あのパーティー、終わった後の静けさが妙に頭に残っている。
カップリングカードを書き終えて、全員が結果を待っているあの数分間。誰かの膝が、かすかに揺れていた。あの空気、わかるよねぇ。何十回とイベントを回してきたけど、毎回あの瞬間だけはコンビニの蛍光灯みたいな緊張感がある。
イベントサークルを運営していると、成立する人・しない人の差がだんだん見えてくる。スペックじゃないんだよなぁ、これが。年収が高くても空振りする人いるし、見た目が地味でも毎回カップルになる人いる。じゃあ何が違うのか。現場を見ながらずっと考えてきたことを、ここに書いておく。
成立する人・しない人、その差は「準備」じゃない
よく「事前に話題を考えてきました!」って人がいる。メモまで持参してくる人もいる。気持ちはわかる、わかるんだけど、そういう人に限って当日ぎこちないんだよね。
成立する人に共通しているのは、準備の質じゃなくて、当日の余裕の使い方だった。
あるイベントで、参加歴3回目で初めてカップルになった男性がいた。最初の2回は緊張で声が上ずっていたらしいのに、3回目は「もうダメでもいいや」ってスイッチが入ったと言っていた。その日、彼は相手の話を遮らなかった。否定しなかった。ただ、うん、そうなんだ、それいいね、って相槌を打ち続けた。それだけで成立した。
逆に、脱落するパターンはある意味わかりやすい。自分の話だけする人、沈黙を怖がって喋り続ける人、スマホを見る人。これ全部、相手に自分のことを見せようとしすぎているときに起きる。
自己紹介タイム、3〜5分の使い方
1人あたり3〜5分。短い。でもここで印象は決まる。
よくある失敗は、職業・年齢・趣味を順番に言う自己紹介。聞いているほうの顔が、うっすらと曇っていく瞬間を何度も見てきた。情報を並べているだけで、話しかけたくなる余白がない。
成立率が高い人は、自己紹介の中に必ず「返しやすい一言」を入れている。
趣味がキャンプです、じゃなくて「去年から始めたんですけど、道具にハマりすぎて冬でも行っちゃうんですよね(笑)」みたいな。相手が「えっ冬でも?」って聞けるように、わざと引っ掛かりを残す。
これ、会話の設計なんよね。一方通行のプレゼンじゃなくて、相手が乗っかれるようにわざとスペースを空けておく感じ。やってる人は意識していないかもしれないけど、話を聞いてみると自然にそうなっていることが多かった。
あと、笑いを取ろうとしなくていい。ちょっと笑える雰囲気、くらいで十分。ウケを狙いにいって滑ったときの空気は、その後のフリートークに確実に響く。
フリートークで好印象を残すコツ
フリートークは早い者勝ちの側面がある。人気のある参加者には列ができる。焦る気持ちはわかるけど、焦って話しかけても相手の顔が向いていないことが多い。
ここで使えるのが「2番手作戦」。
誰かと話し終えたタイミングを狙う。さっきの話の続きみたいに入れるし、相手も切り替えのタイミングだから聞く体勢ができている。実際に、ずっと2番手で入り続けてカップルになった女性がいた。彼女は焦らず、でも確実に、話すべき人に話しかけていた。
会話の中身については、正直どんな話題でもいい。大事なのは話す内容より、聞いているときの態度のほうがずっと大きい。
相手の話を聞きながら、体ごと向き直す。それだけで相手の表情が変わるのを何回も見てきた。視線じゃなくて、姿勢が向くこと。これが相手に届く。
「好きな食べ物は?」みたいな当たり前の質問でも、その答えに対して本気で反応すれば会話は広がる。「え、辛いもの好きなんですか、意外!どのくらい辛いの食べられます?」くらい掘っていけば、5分なんてあっという間に過ぎる。
第一印象カードに選ばれる外見・服装の話
見た目の話をすると「やっぱりルックスか」ってなりがちだけど、そんな単純な話じゃない。
現場で感じてきたのは、清潔感と、場に合った服装の組み合わせが大事だということ。おしゃれじゃなくていい。でも、シワシワのシャツで来た人が選ばれているのを見たことはない。
ドキッとするくらい決め込んできた人が必ずしも選ばれるわけでもない。むしろ少し力の抜けた格好の人が、親しみやすい雰囲気で選ばれていることも多い。
色は重要で、白・薄いブルー・ベージュあたりは鉄板。暗い色でまとめすぎると、全体的に近づきにくい印象になる。これ、参加者に聞いたら「言われてみれば確かに…」ってなること多いんよね。
あとは香り。これ意外と言われるんだけど、近くに来たとき、いい匂いの人はほぼ好印象。逆も然りで、強すぎる香水はマイナスになる。柔軟剤のほんのりした感じが、一番嫌われないライン。
カップリングカードの書き方
告白タイム・カップリングカードの記入は、パーティーのクライマックスだ。ここで手が止まる人は多い。
よくある迷いは「第一希望を書いていいのか」という謎の遠慮。気に入った人がいるなら、ちゃんと第一希望に書いていい。当然の話なんだけど、なぜかここで遠慮して第二希望に書いて、結果マッチングしなかった人を見てきた。書かないと伝わらない。
複数希望を書ける形式のパーティーでは、第1〜第3まで正直に書いていい。希望がマッチすればカップル成立、という仕組みなので、曖昧に書いても誰も得しない。
カードを書く前に少しだけ振り返る時間を持てると、焦らず書ける。フリートーク中に「この人と話しているとき、自分がちょっと前のめりになっていたな」って感覚を大事にしてほしい。理由なんてなくていい。なんか好き、でカードを書いていい。
当日、やってしまいがちなNG行動
何百回とイベントを見ていると、成立しない人がやりがちな行動パターンが見えてくる。
一番多いのが、グループで固まってしまうこと。同じ性別の参加者同士で固まって笑っていると、異性から声がかかりにくくなる。気持ちはわかるけど、パーティー中は意識的に一人でいる瞬間を作ったほうがいい。
次に多いのが、スマホをいじること。フリートークの合間に手持ち無沙汰になってスマホを見る。それ自体は仕方ないけど、そのタイミングに話しかけてきた人がいたときに気づけない。スマホはバッグの中でいい。
あと、これは言いにくいんだけど、他の参加者を値踏みするような視線。パッと見て「あ、この人は…」って顔をする人がたまにいる。同性からも見られているし、空気は思っているより伝わる。
特定の人ばかりを追いかけるのも、じわじわ印象を下げる。自己紹介タイムが終わったあと、気になる人の席の近くをウロウロしている男性を何度か見たことがある。相手も気づいているし、他の参加者も気づいている。
連絡先を交換したあとのフォロー
カップル成立したあと、連絡先を交換してそのまま止まってしまうケースが意外と多い。
当日中か翌日中にメッセージを送るのが基本。パーティーの感想を一言、それだけでいい。長い文章は逆に相手を構えさせる。
ここで使えるのが、当日の会話の中の何か。パーティーで話した具体的な話題を拾うと、記憶を共有している感覚が生まれて返信率が上がる。
あるパーティーで出会った2人は、当日の自己紹介で出てきた「好きなラーメンの話」からそのままデートのお店を決めたらしい。特別な言葉なんて必要なくて、当日の会話を引き継ぐだけでよかった、という話だった。
ラリーが続いてきたら、早めにデートを提案したほうがいい。メッセージが続くほど、相手の中でのあなたの像は固まっていく。実際に会って話せば補正できることも、文字だけでやり取りを続けると変に慎重になって動けなくなる。
これだけ書いておいて言うのもあれだけど、結局パーティーって、自分のことを嫌いじゃない状態で参加することが全ての前提なんだよねぇ。
どんな技術より、今日の自分でいいや、って思えているかどうか。カードを書く手が止まらない人って、だいたいそこが落ち着いている。攻略より先に、そっちが整うといい。

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