MENU

幸せすぎて怖い恋愛の心理|壊したくなる理由と対処法・返し方

去年の秋、うちのサークルで開いた小さなワイン会でのこと。
乾杯からしばらくして、隣の席の女性がグラスを見つめたまま言ったんです。

「彼が優しすぎて、怖いんですよね」

ノロケじゃないんです!と、彼女は何度も念を押しました。
付き合って半年。連絡はまめで、記念日も覚えてくれる。
なのに夜になると胸の奥がざわざわして、眠れない日が続いているという。

正直言って、この相談は珍しくありません。
出会いの場を運営して幸せの真ん中で泣きそうな人を、何人も見てきました。
恋人がいない悩みより根が深いことも多いんですよね。

目次

幸せの真ん中で不安になるのは、心がまだ幸せに追いついていないから

ふとした瞬間に、この幸せはいつまで続くんだろう、と考えてしまう。
そこから先は早い。
別れる場面を勝手に想像して、まだ起きていない痛みで先に泣く。

幸せ恐怖症という呼び方を耳にした人もいるでしょう。
医学的な診断名ではなく、幸せな状態を居心地悪く感じる心の癖を指す言葉です。

失う痛みを、先取りして味わっている

人の心は、得る喜びより失う痛みを大きく感じるようにできています。
行動経済学ではよく知られた話で、同じ額でも失ったときの衝撃は倍近く。
恋愛だと、この差がそのまま怖さになる。

大切にされる時間が増えるほど、失ったときの落差も膨らんでいく。
だから心は無意識に、先に落ちておこうとする。
今のうちに悲しんでおけば、本番のダメージが減る気がして。

私には釣り合わない、という心の声

ワイン会の彼女は、こうも言っていました。
彼は仕事もできるし、友達も多い。
自分は普通の会社員で、特別きれいでもない。
釣り合っていない気がして、いつか本当の私を知られたら終わる、と。

この声、驚くほど多くの人が持っています。
自己評価が低いと、幸せの大きさがそのまま自分の足りなさを照らす鏡になる。
愛されればされるほど、まぶしくて目をそらしたくなるわけです。

見捨てられる不安が強い人は、相手の愛情を疑いやすい。
心理学で言う愛着スタイルの話で、幼い頃の家庭環境が影響しやすいとされています。

幸せに慣れていない心は、安心を疑う

これはうちのイベントで長く見ていて、いちばん腑に落ちた話。
不安定な恋愛ばかりしてきた人ほど、穏やかな相手を前にすると落ち着かない。

連絡が来ない不安、追いかける苦しさ。
苦しいはずのそれが、心にとっては知っている感覚だったりする。
対等で安定した関係のほうが、むしろ未知の場所。
どれだけ良いものでも、初めての土地に立てば人は身構えます。

幸せの上限を自分で決めてしまう、とカウンセリングの現場では説明されることがある。
ここまでは許される、これ以上は怪しい、と勝手に線を引いてしまう。

幸せの後には不幸が来る、という古い言い伝え

幸せと不幸は同じ量だけ来る。
しっぺ返しが怖い。
知恵袋あたりを覗くと、この手の言葉が山ほど並んでいます。

日本人は、幸せを語るときに一歩引く癖がある。
幸福感の文化差を調べた研究でも、似た傾向が出ています。
幸せを語る言葉に、長く続かない、妬まれる、といった影が混じる人が目立った。
喜びすぎない、はこの国では一種のお守りなんだよね。

でもね。
幸せの量を先に減らしても、不幸の量は減らない。
残るのは、味わい損ねた今日だけ。

怖さが行動に変わると、自分の手で幸せを壊しはじめる

不安のままなら、まだいい。
厄介なのは、それが行動に変わったとき。
うちの現場で見てきた壊し方は、だいたい二通りあります。

愛されているか、試してしまう

夜中に突然、今から来て、と送る。
返事が遅いと、やっぱり私のこと好きじゃないんだ、と落ち込む。
来てくれたら安心するかというと、次はもっと高いハードルを用意してしまう。

ボードゲーム会の常連だった28歳の女性が、まさにこれでした。
まさかの3か月、彼は律儀に応え続けたと聞きました。
最後に彼が口にしたのは、もう試験は終わり?の一言。

(きつい…でも、そりゃ限界でしょ)

試すような行動は、愛情の確認というより、愛情の消費。
確かめるたびに残高が減っていく。

幸せなうちに、別れたくなる

もう一つが、自分から終わらせようとする動き。
どうせ終わるなら、いちばん幸せな今のうちに。
そう考えて別れを切り出した人を、これまで三人は知っています。

そのうちの一人は、料理イベントで知り合った男性。
半年後に会ったら、はぁ…と大きく息をついてこう言いました。
「あれ以上の人、いないんですよ。分かってて手放した」

(マジか…あの人がそれ言うか)

主導権を自分で握れば、傷が浅くなる気がする。
結局、後悔という別の傷が上書きされただけでした。

幸せすぎて怖いときの、具体的な対処法

うちの参加者が実際に試して、変わったやり方がいくつかある。

不安を紙に出して、予測と事実に分ける

夜に怖くなったら、スマホより紙に書く。
彼に飽きられる、いつか別れが来る、私では釣り合わない。
書き終えたら、一つずつに印をつけます。
現実に起きたことか、まだ起きていない予測か。

やってみると分かるんですが、ほぼ全部が予測。
事実の欄に残るのは、今日も連絡が来た、くらい。
何度か繰り返すと、頭の中の嵐が思ったより小さく見えてくる。

ついでに、幸せの後に不幸が来た、という自分の過去も調べてみる。
本当に毎回そうだった?
振り返ると、不幸は幸せの後を狙っていたのか。
いや、ただ勝手に来ていた。

幸せの記録を、三行だけ残す

寝る前に、今日うれしかったことを三行。
駅まで送ってくれた、くだらない話で笑った、それだけでいい。
怖くなった夜に読み返せば、愛されている証拠が手元に残っています。

幸せに慣れていない心には、慣れるための練習が要る。
一気に受け取ろうとするから、光に当てられた目みたいに閉じてしまう。
少しずつ、目を開けていられる時間を延ばす。

手をつなぐ、隣で黙って座る。
そういう時間を増やした人は、変化が早かったなぁ。
言葉より体の安心のほうが、先に心へ届くみたいですね。

試すのをやめて、怖い、をそのまま渡す

試し行動の代わりに、何をすればいいのか。
不安を要求の形にせず、感想として渡すことです。

今から来て、の代わりに。
今日ちょっと不安になってた、声を聞いたら落ち着いた、ありがとう。
これだけで相手の受け取り方がまるで変わります。

重いと思われそうで言えない、という人は多い。
ところが、うまくいっているカップルほど、この手の弱音を早い段階で共有しています。
私も昔、付き合いたての彼女に本当に俺でいいの?と三回聞きました。
四回目で本気で怒られた(泣)。
あの時は聞くのをやめて、伝えればよかった。
怖いくらい幸せなんだよね、って。

幸せすぎて怖い、と言われた側はどう返せばいいのか

ここからは、言われた側の話。
うちのイベントは男性の参加者も多く、この相談は意外と男性から来ます。

その言葉は、脈なしではなく、好きすぎるサイン

この言葉、別れの前触れじゃありません。
相手の中で、好きの量が本人の許容量を超えている状態。
言ってみれば、愛情の器からあふれた水です。

ただ、あふれた水は放っておくと不安に変わる。
返し方ひとつで、関係の温度が変わる。
大げさに聞こえるかもしれないけど、現場で見る限り、そう。

やってはいけない返し方

考えすぎだって。
大丈夫、俺がいるから。

一見優しいこの二つ、じつは相手を一人にします。
考えすぎ、は、あなたの感じ方は間違いという宣告。
大丈夫、は、話をそこで打ち切る合図。

参加者にいた32歳の男性は、彼女にそう言われて笑ってしまったんだとか。
そんなことで悩むなよ、と。
その夜、彼女は泣いて帰った。
彼はしばらく理由が分からなくて、飲み会でぽつりとこぼしていました。

(分からないよなぁ、男の側からは特に)

安心が届く言い方

心臓がドキッとするような名言はいらない。
必要なのは、否定しないことと、自分も同じ側にいると示すこと。

俺も同じくらい幸せだよ、だから怖いのも分かる。
怖くなったら、そのたびに言って。
そう返した32歳の彼は、半年後にスタッフとして戻ってきました。
彼女と一緒に。

いや、そのセリフ誰に教わったんだよ…と聞いたら、ネットで調べたらしい(笑)。

LINEなら、長文より短く。
今日も好きだよ、みたいな一行を、聞かれていない日に送る。
聞かれてから答える安心と、聞かれる前に届く安心は、重さが違うんです。

何度も同じ不安を口にする相手には

一度安心させたのに、二週間後にまた同じことを言われる。
ここで疲れてしまう男性が多いんですよ。
けれど、相手の記憶力の問題じゃない。
不安は消えない。薄まるだけ。

うちのスタッフ夫婦は、三年経った今でも月に一度はこの会話をしているそうです。
夫のほうは、もう定例会議みたいなもんっすよ、と笑っていた。
繰り返されることを前提にすると、腹が立たなくなる。
安心は一括で貯まらない。小銭みたいに積んでいくもの。

結婚や新婚で幸せすぎて怖いとき、マリッジブルーとどう違うのか

付き合っているときは平気だったのに、婚約してから急に怖くなった。
新婚で、幸せなはずなのに、なぜか無気力。
この相談は、イベントに顔を出してくれる既婚のOBやOGから聞くことがあります。

マリッジブルーは準備疲れ、幸せへの怖さは別物

マリッジブルーという言葉は便利すぎて、いろんな不安をまとめて飲み込んでしまう。
花嫁の6割前後が経験するという調査もあります。
中身の多くは、式の準備や環境の変化から来るストレス。
名字が変わる、住む場所が変わる、仕事をどうするか。

幸せすぎて怖い、は、もっと静かなところで起きます。
準備が終わって、生活が落ち着いて、何も問題がないのに怖い。
この違いを知っておくだけで、自分を責める時間が減ります。

幸せなのに無気力になる、新婚の罠

去年結婚したOGの女性が、こんな話をしていました。
入籍して仕事を辞め、望んだ通りの生活。
なのに体がだるくて、昼までゴロゴロしてしまう日が増えた。

しかも、休んでいると罪悪感が襲ってくる。
彼女の実家は、母親が家事をさぼると父親が冷たくなる家だったと聞いた。
自分もそうなるんじゃないか。
言いたいことを飲み込む癖がつき、この結婚でよかったのかな、と考え込む日々。

話しながら、じわっと目が潤んでいたのを覚えています。
幸せの中にいる人の涙って、たいてい昔の家の匂いがするんですよね。

本物の警告と、幸せへの怖さの見分け方

とはいえ、結婚前の不安をすべて怖がりのせいにするのは危ない。
相手が約束を守らない、お金の話をはぐらかす、怒鳴る。
そういう出来事が不安の芯にあるなら、それは怖がりというより警告です。

見分け方は一つだけ。
不安の理由を口にしたとき、相手の行動が並ぶか、自分の気持ちだけが並ぶか。
相手の行動が並ぶなら、立ち止まる。
自分の気持ちだけなら、幸せに慣れていないだけの可能性が高い。

そのOGは、夫に正直に打ち明けました。
返ってきたのは、ゴロゴロしてる君も好きだよ、という短い返事。
それで肩の力が抜けた、と笑っていたっけ。

婚約してから怖くなった人へ

プロポーズの翌週から眠れなくなった、という30歳の女性もいました。
返事はもちろんイエス。
なのに指輪を見るたび、胸がきゅっと縮む。
この人と一生、という言葉の重さに、心が追いつかなかった。

彼女がやったのは、一生を考えるのをやめること。
来月の旅行、次の週末のごはん、そこまでに区切って考える。
一生なんて、今週の積み重ねでしかないんだよなぁ。
半年後の結婚式で、彼女は泣きすぎて化粧が全部流れていた!

幸せすぎて怖い、と感じる人は、幸せを軽く扱えない人でもあります。
壊れやすい人であり、いちばん長く続く人でもある。
ワイン会の彼女は今年の春、その彼と籍を入れました。
まだ怖いらしい。
それでも、怖いまま隣にいる方法は覚えた、と少し照れながら教えてくれました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次