金曜の夜、交流会の受付で、Mさんの顔だけ少し曇っていた。
34歳、営業のマネージャー。いつもは場を回してくれる人なのに、その日は端の席でひとりグラスを握っている。
聞くと、前日の飲み会で部長に言われたらしい。
「Mも貫禄出てきたなぁ」
それって、太ったってこと?おばさんってこと?
彼女はそう言って、息を吐いた。
私はとっさに、貫禄って褒め言葉だよ、と言いかけてやめた。
彼女が聞きたいのは、そこじゃない。
交流イベントでも貫禄という言葉に引っかかって落ち込む女性を、私は何人も見てきた。
「貫禄あるね」と言われた女性が、あの夜黙り込んだ理由
褒め言葉のはずが、なぜ胸に刺さるのか
貫禄という言葉には顔が二つある。
ひとつは風格や落ち着き、頼りがいのある雰囲気。
もうひとつは体格や年齢、偉そうな態度の遠回し。
男性は風格の意味で使いがちなのに、女性は体型の話として受け取りやすい。
だから胸にぐさっと刺さる。
正直言って、私も一度やらかした。
イベントの司会で、堂々と自己紹介した女性に、貫禄ありますねと言ってしまったんだよね。
会場の空気が一瞬止まった(泣)
彼女の笑顔が固まったあの時の表情、今でも思い出す。
言った側に悪意はない。
なのに受け取る側は、女性としての評価を丸ごと否定された気分になる。
このズレが、あの言葉の厄介なところ。
言った相手で意味が変わる
部長や取引先からの貫禄は、まず仕事の評価だと受け取っていい。
落ち着いて判断できる、任せられる、そういう意味合いが強いから。
同僚や男友達の場合は少し違う。
話の間を埋めるために、なんとなく出た言葉のこともある。
安心感を伝えたくて、言葉選びを間違えただけのことも。
難しいのは、気になる相手から言われたとき。
Mさんが気にしていたのも、そこだった。
判断の材料は、貫禄の前後に何がくっついていたか。
一緒にいると落ち着く、頼りになる、そんな言葉が並んでいたら尊敬寄り。
体型や年齢の話題の流れで出てきたなら、少し警戒したくなる気持ちもわかる。
もうひとつ、恋愛対象として見ているかどうかのサインがある。
貫禄と言ったあとに、その人が二人で話せる場面を作ろうとするか。
次に会う話題に触れてくるか。
言葉だけ置いて離れていく人は、たぶん深く考えていない。
結局、Mさんの部長が何を思って言ったのかは分からないまま。
それでいいんじゃないかな。相手の頭の中は、本人にも言葉にできてないものだから。
返し方はひとつ覚えておけばいい
私が参加者によく勧めるのは、笑って聞き返すことです。
「え、どこが?教えて」
これだけで相手の本音が出る。
話し方が落ち着いてるから、と返ってくれば尊敬。
なんとなく、と濁されたら深い意味はない。
言葉に詰まって目が泳いだら…まあ、そういうことかもしれない(笑)
Mさんは次の週、実際にこれを使ったそうだ。
部長の答えは、若手が相談しに行く回数が増えた、だった。
彼女、その報告をするときちょっと照れてたなぁ。
貫禄がある女性の特徴、現場で見えてきた共通点
外見より先に、間の取り方でわかる
自己紹介タイムを何百回と見てきて気づいたことがある。
貫禄のある女性は、話し始める前に一拍置く。
沈黙を怖がらない。
声のトーンが低めで、語尾が上がらない。
背筋が伸びていて、グラスを持つ手がゆっくり。
服装は思ったより関係ない。
ざっくりしたニットでも、座り方ひとつで空気が変わる人はいる。
逆に、決めすぎた服で来た人ほど、落ち着きなく髪を触っていたりする。
断れる、けど冷たくない
連絡先の交換を求められたとき、彼女たちは無理に応じない。
今日は控えてます、と笑ってかわす。
断られた男性が嫌な顔をしていないのが面白いところ。
断り方に角がないのよ。
相手を否定せず、自分の線だけ引く。
これができる人は、飲み会の帰り道でも周りに人が残る。
自分の話を盛らない
経験は豊富なのに、武勇伝にしない。
年下の参加者が仕事の愚痴をこぼしたとき、最後まで遮らずに聞く。
(この人、絶対もっと大変な案件を抱えてるのに)
私が横で見ていて、そう思う場面が何度もあった。
自己肯定感が高い人は、他人の話で自分を大きく見せる必要がない。
恋愛カウンセリングの世界でもよく言われることだけど、この余裕は一朝一夕で身につかない。
年齢を重ねただけでは出てこないし、若くても持っている人はいる。
貫禄がある女性はモテるのか、男性たちの本音
惹かれる男性が口にする言葉
イベント後の匿名アンケートと、二次会でこっそり聞いた声を、いくつか拾ってみる。
一緒にいて焦らなくていい。
機嫌で振り回されないから安心する。
尊敬できる人と付き合いたい。
自由記述に、落ち着いた女性がタイプ、と書く男性は毎回いる。
愛着理論でいう安全基地の感覚に近い。
帰ってこられる場所がある、と感じさせる相手に人は惹かれるってやつ。
自分の世界を広げてくれる人を選びたがる心理も働く。
貫禄のある女性は、その条件を自然に満たしている。
うちのイベントでも人気が集まるのはそのせい。派手さはないけど、確実に。
引いてしまう男性が抱える劣等感
一方で、引く男性の言い分も生々しかった。
隙がない。
俺、いらなくない?
正論で詰められそうで怖い。
これ、女性側の欠点というより、男性が自分の役割を見つけられない話なんだよなぁ。
人は、自分の居場所が想像できない相手には近づけない。
カウンセリングの現場でも、関係が始まらない理由としてよく挙がる。
惹かれる貫禄と引かれる貫禄の分かれ目
同じ日のイベントに、貫禄のある女性が二人いた日がある。
Aさんは笑う。
男性の話に、へえ、それどういうこと?と身を乗り出す。
帰り際、荷物どっちがいいと思う?と年下の男性に聞いていた。
Bさんは腕を組んで座っていた。
話は的確。ただ、相手の話を途中で正す。
周りがざわざわしたまま、誰も隣に座らなかった。
余裕は、相手に席を空ける。
威圧は、席を全部自分で埋める。
貫禄が暖炉になるか、防火扉になるか。
分かれ目は、貫禄の量じゃなくて向きだった。
貫禄を恋愛の武器に変える、小さな隙の作り方
頼るのは大きな話じゃなくていい
Mさんが変えたのは、ほんの小さなこと。
コーヒー豆の選び方を、隣の男性に聞いた。
たったそれだけ!
でも彼はその後、二週間おきに豆の情報を送ってきたって(笑)
自己開示には返報性がある。
少し頼られた人は、少し頼りたくなる。
大きな悩みを打ち明ける必要なんてない。
もうひとつ、追いかけない。
連絡が来ない夜に三通目を送りたくなる気持ち、わかる。
ところが、貫禄のある人が追い始めると、相手はバランスを崩す。
返事を待つ時間は自分の予定で埋める。
Mさん曰く、それで随分楽になった。
弱音はひとつだけ、笑いながら
弱さを見せるときは、一個で十分。
実は人見知りでさ、と笑って言えたら、それで場が変わる。
全部さらけ出すと、今度は相手が支える側で疲れてしまう。
貫禄のある人が弱音を吐くとき、周りは驚いて、じわっと距離を詰めてくる。
ギャップって、そういうものでしょ?
やってはいけないこと
自虐で年齢や体型をネタにするのは、まさかの逆効果!
相手が笑うに笑えなくなる。
主導権をずっと握り続けるのも、相手の役割を奪う。
察してほしい、も危ない。
察してもらえる前提は、貫禄のある人ほど裏切られやすいから。
周りが勝手に、この人は大丈夫、と決めつけてしまうせいで。
貫禄がある女性と相性がいい男性
年下男性が意外と多い理由
うちのイベントで貫禄のある女性と付き合った男性、振り返ると年下が目立つ。
母数は小さいけど、何年見ても変わらない。
競わなくていい相手だから。
年下の彼らは、リードしなきゃという焦りから解放される。
心理学でいう相補性、足りないものを補い合う関係に落ち着く。
同世代の自立した男性
もうひとつのタイプは、自分の仕事で満たされている同世代。
彼らは女性の強さを脅威として見ない。
対等に議論して、対等に笑う。
結婚を意識した参加者には、このタイプの話をよくしている。
貫禄がある女性に惹かれた男性へ
彼女が本当に求めているのは、頼らせてくれる人
Kくん、29歳。
バーベキューイベントで、38歳のRさんに一目惚れした。
最初のアプローチはひどかった。
仕事の話で張り合って、年収の話まで持ち出して。
Rさんの目が明らかに冷めていくのを、私は焼き網の向こうから見ていた。
あー、それやっちゃダメなやつ…
後日、Kくんは作戦を変えた。
尊敬してることを、そのまま口に出す。
Rさんの意見を聞いて、自分の意見も対等にぶつけた。
最後に、実は自信ないんですよね、とぽつり。
三か月後、二人は付き合っていた。
貫禄のある女性は、支える人を探していない。
自分を頼らせてくれる人を探している。
年下なら、なおさら背伸びしない方がいい。
Kくんの最後の弱音が効いたのは、年下だったからでもある。
張り合わない、年齢の話をしない、雑に扱わない
Kくんの失敗から言えることは三つ。
張り合った時点で、彼女の中で男性は同僚枠に入る。
年齢や体型に触れた瞬間、貫禄の嫌な方の意味が蘇る。
雑に扱えば余裕があると思われる、なんて幻想。
可愛いを連呼するのも微妙だった。
彼女たちは可愛いより、面白いとか、一緒にいて楽だと言われる方が喜ぶ。
付き合ったあとのリアル
尻に敷かれるんじゃないか、と心配する男性は多い。
Kくんに聞いたら、逆だと言っていた。
家ではRさんの方が甘えてくるんだって。
決めごとは分担、外では彼女が前に出て、家では彼が段取り。
母親みたいに世話されないよう、自分の生活は自分で回す。
その一点さえ守れば、貫禄のある女性との恋愛は驚くほど穏やか。
よくある質問
貫禄がある、は太ったという意味?
体格を指して使う人がいるのは事実。
恋愛や職場の文脈で出る貫禄は、態度と話し方への評価が中心。
気になるなら本人に、どこが?と一言。
貫禄がある女性は年下にモテる?
うちのイベントではモテる。
引っ張らなきゃという重圧から自由になれる相手として、年下男性から声がかかる。
婚活で貫禄は不利?
威圧に転んだ貫禄は不利。
余裕として出ている貫禄は、むしろ真剣な相手を引き寄せる。
会話の中で、相手の座る場所を残せているか。そこだけ見ておけば大丈夫。

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