交流会の二次会、終電の少し前。
隣に座った参加者の女性が、氷の溶けたグラスを見つめたまま切り出しました。
「彼に別の人がいるんです。別れたほうがいいのは分かってます。でも、追いかけさせたくて」
あの時の私、間髪入れずに返してしまったんですよね。
そんな人やめたほうがいいですよ、と。
彼女の表情がすーっと閉じていった。
(あ、やらかした…)
それから3か月、彼女はイベントに来なくなりました。主催者として、マジで穴があったら入りたい失敗です。
社会人向けのイベントサークルを運営していると、恋愛相談が自然と集まってきます。二股の話は、ほぼ毎月。
数を重ねて、気づいたことがひとつ。
二股男を追いかけさせる方法を探す人が欲しいのは、振り回される側から、選ぶ側に戻りたい。
自分の価値をもう一度信じられる場所。私にはそう見えます。
説教は、もうしないと決めました。
二股男の心理と特徴、イベント現場で見えた3つの顔
決められないまま優しい顔をする人
イベントで人気が出る男性に、誰にでも感じよく接する人がいます。
断るのが苦手。嫌われるのは、もっと怖い。
こういう人が二股になると、悪気がないぶん長引くんだよなぁ。
実際に二股をしていた男性参加者が飲みの席でこぼした一言、今も覚えてる。
「どっちかを傷つけるくらいなら、自分が黙っていればいいかなって」
優しさに聞こえるでしょ?
中身は、自分が悪者になる場面の先送り。彼が守っているのは彼女たちではなく、自分の居心地でした。
このタイプは予定の返事が直前まで来ません。週末の約束ほど、あいまいになっていく。
モテている自分を確かめたい人
毎回ちがう女性の隣に座り、全員と連絡先を交換して帰る男性。どのサークルにも一人はいるじゃん?
彼らが集めているのは恋人ではなく、自分はまだいけるという手ごたえ。
心理学では、自己評価の低さと結びつけて語られるタイプ。好意を向けられた瞬間だけ、不安が静まるんだとか。
静まるのは一瞬だから、すぐ次が欲しくなる。
意外と知られていないのが、この人たちが一番熱心に話しかける相手。返信が遅めの女性なんです!
すぐ反応してくれる人からは、もう確認が済んでしまっているんですよ。
保険をかけておきたい人
本命との仲が不安定な時期に、別の女性をそばに置く男性もいました。
ひとりになる怖さが、誠実さより先に立つ人。
スマホを伏せて置く。二人の写真をSNSに上げたがらない。友人への紹介も先延ばし。
この3つがそろうなら、あなたは玄関のビニール傘に近い扱いです。雨の日にだけ思い出される、あの傘。
きつい言い方でごめんね。ただ、現在地を知らないまま動くと、努力の向きがずれてしまうから。
二股男が一人に決める瞬間
何人かの男性参加者に、どこで決めたのかを聞いて回った時期があります。
(我ながら、しつこい主催者だ)
決め手は年収でも見た目でもなかった。
高熱で寝込んだ夜に会いたくなった顔。もうひとつは、相手が自分抜きで楽しそうにしている姿を見た瞬間。
あ、この人は待っていてくれない。
そう焦った時に腹が決まった、という声がいちばん多かったなぁ。
追うほど彼が離れていく理由
手に入ったものは後回しになる
二股が発覚した直後、連絡の回数が倍になる。相談者のほとんどが、まずここに走ります。
電話をかけ、長文を送り、会いたいと頼む。
気持ちは痛いほど分かるよ。
不安が強まるほど連絡したくなるのは、愛着の研究で抗議行動と呼ばれる反応。相手をつなぎ止めたい時、誰にでも出るものです。
あなたが弱いわけじゃない。
ただ、彼の目に映る景色はこう。何をしても離れていかない人と、放っておくと離れそうな人がいる。
人は得る喜びより、失う痛みに強く反応します。行動経済学で損失回避と呼ばれる性質ね。
彼の足が向くのは、失いそうなほう。追えば追うほど、あなたは放っておいても平気な側に入ってしまうの。
満席の店より、あと一席の店に人は並ぶ。恋愛でも同じことが起きているわけ。
たまに優しいから抜け出せない
あなたが離れられない理由にも、名前がついています。
その名前は間欠強化。
毎回もらえるごほうびより、たまにしか出ないごほうび。人がやめられなくなるのは、不規則なほうです。
当たり付きの自販機に、小銭を入れ続けてしまう感覚に近いかな。
3日既読がつかなかった後に届く、会いたいの一言。あれが効きすぎるのはそのせい。
愛情が深いから苦しいのではなく、不規則だから苦しい。
これを知っただけで胸のざわざわが引いた、と打ち明けてくれた参加者が何人もいました。
二股男を追いかけさせる方法
自分からの連絡を半分にする
駆け引きの話ではありません。
返信を待つだけの時間を、自分の生活に返す作業。
私が運営するサークルのハイキング企画に、Mさんという常連がいます。二番目の立場を1年続けていた看護師さん。
彼女が最初に変えたのは、夜23時の呼び出しに応じないこと。たったそれだけ!
「今日は寝るね、おやすみ」
この一通を送った夜は手が震えた、と照れながら教えてくれたっけ。
(嫌われたらどうしよう、って100回は考えたらしい)
翌週、彼のほうから昼間に会おうと言ってきたんだって。まさかの展開!
会う日を彼の都合だけで決めない
空いた枠に呼ばれる人は、空いた枠の人として扱われる。悔しいくらい単純な話。
その日は予定があるから、土曜の昼ならどう?
こう返せる自分の予定を、先につくってしまう。
イベントに来る動機がそれでも、全然かまわないよ。実際、Mさんの週末は山と料理教室で埋まっていきました。
予定が埋まると、スマホを見る回数が勝手に減る。彼女いわく、これが一番楽になった変化だったとのこと。
責めずに期限だけを伝える
問い詰められた人は、反発します。
自由を奪われそうになると、逆方向へ動きたくなるもの。心理的リアクタンスという反応で、正論ほど跳ね返される。
Mさんが伝えたのは短い言葉でした。
「来月末までに決めてほしい。決まらないなら私が降りるね」
泣かない。責めもしなかった。相手の女性の話は一切なし。
カウンセリングでも使われる、私を主語にした伝え方です。あなたが悪い、ではなく、私はこうする。
言う前に、メモ帳で何度も下書きしたそう。その画面を見せてもらった時、私のほうが泣きそうだった(泣)
本当に一度離れる
期限の日が来ても、彼からの返事はなし。
Mさんは予告どおり連絡を絶った。
ここで戻ると、期限という言葉が二度と通じなくなるから。
3週間後、彼は相手の女性と別れて会いに来た、と報告をもらいました。
…と書くと魔法みたいでしょ。
現実はもう少し地味で、彼女が彼を信じきるまでに半年かかっています。同じことをして連絡が来なかった参加者にも、私は立ち会ってきました。
離れる目的は、彼を動かすことだけじゃない。動かなかった時に、あなたがもう立ち直り始めている。その状態を先につくっておくためでもあるんだよね。
逆効果になる行動
相手の女性に連絡する。SNSで匂わせる。別の男性の影をちらつかせて嫉妬を誘う。
どれも現場で繰り返し目にした失敗パターン。
相手の女性にDMを送った参加者もいました。結果、彼とその女性が被害者同士のように結束してしまったの。皮肉すぎて、かける言葉が出なかった。
彼の頭の中で面倒な人に分類された瞬間、追いかける理由が消えてしまうわ。
二番目から本命に逆転した人がやっていたこと
都合のいい対応をやめた
逆転した女性に共通していたのは、尽くす量を増やさなかったこと。
手料理を増やし、送り迎えをして、彼の愚痴を深夜まで聞く。
がんばるほど、便利な人としての評価だけが上がっていく。悲しいけど。
2年待ち続けた別の参加者は、彼の結婚をインスタの投稿で知りました。
そばにいれば結局は選ばれる、という説は私の周りでは当たらないなー。
彼の友人の輪に入っていく
二股男が最後に選ぶのは、自分の生活に根を張っている女性であることが多い。
友人への紹介が済んでいる。行きつけの店で顔を覚えられた。
切ると周囲への説明が必要になる相手を、人は簡単に手放せません。
友達に会わせてほしいと、一度頼んでみて。
そこで渋るなら、それが彼の答えでもあるよ。
相手の女性と比べて落ち込んだ夜は
深夜2時に相手の女性のインスタを開いてしまう。相談に来る人のほぼ全員がやってるやつ。
比べるほど自分の欠点探しが始まって、翌朝の顔色まで曇る。
ある参加者は、彼女のアカウントを見た時間をメモに記録していました。1週間で4時間を超えていて、青ざめたって。
その時間を睡眠に回しただけで、彼の前での口数と笑顔が戻ったと話してくれました。
逆転が難しいサイン
会うのは夜だけ。外でのデートを避けたがる。将来の話になると、話題が天気や仕事へ逃げていく。
半年たってもこの3つが変わらないなら、彼の中で席順は固まっています。
はぁ…書いていて私も胸が痛い。
励ましだけを並べるほうがよほど残酷だから、ここは包み隠さず置いておくね。
二股男が後悔する瞬間と、その末路
静かに去った人ほど忘れられない
かつて二股をしていた男性の一人に、酔った勢いで聞いたことがあります。
忘れられない相手って、いるんですか?
(主催者が聞くことじゃないよなぁ、と今でも反省してる)
返ってきた答えが、今も耳に残っています。
泣いて責めた彼女と別れた時は、正直ほっとした。
何も言わず、今までありがとうとだけ残して消えた彼女。3年たっても夢に出てくる。
罪悪感をぶつけてもらえなかった人は、それを一人で抱え続けるしかない。
二股男を後悔させたいなら、取り乱さずに去る。幸せそうな近況が、風の噂で届くようにしておく。この二つで足ります。
二股を続けた男性のその後
社会人のコミュニティは狭い。
サークル内で二股をした男性の話は、女性参加者の間で声をひそめて共有されます。誰も騒がないのが、かえって怖いところ(笑)
数年単位で眺めていると、本気で向き合う相手から順に去っていく。
40歳手前の一人は、誰を好きなのか分からなくなったと苦笑いしていました。
派手な天罰なんて下らない。
信用は、充電できないスマホの電池みたいに減っていきます。気づけば残りわずかで、選べる相手がもういない。私が見てきた二股男の末路は、そういう音のしないものでした。
やってはいけない仕返し
職場への連絡や、実名をSNSに書く行為。
名誉毀損で訴えられる側に回る危険があり、あなたの次の恋まで傷つけてしまいます。
悔しさで眠れない夜は、誰かに話して。イベントの帰り道、駅のベンチで1時間付き合った夜もあります。つらさが長引くなら、カウンセラーを頼るのも立派な選択だから。
追いかけてきた彼を信じていいか
言葉より3か月の行動
戻ってきた彼を見る時に確かめたいことが三つ。
相手と完全に切れたか、予定を自分から話すようになったか、その状態が3か月続くか。
涙の謝罪なら、その日の夜にだってできてしまう。
行動の継続だけは、ごまかせないんだ。
信じきれない自分を責めない
彼が戻ってきても、不安はすぐには消えません。
Mさんも最初の数か月、彼のスマホが鳴るたびに体が固まったと振り返っていました。
それでも、スマホを見せてとは一度も頼まなかったそうです。
理由は、見せてと頼む関係に戻りたくなかったから。かっこよすぎない?
疑う気持ちは、裏切られた側の正常な反応。時間と行動の積み重ねでしか薄まらないものです。
焦って許したふりをすると、不安は後から倍になって返ってくる。これも何度か居合わせた光景なんですよ。

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