにしんどい、みたいな弱音をこぼすなら、それは相当な信頼のあらわれ。カウンセリングの現場でもよく言われるのが、弱さを見せ合える関係は、そう簡単には作れないってこと。誰にでも配る笑顔の下を、一人にだけ開いてみせる。これ、かなりの特別扱いなんだよ。
またまた現場の話でごめんね。いつもピカイチに明るかった女性が、二次会の帰り道、たまたま並んで歩いてた男性一人にだけ、正直こういう賑やかな場、たまに気疲れするんだよね、ってこぼしたことがあった。数ヶ月後、その二人、普通に付き合ってたわ。あの夜の弱音が、たぶん二人の入り口だったんだと思う。
あとは、彼女が忙しいときにあなたが優先されるか。それと、彼女の口にする未来の予定に、なぜかあなたが含まれてるか。今度あそこ行こうよ、の中に自分がいるなら、悪くない兆しだよ。
逆に、脈なしのときに出やすいこと
切ないけど、こっちも見ておいたほうがいい。目をそらしても、事態は良くならないからさ。
二人きりになるのを、それとなく避ける。誘っても、いつのまにか複数人の予定にすり替わってる。個別の連絡が妙に事務的だったり、既読のまま止まりがちだったり。恋愛の話題になったとき、あなたを相談役のポジションに固定してくるのも、わりとはっきりしたサイン。〇〇くんって話しやすいわ〜、の便利枠に収まってると、恋愛対象からは静かに外されてる可能性がある。彼女が思い描く先の予定に、自分の姿がまるで出てこないのも、うっすら答えの出てるパターンかな。
とはいえ、この一個だけで白黒つくものでもない。いくつ重なってるか、そこをそっと確かめてみてほしい。一回の冷たさより、繰り返されるパターンのほうが、ずっと正直だから。

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