先週、うちのサークルの問い合わせフォームに、こんなメッセージが届きました。恋愛目的で参加しても大丈夫ですか、あと危なくないですか、と。二つの質問が一行に並んでいて、送り主は28歳の女性。
正直言って、この組み合わせで聞かれるのは初めてじゃないんですよね。出会いたい。でも怖い。二つの気持ちは同じ心の中に、仲良く同居している。運営を始めて数年、受付で名前を書く手が少し震えている人を何人も見てきました。その迷いを笑う気には、なれません。
答えは、そんなに複雑じゃありません。危ないサークルは確かにある。見分ける方法もある。恋愛目的だって、やり方さえ間違えなければ後ろめたいものじゃない。
社会人サークルが危ないと言われる理由は、たぶん3種類しかない
現場で起きたトラブルを思い返すと、原因はだいたい3つに絞れます。
一つ目は、趣味の集まりを装った勧誘団体。看板はバドミントンやカフェ交流会なのに、中身はマルチ商法や投資セミナーの集客だったというケースです。ときには宗教のことも。うちに来ていた30代の男性は、別のサークルで知り合った人から、今度すごい人に会わせるよと誘われたんだとか。気づけばホテルのラウンジで、高額な自己啓発講座の説明を聞いていた。あの時は断れる空気じゃなかったと、苦笑いしながら振り返っていました。
二つ目は、団体は健全なのに、出会いだけを狙う人が紛れ込んでいるパターン。初回から女性にだけ話しかけ、LINEを聞いて回り、二次会に半ば強引に誘う。こういう人が一人いるだけで、場の空気はざわっと変わります。女性側は帰り際にため息、運営側は翌週から参加者が減る(泣)。
三つ目が、お金と個人情報の扱いがずさんな運営。参加費の内訳が不明、主催者の名前が出てこない、名簿がどこに流れているのか分からない。派手な事件にはなりにくいかわりに、あとから効いてくる危なさです。
裏を返せば、この3つを避けられれば、残るのはただの趣味の集まり。危ないと検索してたどり着く不安の大半は、この3つの顔を知らないことから来ているんじゃないかな。
恋愛目的で社会人サークルに入るのは危ない?それともアリ?
ここは運営として、はっきり言い切っておきます。恋愛したくてサークルに来るのは、まったく問題ありません。
引っかかるのは、出会い目的という言い方が指している、別の態度のほう。活動そのものに興味がなく、異性を品定めするためだけに参加する。趣味の話を振られても上の空で、目線は常に部屋の中を泳いでいる。これ、周りにすぐバレます。人間って、自分に興味を持っていない相手のことは、意外と敏感に察知するもの。
活動を楽しみながら、いい人がいたら仲良くなりたい。そう考えている人は誰にも迷惑をかけていないし、実際に付き合っていくのは、決まってこのタイプです。
心理学には単純接触効果という考え方があります。同じ相手と繰り返し顔を合わせるほど好意が育ちやすい、というもの。ザイアンスという研究者が1960年代に提唱して以来、恋愛の文脈でも何度も確かめられてきました。月に一度でも同じ場所で会える社会人サークルは、この作用がもっとも自然に働く場所の一つなんです。
だから、焦らなくていい。むしろ焦ると失う。受付でそう伝えると、肩の力が抜けた顔で会場に入っていく人が本当に多いんですよ。
怪しい社会人サークルの見分け方は、3つのタイミングにある
見分け方の話に移りますね。私自身、運営を始めて半年の頃、マルチの勧誘目的で入ってきた人に2か月も気づけなかったことがあります。恥ずかしい話まさか自分の会に、って油断してた。でもそのおかげで、どこを見ればいいのかが身体で分かるようになりました。
参加前、募集ページで分かること
写真がやたら華やかで、全員が同じ角度で笑っているページは、いったん手を止めてほしい。楽しそうな写真そのものは悪くありません。気になるのは、主催者の名前や顔が一切出てこないこと。参加費の金額や使い道も書かれていない。活動内容より、人生が変わるとか仲間とか成長とかの言葉ばかり目立つ。この三つが揃ったら、私なら申し込みボタンを押しません。
健全なサークルの募集ページは、拍子抜けするほど地味なことが多いです。集合場所、持ち物、参加費、男女比、年齢層。書いてあるのはそのくらい。宗教やマルチの勧誘はお断りと、運営がわざわざ明記しているところはなお心強い。地味さと堅さこそ、信頼の証。
当日、会場で分かること
活動そっちのけで、仕事や年収、将来の夢の話を延々と振ってくる人がいたら要注意。趣味の集まりに来て、いきなり自由になりたくないですかと聞かれるのは変じゃないですか。
もう一つのサインは、その場にいないすごい人の存在です。主催者を、誰かの弟子だとか、あの人に人生を変えてもらったとかいう形で持ち上げる会話。うちに勧誘目的で入っていた人も、まさにこれでした。飲み会がお開きになったあと、今度メンターに会わせるよと、当時の参加者が声をかけられていたと聞きました。
距離の詰め方も、さりげなく観察しておくと安全です。初対面なのに肩に触れる、名前を連呼する、二人きりになろうとする。恋愛感情を装った接近は、勧誘とヤリモク、どちらの入り口にもなります。
参加後、LINEで分かること
一番わかりやすいのは、実はここ。副業に興味ない?投資の勉強してる?面白いセミナーがあるんだけど。イベントで意気投合したはずの相手から、数日後に突然この手のメッセージが来たら、その時点でほぼ確定と考えていいでしょう。
厄介なのは、恋愛の形を取る勧誘です。うちで顔なじみになった20代の女性は、別のサークルで出会った男性と数回デートを重ねたあと、彼の尊敬する人の講演会に連れて行かれたのだと、後日打ち明けてくれました。商品の話が出たのは、そこが初めて。好きになりかけていた分、断るのに一か月かかったそうです。はぁ…って、聞いているこっちまで胸が重くなりました。
勧誘のプロが最初に学ぶ道具は、返報性と一貫性の原理です。小さな親切を受け取らせ、小さな約束を積み重ねさせ、断りにくい状態を作る。だからこそ、断るなら早いほうが楽なんです。興味ないです、で十分。理由を説明しなくていいし、既読無視でも構いません。しつこければ運営に報告してブロック。運営が動かないサークルなら、その団体ごと離れていい。
社会人サークルで付き合えた人に共通していた、たった一つの立ち回り
ここからは明るい話をさせてください。運営をしていると、カップルが生まれる瞬間に立ち会うことがあります。数えたことはないけれど、片手では足りない。付き合えた人たちには、面白いくらい共通点がある。
3回来ること。それだけ!
冗談みたいですが、マジでこれ。初回で結果を出そうとした人は、ほぼ例外なく消えていきました。うちのボードゲームの会に初めて来た男性は、その日ゲームで全敗して、ほとんど喋れないまま帰っていった。翌月も来た。その次も来た。3回目で、いつも同じ卓に座っていた女性から声をかけられたんです(見ていたこっちが照れた)。あとで彼女に聞いたら、負けてるのにずっと楽しそうなのが気になって、と笑っていました。二人は今、一緒に暮らしているらしい。結婚したかどうかまでは、聞いていません。
恋愛が生まれやすい理由
社会人サークルで恋が育ちやすいのは、偶然じゃありません。共通の趣味があるから会話に困らない。同じ活動を繰り返すから、相手の性格が勝手に見えてくる。約束をしなくても、次に会える日が決まっている。マッチングアプリの初回デートでよくある、何を話せばいいのか分からない時間が、ここにはない。
心理学者のアーサー・アロンは、一緒に新しい活動をすることで二人の親密さが深まるという研究を残しています。自己拡張理論と呼ばれるものです。ゲームで負けて悔しがる。テニスで空振りして笑われる。料理を焦がす。そういうちょっとダサい瞬間の共有が、何よりの近道だったりします。
出会い目的と思われて浮いてしまう行動
逆に、これをやると一気に警戒されます。初回からLINE交換を頼んで回る。女性にしか話しかけない。活動中ずっとスマホをいじって、休憩時間だけ元気になる。二次会に来ないと分かった瞬間に態度が冷める。
どれも、私が参加者だった頃に一度はやったことです(笑)。偉そうには言えないんですが、ドキドキしすぎて相手の話が耳に入っていなかった、というのが本当のところ。相手に興味を持てば、質問が増えます。質問が増えれば、相手も話しやすくなる。自己開示は返報性を持つ、というカウンセリングの知見はここでも当てはまります。
サークル内で告白するなら
順番は、活動中の会話から始めて、数人で帰り道を一緒に歩き、二人で食事に行き、そのあと。LINEの交換は、二回目以降に相手から話題が出たときでも遅くありません。うちのランニングの会にいた30代の女性は、いつも三人で駅まで歩いて帰るメンバーの一人と、ある日たまたま二人だけになった。信号待ちの間に次の大会の話が出て、じゃあ一緒に申し込もうか、と。付き合い始めたのはその大会の打ち上げの夜でした。初参加から、およそ半年。遠回りに見えて、ここまで来た二人が別れた話を、私はほとんど聞きません。告白は、活動の外で、一対一で会えるようになってから。会場でいきなり伝えると、断られた場合に相手が来づらくなるからです。好きな人の居場所を、自分の手で奪ってしまう。それは切ないでしょ。
二股だけは、頼むからやめてほしい。うちで一度、同じ会の女性二人と同時に付き合っていた男性がいました。発覚した日の空気は、今でも思い出すとぞわっとする。結局、三人とも辞めました(誰も得してないじゃん…)。
別れた後の話も。気まずさは避けられません。ただ、こちらが普段どおり挨拶して、いつもどおり活動していれば、周りは案外気にしないものです。周りが困るのは、片方が急に来なくなること。その理由を、みんななんとなく察してしまうから。
本気で結婚したいなら、社会人サークルだけに頼らないで
運営の立場で言うのは気が引けるんですが、社会人サークルは婚活としては遅いです。恋愛が育つまでに数か月かかるし、そもそも参加者の全員が恋愛を求めているわけじゃない。うちの会でも、結婚まで進んだのは参加者全体から見ればごく一部。恋愛が起きやすい場所と、結婚に早い場所は別物です。
年齢的に急いでいる人は、マッチングアプリや婚活パーティーと並行したほうが現実的でしょう。サークルは居場所として、アプリは出会いの数を確保する場として。うちにも、アプリで疲れた心をサークルで休めながら、結果的にアプリの相手と結婚した人がいます。それはそれで、幸せな話じゃんね。
女性一人でも大丈夫?30代でも?恋愛禁止サークルは?
女性の一人参加は、うちでは半数近くを占めます。初回は帰りの電車の時間を決めておく。お酒は控えめに。LINEはその日に交換しなくても失礼にはあたらない。この三つを守れば、怖がりすぎる必要はありません。会場が個室居酒屋や誰かの自宅だけで完結するサークルは、初回は見送っていい。公共の施設や店を使っているかどうかは、見落とされがちな判断材料です。
30代、40代の参加も珍しくないです。年齢層はサークルごとに違うので、募集ページの表記を見て、自分の年代が真ん中あたりに来るところを選ぶと馴染みやすくなります。
恋愛禁止をうたうサークルもあります。過去にトラブルがあった痕跡でもあり、活動を守ろうと真剣になっている証拠でもある。恋愛したいなら避ければいいし、まず友達が欲しいなら、気兼ねなく入れる場所ですよ。

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