乾杯から20分。
会場のすみで、グラスを両手で握ったまま動けない人がいる。
氷は溶けて、ハイボールはもう薄い。
視線の先には、人が自然と集まっていく誰かの背中。
あの人、なんであんなに余裕あるんだろ
社会人向けのイベントサークルを運営していると、この場面に何度も立ち会います。
自分に自信がある人は、恋愛でもモテるのか。
自分に自信がある人がモテる理由は、隣にいると肩の力が抜けるから
顔や話術に答えを探すと、会場で起きていることとズレる。
乾杯直後に囲まれる人と、帰り際に連絡先を聞かれる人。
この二人、別人のことが多いんだよね。
恋愛につながっていくのは、帰り際に声をかけられる側。
人が集まるのは、声の大きい人ではなかった
ある立食イベントで、30代前半の男性が気になった。
口数は少なく、服装も地味め。
なのに彼のテーブルだけ、人が入れ替わっても輪が切れなかった。
しばらく眺めていて、ようやく気づいた。
彼は、相手の反応を採点していなかったのだ。
ウケたかどうか、表情を確かめにいく視線がゼロ。
話が盛り上がらなくても焦らず、沈黙が来たら料理を取り分けて待つだけ。
帰りがけに、彼と同じテーブルだった女性がこぼしていた。
「あの人の前だと、面白いこと言わなきゃって気が消えるんです」
答え、もう出てるじゃん。
余裕がある人は、相手に気をつかわせない
自信がないまま人と話すと、頭の半分が自分の見られ方に持っていかれる。
変に思われてないかな。
今の返し、すべったかも…。
この脳内実況が、相手にも伝染するんだよなぁ。
心理学には、拒絶に敏感な人ほど曖昧な反応を悪いほうへ読み取る、という知見がある。
返事が一拍遅れただけで、嫌われたと受け取ってしまう。
相手のほうは、言葉を選び続けて疲れるわけ。
盛り上がって見えた二人が、連絡先を交換しないまま帰る夜がある。
あとで聞くと、楽しかったけど疲れました、のひと言。
自信がある人の隣では、その気づかいが丸ごと不要になる。
機嫌を取らなくていいし、黙っていても責められないし。
モテる理由は、上着を脱げる室温みたいなものだった。
イベント会場で見えた、自信がある人の特徴
プロフィールカードに書けない部分にこそ、差がつく。
断られた直後の3秒に、人柄がにじむ
連絡先を聞いて、遠回しに断られる。
イベントでは珍しくない光景。
顔がこわばる人。
急に冗談でごまかす人。
黙って離れる人もいた。
自信がある人は、そっか、ありがとうと笑って終わり。
相手を責めないし、自分のことも責めない。
断られたのは今日の誘い。
自分の値打ちとは別の話、と切り分けて考える。
だから3秒後には、もう別の話題で笑えるんだよ。
おもしろいことに、その様子を周りはけっこう見ているんです。
断った女性のほうから、あとで声をかけに行った回もあったし。
切り替えが早い人、やっぱり目立つ!
ダサい話を自分から出せる
余裕のある人ほど、失敗談の引き出しが多い。
終電を逃して3駅歩いた夜。
初デートで財布を忘れた日。
笑いながら差し出してくる。
弱みを見せても、自分の価値は目減りしない。
その感覚があるから隠さないのよね。
打ち明けられると、人は同じ深さで返したくなる。
自己開示の返報性、という名前までついている現象。
聞いている側の口まで軽くなるのは、そのせい。
褒め方が具体的で、お返しを待たない
髪型いいね、の先がある。
さっき店員さんにお礼を言ってたの、よかったよ。
よく見ていないと出てこない一言でしょ?
しかも言いっぱなし。
褒め返される前に、もう次の話題。
好意を渡して、受け取るかどうかは相手に任せる。
この手放し方ができる人、強いわ。
同性にも、同じ温度で話す
異性の前に立つと、声が半音上がる人。
本人に自覚はなくても、周りの全員が気づく。
モテる人は、同性の参加者とも普通に盛り上がる。
ライバル扱いをしないから、場の空気がやわらぐ。
あの人いい人だよ、と同性から推薦されるのもこのタイプ。
援護射撃って、自分では撃てないからさ。
去り際を引きのばさない
お開きの時間。
輪の中心にいた人ほど、じゃあね、と片手を上げて帰っていく。
連絡先を粘らないし、二次会も無理に押さない。
次がなくても自分は大丈夫、という前提で動いているんだろうな。
見送った側には、もう少し話したかったという余韻が残る。
追われるより、余白を渡されたほうが人は気になるみたい。
自信がある人とナルシストの違いは、視線の行き先
堂々としている点は同じ。
自信家と呼ばれる人のなかに、両方が混ざっている。
だから見分けにくい。
相手を窓にする人、鏡にする人
自信がある人は、相手を窓のように見る。
向こうにどんな景色が広がっているのか、それが知りたい。
質問が多く、答えを最後まで聞いてくれる。
ナルシスト寄りの人は、相手を鏡として使う。
映っている自分が素敵かどうか、そこが気になる。
相手の話は、自分の話へ戻るための踏み台。
年収と車の話で、最初の30分をさらった男性がいた。
声に張りがあって、たしかに目を引く。
けれど同席した女性の感想は、ずっとあの人の番でした(笑)。
値札をつけたままの服で歩いているようなもの。
高いのはわかった。
で、あなたは誰?
初対面では見分けがつかない
やっかいなのは、出会って数分では区別できないこと。
海外の研究でも、ナルシスト傾向の強い人は初対面の評価が高いと報告されている。
身のこなしや表情に迷いがなく、魅力的に映るから。
ずるくない?
ところが顔を合わせる回数が増えるほど、評価は下がっていくそう。
現場の実感も近い。
1回目の人気者が、3回目には一人飲み。
目立たなかった人の周りには、じわじわ人が増えていく。
乾杯直後と帰り際で人気者が入れ替わる理由も、たぶんこれ。
結局、答えを出すのは時間だった。
1回目で埋もれた夜は、まだ途中経過。
他人の成功話を聞く顔でわかる
参加者の誰かが、昇進や資格の話をする。
この瞬間、反応が二つに割れるのを何度も見た。
すごいね、どうやったの、と前のめりになる人。
相手の手柄は相手のもの。
自分の取り分が減るわけじゃない、と知っている顔だ。
自分を大きく見せたい人は、一瞬だけ目が泳ぐ。
すぐに、もっと大きい自分の話をかぶせにいく。
(あ、今かぶせた)
運営席から見ていると、まるわかりなんだけどさ。
差がはっきりするのは、うまくいかなかった日
店が満席。
電車は遅延。
予定が崩れた瞬間に、その人の地金が出る。
鏡を探している人は、思い通りにならないと誰かのせいにしがち。
店員の段取りが悪い、相手のノリが悪い。
窓から外を見ている人は、じゃあ別の店にしよう、と歩き出す。
自己評価が高い人も、安定しているタイプと揺れやすいタイプに分かれる。
揺れやすいほど批判に過敏で、身を守る言動が多くなる。
自尊心の研究で繰り返し指摘されてきた点。
大きく見せる人の足元は、意外と薄氷なのよ。
気になる相手がどちらなのか迷ったら、うまくいかなかった日を待てばいい。
自信があるふりをすると、ナルシストに見えてしまう
自信がある人になろうと頑張って、逆方向へ走り出す人がいる。
たどり着く先は、ナルシストに見える自分。
自慢は、不安に着せた鎧
正直言って、私もやった(泣)。
サークルを始めたばかりの頃、司会でマイクを握る手はガチガチ。
なめられたくなくて、早口で実績を並べたっけ。
会場は、しーん。
はぁ…あの時の空気、思い出すだけで耳が熱い。
自信があるふりは、足し算になる。
肩書きを足す。
武勇伝を重ねて、声まで張る。
ただ、現場で見るかぎり、足した量と余裕は比例しない。
年収が高くても落ち着かない人はいるし、転職活動中でも腰の据わった人に会う。
根拠のない自信でもいいの?
よく聞かれるけど、根拠の大きさで決まる話じゃなさそう。
本物の自信は引き算に近い。
何も足さなくて大丈夫、という静けさだから。
自己肯定感という言葉が指しているのも、たぶんここ。
自虐も、同じ根っこから生えている
私なんて全然、が口ぐせだったのは、20代後半の女性。
謙虚に見せたくて言っていたらしい。
でも言われた側は、そんなことないよと返す役目を背負う。
自虐は、相手に慰めの宿題を配る行為でもある。
彼女はある回から、ありがとう、うれしい、とだけ返すようにした。
変えたのはそこだけ。
半年ほどして、サークルで知り合った人と付き合い始めたと報告をくれた。
因果までは言い切れないけど、表情は別人だったなぁ。
真ん中にあるのは、自分も相手も下げない伝え方
カウンセリングの世界に、アサーションという考え方がある。
自分の気持ちも相手の気持ちも、粗末にしない伝え方のこと。
自慢は、相手を下げて自分を上げる。
自虐は、自分を下げて相手に持ち上げてもらう。
どっちもシーソーなんだよね。
そもそもシーソーに乗らないのが、自信がある人。
楽しかったら、楽しかったと言う。
行けない日は、行けないと伝える。
同じ高さの床に立ったまま話している感じ。
二次会を断るとき、理由を三つ並べる人を見かける。
明日が早くて、猫が待っていて、終電も…。
誘った側は、どれが本当なのか探しはじめる。
今日は帰ります、また来ますね。
このひと言のほうが、次も誘いやすいのにさ。
外見や恋愛経験に頼らず、自信をつける方法
顔も年収も、今夜のうちには変わらない。
動かせるのは、別の場所。
恋人がいない20代への調査では、恋愛で自信が持てない理由の1位は外見だった。
それでいて、相手選びで外見を最優先にした人は1割ほど。
最も多かった答えは、価値観が合うこと。
会場でも同じことが起きています。
LINEを交換した理由を聞くと、返ってくるのは話していて楽だったという声。
顔の話が出てくるのは、まれ。
鏡の前で悩んでいる場所と、相手が見ている場所。
この距離、思ったより遠くない?
自分との小さな約束を守る
自信は、一括払いの利かない買い物。
貯金箱に小銭を落としていくほうが似ている。
朝、決めた時間に起きる。
行くと決めたジムへ行く。
誰も見ていない約束を守った回数が、自分への信用として貯まる。
やり遂げた経験が、次もできるという感覚を育てていく。
心理学では、これを自己効力感と呼ぶ。
雰囲気が変わった参加者に聞くと、続けていたのは恋愛と無関係な習慣でさ。
ある男性の答えは、毎朝の弁当作り。
まさかすぎる、笑。
視線を、自分から相手へ移す
緊張しているとき、頭の中は自分の中継でいっぱい。
対人不安の研究でも、注意が自分へ向くほど緊張は強まると言われる。
会場へ入る前に、質問を一つだけ決めておく。
最近いちばん笑ったこと、何でした?
聞いたら、答えの中身に耳を全部使う。
自分の顔色を見張る係が、その間だけ休憩に入るから。
断られる練習を、痛くない場所でしておく
いきなり好きな人で試すから、怖くなる。
断られても値打ちは減らないと、頭ではわかっている。
信じてくれないのは、体のほう。
先に、傷の浅い場面で場数を踏む。
飲食店でおすすめを聞く。
初対面の人に、その靴いいですねと声をかける。
反応が薄くても、世界は終わらない。
この体感があると、本番で顔がこわばらなくなるよ。
常連さんいわく、最初の3回は修行。
4回目から、突然楽になったんだって。
自分の機嫌を、相手に預けない
返信が来ない夜。
スマホを何度も確かめる。
わかる、私も伏せては裏返すタイプだし。
返信を待てる人は、その時間に自分の予定を先に入れる。
映画、友達とのごはん、積んだままの本。
返事が来たらうれしい。
来なくても、今日は今日で楽しめる。
この状態が、追いかけない余裕として相手に届くんだよね。

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