イベント会場の片隅で、ひとりの女性がこっそり話しかけてきたことがある。
「ねえ、あの人、私と話すたびに顔が真っ赤になるんです。これってどういう意味なんですかね」
声はひそひそなのに、目がぎらぎら輝いてた。彼女が指さした男性は、たしかに彼女に話しかけられると耳まで朱色に染まるタイプだった。でもあの男性、他の女性から話しかけられたときも、だいたい同じくらい赤くなってた。女性全般が苦手な、シャイ系の人見知りだっただけ。彼女はすごくがっかりしてたけど、これが現場の現実。赤面イコール脈ありじゃないし、だからといって赤面があるから脈なしでもない。
男性が顔を赤くする理由は緊張からくるものが一番多い。内向型・人見知りタイプは、異性と話すだけで自律神経がざわついて、顔に血が集まる。これは特定の相手への好意とは無関係に起きる生理反応で、好きじゃない相手の前でも赤くなる。
次に、好意による興奮状態。好きな人の顔を見た、名前を呼ばれた、偶然目が合った。そういう瞬間に脳内のドーパミンとアドレナリンが連動して血管が拡張する。顔が熱くなるのはその結果で、意識でコントロールできない反応。
プレッシャーが原因のこともある。「失敗したくない」「また変なこと言ってしまいそう」という焦りが体に出るパターン。好意がある場合もあるけど、単純に場の空気が苦手なだけのこともある。
あとは体質の問題。皮膚が薄くて毛細血管が見えやすい人は、少しの刺激でも赤くなりやすい。お酒が弱い人も同様で、飲み会での赤面は体質由来が多い。
最後に、恥ずかしい話題に踏み込まれたとき。過去の恋愛話や失敗談を掘られたら、好意があろうとなかろうと誰でも赤くなる。
この5パターンを知らずに「赤い=好き」と直結させると、空回りの原因になる。じゃあ、本当に脈ありのときはどう見極めるのか。
脈ありの赤面には、ほぼ必ずセットで現れるサインがある。7つ紹介する。
サイン1 視線が逃げてから戻ってくる
脈なしなら、そもそも目を合わせようとしない。でも脈ありの男性は、見たいけど恥ずかしくて一瞬逃げてしまう。そしてまた見る。この「逃げ→戻る」の繰り返しが出てたら、かなり確度が高い。
サイン2 声が落ちるか、少し上ずる
どちらかといえば低くなるケースが多い。無意識に自分を落ち着かせようとしてるのと、緊張が混在してる状態。普段と声のトーンが違うなら、意識してると見ていい。
サイン3 返答が1〜2秒遅くなる
頭の中で「何を言えばいいか」を超高速処理してる。これ、どうでもいい相手には起きない。気にしてない人への返答は、わりと即座だから。
サイン4 気づいたらふたりだけの会話になってる
グループで話してたのに、なぜかあなたとの会話だけが続いてる。これは無意識に距離を縮めようとしてる行動で、イベント会場でもよく観察するパターン。
サイン5 用もないのにそばにいる
偶然の回数が異常に多い。隣に来るタイミングが重なる。正直言って、偶然が何度も重なるのは偶然じゃない。
サイン6 唇をぎゅっと結んだり、首の後ろや後頭部を触ったりする
自己鎮静行動と呼ばれるしぐさで、緊張を自分でなだめようとしてる。好意がある相手の前で顕著に出ることが、行動心理の研究でも言及されてる。
サイン7 前回の会話を覚えてる
「そういえばあの話、その後どうなったの」って聞いてくる。これが一番わかりやすい。記憶してるのは、あなたのことを気にしてる証拠。赤面だけじゃなく、これが重なったら本気だと思っていい。
ただし、勘違いしやすいケースが3つある。
飲み会やパーティーでの赤面。アルコールが入った場面での赤みは体質によるものがほとんどで、素面のときと比較しないと意味がない。飲んでない状態で赤くなってるなら、信頼度は上がる。
ちょっと踏み込んだ話をした直後の赤面。下ネタや過去の恋愛事情を話したとき、その内容が恥ずかしいだけで赤くなるケースは多い。あなたへの特別な感情じゃなく、話題の性質の問題。
人見知りが強すぎるタイプ。最初に紹介した彼女の話に戻ると、あの男性は女性全般に対して同じリアクションをしてた。特定の誰かへの好意じゃなく、性質としての緊張だった。見極めるコツはシンプルで、他の人と話してるときとの差を観察すること。あなたとの会話だけ赤さのレベルが違うなら、それには意味がある。
ここで、うちのイベントでよく見てきた話。
30代前半のエンジニア系の男性Bさんは物静かで、表情がほとんど変わらないタイプだった。あるとき、同じくイベントに来てたCさんと話すたびに、顔はほぼ無表情なのに耳だけじわじわ真っ赤になってた。Cさんも「なんか赤くなるんですよね…どう思いますか」と迷ってた。
Bさんをしばらく観察してたら、Cさんと話すときだけ声がワントーン落ちること、会話が終わった後に無目的にスマホをいじりはじめることに気づいた。「次のイベントいつですか」って聞いてきたのも、Cさんが参加表明してた前後の回だけだった。
意識してる人にしか向けない行動が、じわじわ積み重なってた。
結果、半年後にふたりで会うようになったと連絡をもらった。Cさんが「少しだけ歩み寄ってみた」のがきっかけだったらしい。Bさんは後から「あのとき声をかけてもらって、ようやく動けた」と言ってたそうだ。
シャイな男性は、自分からは動けないことが多い。でも向こうからは、確実に近づいてくる。その小さな動きに気づけるかどうかが、分かれ目になることは珍しくない。
アメリカの社会心理学者マーク・レアリーの研究によると、赤面が起きやすいのは「他者からの評価を強く意識したとき」が多い。つまり、相手に良く見られたいという気持ちが強いほど赤面しやすい。好意の表れとして機能していることは多い。
ただ、赤面しない男性が脈なしとは限らない。感情表現が薄いタイプは、好きな相手の前でも表情がほとんど変わらないことがある。顔が赤くなる男性のほうが好意を読みやすいというだけで、赤くならない人が気持ちを持ってないわけじゃない。
シチュエーションによっても、赤面の出方と読み方は変わる。
職場や学校のような毎日会う環境では、最初は赤くなってたのに慣れてくると落ち着くことがある。だからといって気持ちが冷めたわけじゃない。慣れてきても「あなたのそばを選ぶ」行動が続くなら、それは意識してる証拠。ランチのとき隣に来るとか、帰り道が自然と一緒になるとか。
飲み会や遊びの場では、前述のとおりアルコールとの見分けが必要だけど、飲んでない段階から赤くなってるなら話は別。
LINEや電話でやり取りが続いた後にリアルで会うと、急に赤くなる男性がいる。デジタルで距離を縮めたあとにリアルで再会する緊張感からくるもので、これは好意が高まってるときに出やすいパターン。
ふたりきりの空間で赤くなる場合は、グループのときよりも確度が上がる。緊張しやすい人でも、人目があるとある程度は気が紛れる。ふたりきりでもっと赤くなるなら、意識してる可能性が高い。
ぽかぽかした顔の赤みを遠くから見るのは可愛らしく映るけど、近くで見ると本人はかなり焦ってる。耳がじんじんと熱くなる感覚は、自分ではどうにも止められない。だから赤くなる男性を責めるんじゃなく、赤くなってることをさらっと流してあげると、相手は助かる。指摘するのが一番マズい。どどっと恥ずかしさが増して、逆に固まってしまうからご注意を。

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