年上の男性に惹かれる自分を、どこかおかしいと思ったことがある人は少なくないんじゃないかなぁ。
社会人向けのイベントサークルを運営していると、参加者同士の距離が縮まるにつれて、こんな打ち明け話を耳にすることがある。「なんか、同世代より年上の人の方が落ち着く」「10歳以上離れた人にばかり惹かれてしまう」「これって普通じゃないのかな…と悩んでる」。
そういう女性たちに話を深掘りしていくと、ほぼ必ずと言っていいほど、家庭環境の話が出てくる。父親のこと。幼少期の家の空気。
これは「年上好き=異常」という話じゃない。どちらかというと、心の奥で何かを探し続けている、その理由を知るための話だ。
年上好きの女性に多い家庭環境、5つのパターン
恋愛心理の研究や、イギリスの発達心理学者ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論では、幼少期に形成された「安全基地」の感覚が、その後の恋愛対象の選び方に深く影響すると言われている。要するに、子どものころに誰からどんなふうに愛されたかが、大人になって「この人が好き」と感じるときのフィルターになりやすい。
パターン① 父親が不在または希薄だった家庭
物理的な不在に限らない。毎日家にいるのに、会話がない。褒められた記憶がない。そういう「精神的不在」も含む。
イベントで知り合った30代前半の女性、Aさんの話が印象的だった。「うちは父がいたけど、ほとんど会話しなかった。だからなのか、仕事ができて落ち着いた年上の男性に話しかけられると、胸がドキドキして止まらなくて」と言っていた。
父性的な存在から「認められる」という体験が少なかった場合、年上の男性の言動ひとつひとつに、過剰なほどの意味を感じてしまうことがある。「すごいね」の一言が、ダイレクトに心の芯に刺さるんだよね。
パターン② 過干渉・コントロールが強い家庭
「あなたのためを思って」という名のもとに、選択肢を与えられずに育った女性は、逆に「包んでくれる人」に強く惹かれる傾向がある。自分では決断できない不安があるから、決断力のある年上男性に安心感を覚えるわけだ。
ただ、これは気をつけないといけないパターンでもある。過干渉な親のもとで育つと、「支配される=愛されている」という感覚が刷り込まれてしまうことがある。結果として、自分をコントロールしようとする年上男性に惹かれ、気づいたら「これって恋愛なのか、それとも親子関係の再演なのか」となってしまうことも。
パターン③ 家庭内の不安定さが日常だった
経済的な不安定、親同士のけんか、アルコールの問題など、家の中がざわつく環境で育った場合、「安定感」が何より魅力的に映る。年上の男性が持つ経済力や落ち着いた佇まいは、幼少期に手に入れられなかった「安心」そのものに見えることがある。
これも、愛着理論の文脈で言えば、不安型の愛着スタイルが形成されやすい環境だ。常に不安を抱えていたから、「この人といれば大丈夫」と感じられる相手をひたすら求めてしまう。
パターン④ 父親が理想的だった
意外に思われるかもしれないけど、「父親が大好きだった」という女性も、年上男性に惹かれやすいことがある。父親との関係が温かく良好だった場合、「あのときの安心感」を無意識に探す。父親に似た雰囲気・声のトーン・価値観を持つ年上男性に出会ったとき、脳が一種のデジャヴを起こす感じ。
うちのイベントで出会ったカップルで、15歳差で交際に発展したケースがあった。後日そのお二人から話を聞くと、女性の方が「彼の笑い方が父に似ていて、最初からなんか懐かしかった」と話してくれた。(ほんとに人間の脳って面白いなぁと、その時思ったわ。)
パターン⑤ ケアテイカー(世話役)として育った家庭
親の感情を管理することを幼いころから担ってきた場合、年上男性への「支えたい」「心配させてあげたい」という感情が強く出ることがある。「弱いところを見せてくれる年上の人」に特別な感情を抱くのは、子どものころから磨いてきた「誰かの役に立つことで存在意義を感じる」という回路が動くから。
これ、傍から見ると献身的な愛に見えるけど、当事者の中では「愛してあげないと捨てられる気がする」という恐怖が動力になっている場合もある。
自己診断チェックリスト|あなたの恋愛傾向、家庭環境が影響してる?
以下の項目、読んでみてほしい。当てはまるものの数を数えるだけでいい。
父と会話した記憶がほとんどない 父からほめられた記憶がない 家の中がいつもどこかピリピリしていた 親の顔色を読んで行動することが多かった 同世代の男性といると、なんか幼くて物足りないと感じる 年上の人に褒められると、同世代に褒められるより何倍も嬉しい 「守ってもらいたい」という感覚が恋愛の核にある 付き合うと相手の機嫌ばかり気にしてしまう 「この人がいなくなったら」という不安が強くなりやすい 自分より弱い部分のある年上の人に特別な感情を持ちやすい
0〜2個 おそらく家庭環境の影響は薄め。単純に年上の雰囲気や経験値が好みなのかもしれない。
3〜5個 少し影響がある可能性。自分の恋愛パターンを振り返ってみる価値はある。
6個以上 家庭環境が恋愛の選択基準に色濃く反映されている可能性が高い。ただし、それイコール不幸じゃない。知っておくことが、まず第一歩だ。
「おかしい」じゃなくて、「理由がある」
年上好きを自己否定している人に、声を大にして言いたいことがある。
これは異常じゃない。心が安全を求めた結果、たどり着いた選択だ。
ただ、「理由を知っているかどうか」で、恋愛の質はがらりと変わる。パターンを知らないまま突き進むと、父親との未解決な感情を恋人に重ねて、同じ傷を繰り返してしまうことがある。一方、「自分はこういう背景がある」と自覚している人は、相手を選ぶ目が変わってくる。依存じゃなく、対等に惹かれ合える関係を築けるようになる。
イベントで見てきた限り、年上の男性と長く幸せに続いているカップルに共通するのは、女性側が「自分がなぜこの人に惹かれるのか」をちゃんと言語化できているということだ。ぼんやりと惹かれているんじゃなくて、「この人の穏やかさが好き」「一緒にいると焦らなくていいから好き」という、自分なりの言葉を持っている。

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