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「彼氏いそう」と言われるのに彼氏がいない理由と正しい返し方

土曜の夜、社会人サークルの交流会が後半に入って、店内の声が一段大きくなる時間帯だった。

そこでAさんが、ぽつりとこぼした。

「今日も言われました。彼氏いそうですね、って」

Aさんは二十八歳。髪はいつも整っていて、話し方も落ち着いている。感じのいい人、という言葉だけじゃ足りない華やかさもある。実際その日も、男性陣がわりと集まっていた。

なのに連絡先の交換まで進んだのは一件だけ。しかもその後は続かなかったらしい。

彼氏いない歴、四年。

この光景、私が運営してきた交流イベントの現場で、何十回と見てきたやつなんだよね。言われる回数が多い人ほど、なぜか進展しない。

目次

「彼氏いそう」は、モテないの反対語じゃない

先に整理しておきたい。これはモテないことによる悩みじゃないの。

モテている。ただし到達されない。

イベントの現場だと、そこがはっきり見えてしまう。話しかけられる回数はトップクラス。会話も盛り上がるし、笑いも起きる。なのに二次会の誘いが来ない。翌日のメッセージも来ない。

もう一人、Bさんの話をさせてほしい。三十二歳、医療系のお仕事。イベント中は男性が入れ替わり立ち替わり話しに来る、いわゆる人気者ポジション。終わったあとに彼女がぼそっと言ったひとことが、今も残ってる。

「今日、一番喋ったのに、一番何も起きなかったです」

はぁ…って息を吐きながら笑ってた。あの笑い方、ちょっと苦しかったなあ。

現場で見えた、言われる人の共通点

数年ぶんの交流会を思い返すと、彼氏いそうと言われる側には、けっこうきれいに共通点が出るのよ。

身なりが完成していること。髪も爪も服も、当日の朝から逆算して整えてきた感じ。崩れがない。

慌てないこと。飲み物がなくなれば自分で取りに行くし、席替えがあっても平気。誰かに助けを求める場面が、そもそも発生しない。

一人で来て一人で帰ること。これ、想像以上に大きい。友達と来ている人には男性が話しかけやすいのに、単独参加で堂々としている人は、なぜか少しだけ遠巻きにされる。

恋愛の話を自分からしないこと。仕事、趣味、旅行の話は出るのに、好きなタイプの話にはならないんだよね。

リアクションが安定していること。褒められても、そうですか?くらいで受け流す。慣れてる人に見える。

会話が上手すぎること。全員に平等に優しい。それが結果として、誰にも特別を感じさせない。

感情の振れ幅を見せないこと。困った顔も、拗ねた顔も出てこない。

思うけど、どれ一つとして欠点じゃないんだよね。むしろ社会人として完成してる。そこが厄介なところ。

男性側は、褒めながら撤退している

イベントの片付けをしていると、男性参加者が本音を落としていくことがある。あれが一番の情報源かもしれない。

三十歳の会社員Dさんが言っていたことを、ほぼそのまま書くね。

「あの人めっちゃいい人でしたよね。まあ絶対彼氏いますけど」

え、聞いたんですか?と返したら、聞いてないです、と。

聞かずに決めてる。

このパターン、驚くほど多いのよ。彼氏いそうという言葉は、相手を持ち上げる形をしていながら、中身は自分に言い聞かせる撤退理由になっていることがある。

分解すると、だいたい三つ。

競争を避けたい気持ち。すでに誰かのものだと思えば、動かなくていい理由が立つ。

断られる未来の先取り。自分の評価とのギャップを勝手に計算して、勝手に負けてる。

平等な優しさを脈なしと読むクセ。全員に同じ温度で接する人は、自分だけ特別じゃないと判断される。

褒め言葉の顔をした不戦敗宣言。ざわっとする話だけど、現場で見ている限り、これが実態にかなり近い。

本当にしんどいのは、誰も欠点を教えてくれないこと

ここからが、この悩みの芯だと思ってる。

欠点を指摘されるなら直せるじゃん。話が長いとか、態度が固いとか、言われれば手の打ちようがある。

でも彼氏いそうと言われる人に返ってくるのは称賛だけ。きれい、しっかりしてる、余裕がある。全部ポジティブ。

修正点がゼロなのに、結果もゼロ。

これ、努力の方向が永遠に決まらない状態なんだよね。じわじわ効いてくるタイプの苦しさ。

しかも相談できない。友達に言えば、それ自慢?と受け取られる。羨ましがられる立場の人には、共感が集まりにくい構造がある。

だから夜中にスマホで検索することになる。人に聞けないから、検索窓に聞くしかない。

Aさんも言ってたなあ。

「これ、誰にも言えないんですよ。言ったら性格悪いって思われるじゃないですか」

もう一つ、口に出しにくい話がある。彼氏いそうと言われる人ほど、恋愛経験が少ないことを打ち明けられない。二十代後半、三十代と年齢が上がるほど言い出しにくくなって、時限爆弾みたいに膨らんでいく。イベントの帰り道でだけ、ぽろっと出てくるやつ。

返し方を変えるだけで、空気は動く

ここから実践パート。現場で反応が変わった順に書いていくね。

まず、やめたほうがいい返しから。

いないですよ、で終わる。これが一番もったいない。会話が切れて、相手は気まずくなって話題を変える。

え、私なんて全然です、の自虐。謙遜のつもりが、相手に気を遣わせる作業を発生させちゃう。

そうなんですかね〜、の受け流し。興味がない人だと判断される。

よく言われます、の一言だけ。事実だとしても、これは壁になるのよ。

共通してるのは、情報を渡していないこと。相手は次の一手を打てないまま終わる。

効いたのは、否定と自己開示と質問返しの三段構え

Bさんに試してもらったのが、これ。

いないんですよ、とまず否定する。

そこに理由か状態を一つ足す。休みの日はだいたい家でドラマ見てます、とか、正直そういう出会いがなくて、とか。

最後に相手へ投げ返す。そう見えます?何でですか?

この最後の質問が効くんだよね。相手は理由を説明しようとして、自然にこちらを褒める流れに入る。会話が続くうえに、相手の中でこちらの印象が上書きされていく。

Bさんはこの返しを三回のイベントで使い続けた。四回目で、その場にいた男性から翌日連絡が来た。今も続いてるらしいよ。

本人いわく、言葉を変えただけ。中身は何も変えてない、って。

隙は、ゆるさじゃなくて情報開示

Cさんは二十六歳。姿勢がよくて、いつもきちんとしてる人。彼女は隙がないと言われ続けてきたタイプ。

隙を作れって言われても、意味わかんないんだが?って本気で困ってた。わかる。ゆるく振る舞えという話に聞こえるもんね。

でも隙って、態度じゃなくて情報のことだと思ってる。

Cさんに提案したのは一つだけ。かっこ悪い自分の話を、会話ごとに一つ落とすこと。

家に帰ると即スウェットで、アイス食べながら床で寝落ちする話。推しのライブで泣いた話。料理がまじで壊滅的で、卵焼きが毎回スクランブルエッグになる話(笑)。

三回目のイベントで、彼女は男性から連絡先を聞かれた。あとで理由を聞いたら、その男性はこう言ったらしい。

「卵焼きの話が良かった」

そこ!?

でも、そういうことなんだよね。完璧な人には近づけない。ちょっとダメな部分が見えた瞬間に、話しかけていい人に変わる。

場面ごとの返しかた

気になる人に言われたとき。ここは一番踏み込んでいい場面。いないですよ、と言ったあとに、そう見えるならちょっと嬉しいかも、くらいまで乗せてみる。相手は、脈があるかもという可能性を初めて持ち帰れるわけ。

職場で言われたとき。深追いは危ない。いないですよ、と軽く返して仕事の話に戻すのが無難だと思う。表情だけ柔らかくしておくと、後日プライベートの話に発展しやすい。

イベントや合コンの場。ここは笑いに変えるのが強いよ。よく言われるんですけど実物はけっこう残念です、みたいな。場が沸くし、隙も出る。一石二鳥じゃん。

女友達に言われたとき。ここでは本音を出していい。むしろ彼氏いなくてしんどい、という話を一度でもしておくと、紹介の対象になる。恋愛の話をしない人のところには、誰も紹介話を持ってこないの。

いじりとして言われたとき。ムッとしても仕方ないので、乗ったほうが早い。そうなんだよね、幻の彼氏がいるらしいよ、くらいで終わらせるといいね!

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