イベントの片付けをしていた夜のこと。
紙コップを重ねていたら、メーカー勤務の男性がそわそわした顔で近づいてきました。
「隣の席だった子、ずっと手を動かしながら話してくれて。あれって脈ありですかね?」
はぁ…これ、何度聞かれても即答できないんだよなぁ。
同じ日の帰り道には、別の女性からこんな相談も。
「私、手がうるさいって元彼に言われたことがあって…今日も出てました?」
見ている側と、動かしている側。
立っている場所は真逆なのに、二人が知りたいことはよく似ています。
あの手の動きに、自分への気持ちは乗っているのか。
このままの自分で、好きになってもらえるのか。
社会人サークルのイベントを運営して、テーブルの端から、数えきれない会話を眺めてきました。
そこで気づいたのは、手は口よりずっと正直だということ。ただし、読み方を間違えると派手に転びます。
身振り手振りが多い女性の心理
よく動く手には二つの顔がある
会場を歩いていると見えてくるんです。同じ手の忙しさでも、種類が違うって。
ひとつは、話の中身を空中に描く手。
登った山の高さを示したり、買ったソファの幅を両腕で測ってみせたり。
もうひとつは、自分に向かう手です。
髪を触る、首元に指をやる、ストローの袋を延々と折りたたむ。
非言語コミュニケーションの研究でも、この二つは別物として扱われています。
話を描く動きは、会話にのめり込むほど増える。自分を触る動きは、緊張や落ち着かなさと結びつきやすい。
見た目はどちらも手が忙しい人。でも出どころが違うんだよね。
ここを分けずに脈ありかどうかを考えると、ほぼ迷子になります。
楽しいと、口より先に手がしゃべり出す
電話中、相手に見えないのに手が動いてしまう人、いるでしょ?
あれは見せるための動きじゃなく、言葉を引っぱり出すための動き。
手を動かすと言葉が出やすくなる。これはジェスチャーの研究で繰り返し報告されてきたことです。
イベントでも、好きな映画の話になった途端、両手が解放される女性をよく見かけます。
さっきまで膝の上でおとなしくしていた手が、突然ぶんぶん動き出す。
本人は無自覚。止めようとすると、言葉まで詰まってしまうんですよ。
私が見てきた限り、計算で手を動かしている人はごく少数でした。話すことと手を動かすことが、最初からセットになっている人ばかり。
緊張を逃がすための手もある
逆の場面も何度も見ています。
初参加だった保育士の女性。自己紹介のあいだ、手がずっと落ち着かない。
グラスの水滴を拭いて、髪を耳にかけて、またグラスに戻る。
あとで聞いたら、沈黙が怖くて何か触っていないと無理でした、と笑ってました。
この手は、目の前の相手への好意とは別の話。場に慣れていないだけ、というケースがほとんどでした。
現場で見えてくる性格の共通点
手がよく動く女性を何人も見ていると、性格にも似たところが浮かんできます。
場の空気を放っておけない。端の席で黙っている人に最初に話を振るのは、決まってこのタイプなんですよ。
沈黙が苦手で、サービス精神が強め。そのぶん帰り道には、電池が切れたみたいになっている人も見かけます。
それから、嘘が下手。
興味のない話を聞いているあいだは、手が膝に帰ってしまう。運営席からでも丸わかりです。
あざとさとの違いは、同性の前でも出るかどうか
計算でやってるんじゃないか、と疑う男性もいますよね。
気持ちはわかる。痛い目を見たくないもん。
人が相手によって見せ方を変えることを、心理学では自己呈示と呼びます。見せるための仕草は、見せたい相手がいる場面にだけ現れる。
だから確認する場所はひとつ。
女性同士で話すとき、受付でスタッフと話すとき、同じように手が動いているか。
動いているなら、それは癖であり、その人の話し方そのものです。
狙った相手の前でだけ頬に手を添え始める人とは、動きの出方がまるで違うよ。
脈ありサインの見分け方、現場ではここを見ている
手そのものより、ほかの人と話すときとの差
正直言って、運営を始めた頃の私なら、あの男性にいけますよと即答してました。
実際、それで一人の背中を押して、見事に玉砕させてしまったことがあります(泣)。
(あの時の彼の顔、思い出すといまだに胃のあたりが重い…)
あとから気づいたんです。その女性は、どの席でも同じ熱量で、同じように両手を広げて話していたって。
まさか全員に同じ対応だったとは。
しぐさを読むときの基本は、その人の普段と比べること。誰にでも大きく動く人の大きな動きは、ただの標準装備です。
だからあの夜の彼にも、答えは出しませんでした。ほかの席での彼女を見てからにしましょう、とだけ。
見るのは差!
自分と話すときだけ手数が増える。身を乗り出す角度が深くなる。席替えの合図が鳴っても立ち上がらない。
そういうズレが出ていれば、手はあなたに向かって動いています。
手がテーブルのどこまで来ているか
これは運営側の席から眺めていたから気づけたことかもしれません。
好意がある相手と話している女性の手は、テーブルの真ん中を越えてきます。
メニューを指さす。相手のスマホをのぞきこむ。話しながら手のひらが相手のほうへ開く。
興味が薄い相手の前だと、手は動いていても自分の陣地から出てきません。胸の前で小さく回っているだけ。
好意が物理的な距離に出ることは、対人距離の研究で古くから知られた話です。
手は、その距離を最初に縮めにいく先遣隊みたいなもの。
本命の前では、手が静かになる人もいる
意外と見落とされるのがこれ。
看護師をしている女性で、普段は踊るように話す人がいました。
ところがある男性の前に座った回だけ、手がテーブルの下に消えた。髪を何度も触って、笑うときに口元を隠して。
(あれ、今日は体調が悪いのかな)と心配したくらい。
後日、その二人は付き合い始めました。
いや、わかるかそんなの!と心の中で叫んだのを覚えてます。
好きな相手の前で緊張が勝つと、話を描く手は引っこんで、自分を触る手が出てくる。
多いから脈あり、少ないから脈なし、という一本道では読めないわけです。
いつも賑やかな彼女が自分の前でだけ静かなら、嫌われたと決めるのはまだ早いよ。
その場の手と、その後の行動が揃っているか
これ、マジで多い勘違いなんだけどさ。
当日あれだけ盛り上がったのに、LINEの返信が二日後。
楽しんでいたのは会話のほうで、相手ではなかったのかもしれません。
幹事気質の女性。接客や営業の仕事をしている女性。どちらも、場を回すために動きが大きくなります。
仕事で染みついたサービス精神で、好意とは別の回路。
お酒が進んだ二次会も判定には向きません。全員の手が大きくなって、差が消えるから(笑)。
当日の手、帰り際の様子、翌日以降の連絡。この三つが同じ方向を向いていたら、信じていい。
身振り手振りが多い女性の恋愛傾向と相性
好きも不満も、隠すのが下手
感情表現が豊かな人は初対面で好感を持たれやすい、という知見があります。
表情や手から気持ちが読めると、相手は警戒を解きやすいんでしょうね。
身振り手振りが多い女性がイベントで人気を集めやすいのも、同じ理由。
付き合ってからも変わらず、嬉しいときは全身で嬉しい。プレゼントの箱を開ける前から、もう手が喜んでる。
その代わり、不満も出ます。声より先に、手が止まる。
イベントで出会って結婚したご夫婦の旦那さんが、こう言ってました。
「妻の機嫌は手を見ればわかるんで、天気予報より当たりますよ」
駆け引きが少なくて、わかりやすい恋愛をする人たちです。
相性がいいのは、受け取ったことが見える人
聞き上手な男性と合う、と書きたいところだけど、現場で見ているとちょっと違う。
黙ってうなずくだけの相手だと、彼女たちは不安になる。壁にボールを投げている気分、と表現した人もいました。
うまくいった組み合わせを思い返すと、男性側のうなずきが深い。笑うときに身体ごと揺れる。
口数は少なくても、聞いていることが外から見える人でした。
人は、動きのテンポが合う相手に好感を持ちます。心理学でミラーリングと呼ばれる現象ですね。
カウンセリングの訓練でも、最初に教わるのは相手に合わせることだそう。話す速さ、うなずきの深さ、身体の動き。
無口でも平気。まずいのは無反応のほうでしょ。
付き合ってから起きやすいすれ違い
交際報告をくれたカップルから、半年後に相談が来たことがあります。
彼女いわく、彼が何を考えているかわからない。
彼いわく、普通に楽しんでいるのに怒ってる?と聞かれて困る。
表現の大きい人は、相手にも同じ音量を期待しがち。静かな人の楽しいは、彼女の基準だと無音に聞こえてしまうんだって。
この二人は、楽しいときは彼が口に出す、というルールで落ち着きました。地味だけど、効いたみたい。
自分の身振り手振りが気になっている女性へ
手を封印した彼女に起きたこと
最初に書いた、手がうるさいと言われた彼女。その続きです。
次の回、彼女は両手を太ももの下に敷いて座っていました。物理的に封印(笑)。
(そこまでしなくても…)と思いつつ、見守ることに。
どうなったか。
話が続かない。表情まで硬い。
同じテーブルの男性から届いた感想は、ちょっと冷たそうな人でしたね。聞いた私までドキッとしました。
手を止めると、言葉と表情も一緒に止まる。さっきの電話の話と同じ理屈です。
三回目、彼女はあきらめて普段どおりに話しました。その日に連絡先を交換した男性の一言が、忘れられないわ。
「話してる内容が、映像で入ってくる人でした」
うるさいと感じる人もいれば、映像だと感じる人もいる。
直すより、そう見てくれる相手に会いにいくほうが早いです。
好かれる動きと、相手を疲れさせる動きの境目
とはいえ、会場で相手が引いている瞬間も見ています。隠さず書きますね。
相手の顔の前まで手が伸びる。動きが速くて止まらない。相手が話している最中も手が動き続けている。
とくに三つ目。
聞いているあいだも手が動いている。すると相手は、早く話し終えろと急かされているように感じてしまう。
好印象だった人たちの手は、胸からお腹の幅におさまっていて、速度がゆっくり。
相手が話し始めたら、グラスに添えるか膝に置くかして止まる。
動と静の切り替えがあるだけで、同じ手数でも品よく映ります。
男性の感想に、手の話は出てこない
イベントのあと、参加者から感想をもらうことがあります。
そこで気づいたのが、男性は手の動きを手の動きとして覚えていない、ということ。
書かれているのは、楽しそうに話してくれた、表情が豊かだった、また話したい。
手がよく動く人でした、という感想にはまず出会いません。彼らの記憶の中で、あなたの手は楽しそうな人という印象に翻訳されています。
自分の振る舞いは、本人が思うほど他人の目に留まっていない。心理学でスポットライト効果と呼ばれる現象です。
好きな人の前でだけ手が増えてしまう、と恥ずかしがる女性もいます。でも、バレたところで伝わるのは好意だけ。何も損してないじゃん!
手がうるさいかも、と気にしているその三秒。
相手はたぶん、自分の前歯に青のりが付いていないかを気にしてます。
身振り手振りが多い女性へのアプローチ
リアクションを半歩だけ大きく
彼女の手が大きく動いたら、こちらも少しだけ動きを足す。
うなずきを深くする。驚いたら眉を上げる。笑うときは声に出す。
真似をするわけじゃないんです。ちゃんと届いてるよ、という合図を身体で返すだけ。
以前、物静かなエンジニアの男性にこれを伝えました。
次の回、彼は赤べこみたいにうなずいていて、さすがにやりすぎです!(笑)
でも隣の女性、楽しそうだったなぁ。
もうひとつ、話を途中でまとめないこと。彼女が手で描いている途中の絵を、横から完成させないであげてください。
手を読むのをやめて、約束をひとつ置く
結局、手の動きからわかるのは、いまこの会話を楽しんでいるかどうかまで。
付き合いたいかどうかは、どれだけ観察しても出てきません。
イベント後にうまくいった男性たちは、しぐさの分析に時間を使っていません。その日のうちに、話に出たお店へ誘っていました。
さっき話してたカレー屋、来週行きません?
これだけ。
手がよく動く女性は、返事もわかりやすい。乗り気なら、言葉より先に両手が返事をする。迷っているなら、手が急におとなしくなる。
答え合わせは、誘ったあとにいくらでもできます。
次に彼女の手が動き出したら、意味を探す前に、その話の続きを聞いてみてください。
手は、聞いてくれる人の前でいちばんよくしゃべります。

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