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下手に出る恋愛はなぜナメられる?意味と対等に戻る方法

イベントの打ち上げで、隣に座っていた女性がぽつりとこぼした。 私、いつも下手に出ちゃうんですよね。

その日の彼女は、とにかくよく動いていた。取り皿を配り、席替えのたびに端へ寄り、注文はいつも最後。感じのいい人だなあ、と思って見ていたんだよね。二次会のカラオケで、彼女だけ誰にも声をかけられないまま帰った。

社会人サークルで付き合いましたの報告も、玉砕しましたの報告も、そこそこの数を聞いてきたよ。その中で、気味が悪いくらい共通しているパターンがある。

丁寧で、優しくて、譲るのがうまい人ほど、なぜか雑に扱われるんだよね。

目次

下手に出る、はしたてにでる。へたにでる、じゃないんだよね。

下手は下の位置、つまり格下を指す言葉。出るはここでは振る舞うという意味で使われる。合わせると、自分が格下であるかのように振る舞う、になる。将棋や相撲で使う下手と同じ系譜さ。恋愛が下手の下手とは、まったく別物。

この読み違いのせいで、恋愛下手の話と混ざったまま調べている人がわりといる。意味を知ると、ざらっとした感触が残るはず。謙虚とも、敬意とも、少しずれてる。位置を下げるという行為そのものを指す言葉だから。

謙虚は、自分の力量を正しく見積もること。下手に出るは、実際より低く見せること。似ているようで、相手の頭に残る印象はけっこう違うんだよなぁ。

現場で見た、ナメられが始まる瞬間

夏のBBQ回での話。三十代前半の男性が、気になっている同い年の女性にずっと敬語を使っていた。飲み物を取ってきて、日陰の席を譲って、彼女が立てば荷物を見張る。周りから見ても好意はダダ漏れ(笑)

問題はそこじゃない。彼女がふざけて彼の肩を叩いたとき、彼がこう言ったんだよ。 すみません、邪魔でしたよね。

……いや、謝る場面じゃないっしょ。

三週間後、彼女は別の男性と付き合った。その人は、彼女の意見に普通に反論するタイプだった。優しくないわけじゃない。ただ、自分の考えを引っ込めなかっただけ。

別の交流会では、二十代後半の女性が同じ道をたどっていた。デートの行き先を聞かれて、どこでもいいよ、を三回連続。四回目に届いたLINEが、じゃあ今日はやめとこっか、だった。ずーんと沈んだ彼女の顔、正直見ていられなかったな。

どこでもいい、は優しさのつもりで言っている。受け取る側には、決める気がない人として届く。この落差がでかい。

サインは、予定の扱い方にいちばん出る

雑に扱われ始めているかどうか。会話の内容より、予定の扱われ方を見るとわかりやすい。

誘いの連絡が前日か当日に偏る。相手の都合が先に決まって、こちらは埋める側に回る。ドタキャンの謝り方が軽くなる。会う場所が毎回相手の家の近くになる。そういう細かい積み重ねの中に出てくるんだよね。

わりとえぐいのが、お礼の言葉が消えていくパターン。最初はありがとうと言われていたことが、いつの間にか無言で通過するようになる。相手に悪意はない。当たり前に変わっただけ。

そして当たり前に変わった瞬間から、こちらの努力は加点されなくなる。ここが分かれ目だと思ってる。

連絡のやりとりに、いちばん癖が出る

イベント常連の二十代女性が、彼とのLINEを見せてくれたことがあった。スクロールしていて、あれっと引っかかった。

彼女の側に、彼女の話がひとつもない。

質問と、相づちと、了解の返事だけ。今日なにしてたの、へえすごいね、大丈夫だよ、いつでもいいよ。行儀はいい。読み返すと、誰と話しているのかわからなくなる。

自分のことを話す量が極端に少ないと、相手は近づく手がかりを失う。自己開示の返報性なんて呼ばれる話ね。開いた分だけ相手も開く。閉じたままだと、踏み込みようがないわけ。

即レスが悪いんじゃないよ。速さより中身。返信のどこかに自分の一日が一行でも混ざっていれば、やりとりの温度は変わる。

なぜ格下として処理されてしまうのか

人は、相手が自分に払っているコストを見て、その人の値打ちを測るところがある。恋愛に限った話じゃない。無料でいくらでも手に入るものに、人は値札をつけない。

心理学でよく語られる希少性の原理が、恋愛でもけっこう素直に働くんだよね。手に入りにくいものほど価値が高く見える、というやつ。ここに返報性の考え方が重なる。何かをしてもらうと返したくなる心の動きね。ところが、返しきれない量を一方的に渡され続けると、返そうという気持ちは薄れていく。受け取ることが日常になるから。

もうひとつ。過剰な好意を受け取った側が、その相手を追いかける対象から外して、安心できる相手の枠へ移してしまう動きがある。恋愛感情が消えるわけじゃない。緊張感だけが静かに抜けていく感じ。現場でも、何度か見てきた。

相手は意地悪をしているんじゃないのよ。ただ学習してるだけ。この人は断らない。この人は怒らない。この人は待ってくれる。行動の積み重ねが、相手の頭の中に位置を書き込んでいく。

そして書き込まれた位置は、言葉ではなかなか上書きできない。

そもそも、なぜ下手に出てしまうのか

打ち上げの席で、この癖がある人に理由を聞いて回ったことがある。返ってきた答えが似すぎていて、少し驚いた。

嫌われるのが怖い。これはほぼ全員。

もう少し掘ると枝分かれしていく。前の恋人に理由もなく切られた人。実家で誰かの機嫌をうかがう役を長く担っていた人。自分の希望を口に出すことへ、うっすら罪の意識がある人。

好きな相手を過大評価しているパターンもあるよ。すごい存在に仕立て上げてしまって、自分が釣り合っていない気がしてくるやつね。釣り合わない分を態度で埋めようとする。そこから位置がずれ始める。

厄介なのは、本人にとってこれが処世術じゃなく防衛だという点さ。計算で下がっているならやめられる。怖さから出ている行動は、意思だけでは止まらない。

だから性格を直しましょう、みたいな話にはしないでおくね。行動をひとつだけ変える。それで足りることが、思ったよりある。

やってはいけない挽回のしかた

気づいた人が最初にやることは、たいてい裏目に出る。私が見てきた失敗を三つ。

急に冷たくなる人。連絡を絶ち、返信を遅らせ、そっけない態度に切り替える。相手は理由がわからないから、困惑してそのまま離れていく。そりゃそうだよ。

別れをちらつかせる人。もう無理かも、と言えば引き止めてもらえると期待している。一度目は効く。二度目から、相手の心に細いひびが入る。三度目で、たぶんもう戻らない。

察してもらおうとする人。これがいちばん多い。不満を溜めて、態度でにじませて、気づいてもらえないことにまた傷つく。伝えてないんだから、伝わらないんだよね…。

共通しているのは、相手を動かそうとしている点。自分の振る舞いじゃなくて、相手の反応を変えにいってる。ここを裏返すのが最初の一歩になる。

追いかける側から降りる、その手前でやること

冷たくすることと、対等になることは違う。ここを取り違えると全部おかしくなるから、しつこく言っておきたい。

サークルの中で実際に関係が変わっていった人たちが何をしていたか。並べてみるね。

小さく断る練習から始めた人が多かった。今日は行けないや、で終わらせる。理由も添えない。ごめんね今週バタバタしてて本当にごめんなさい、みたいな謝罪の重ね塗りをやめる。それだけで相手の受け取り方が変わったという話を、何度か聞いた。

予定を自分で埋めるようになった人もいる。空けて待つのをやめる、というだけの話ね。返信をわざと遅らせるテクニックとは別物さ。本当に用事がある人の遅い返信は、嫌味にならないから不思議。

要望の言い方を変えた人も印象に残ってる。お願いする形をやめて、事実と希望だけを置く。連絡が三日空くと落ち着かないから、一言だけほしいな。これで足りる。責めない、でも黙らない。この二つは両立するんだよ。

四つめが、いちばんしんどいところ。相手の反応で自分の値打ちを測るのをやめること。既読がつかない夜、そわそわして画面を伏せたり戻したりする、あの時間。あれをやめるのは技術というより習慣の問題だと思ってる。

変えた直後の二週間が、たぶんいちばんきつい

態度を変えると、一時的に関係が冷えることがある。当たり前だよね。相手からすれば急な仕様変更なんだから。

三十代の女性が、彼氏の直前の予定変更に初めてノーを出した。その夜、返信が来なかった。ぐるぐる考えて眠れなかったらしい。翌日の昼、彼から電話。ごめん、いつも合わせてもらってたよな、と。

うまくいく話ばかりじゃないよ。同じことをして、そのまま関係が終わった人もいる。ただ、その人が半年後に言っていた一言が引っかかってる。

あのまま続けてたら、私、自分のこと嫌いになってたと思う。

態度を変えたら離れていく相手なら、その関係は下手に出続けることでしか保てなかったことになる。認めるのはきついけどね。そういうことなんだと思う。

変えても、何も変わらない相手のこと

対等に戻す動きをしても、扱いがまったく変わらないことがある。断れば不機嫌になる。要望を伝えれば、重いと返される。自分の予定を優先したら、じゃあいいや、で会話が終わる。

こうなると、下手に出ていたことが原因じゃなかった線が濃くなる。こちらが下がっている前提でしか成り立っていなかった関係、ということね。

長く見てきて思うのは、相手を変えようとして削られる時間がいちばんもったいないということ。行動を変えて、二か月ほど様子を見る。それでも動かないなら、自分の落ち度として抱え込まなくていいと思うよ。

優しさと、へりくだりの違い

優しい人がモテないんじゃない。位置を下げる人が追われなくなるだけ。

現場で見ていると、この二つはわりと簡単に見分けがつく。相手のために動きながら、自分の好みも言える人。それが優しさの側にいる人ね。動くことと引っ込むことがセットになっている人が、へりくだりの側に落ちていく。

イタリアン行きたいって言ってたよね、じゃあ予約しとくよ。私は辛いのが苦手だから、そこだけ避けてもいい? この二文がどっちも言える人は、ほぼ雑に扱われない。片方しか言えなくなった瞬間から、じわじわ位置が下がっていく。

強気に出ろ、というアドバイスが失敗しやすいのもここ。強気は反対側に振り切っただけで、自分の希望を言えるようにはならないから。

駆け引きしないと愛されないのか

長く続いているカップルを見ていると、駆け引きの気配がほとんどないんだよね。片方が疲れていればもう片方が動く。それが日によって入れ替わる。上下がないというより、上下を数えていない。

下手に出るのをやめるのは、強くなることじゃなくてさ。自分の希望を持ったまま、相手のそばにいる。それだけ。希望を消すから位置が下がる。消さずにいれば、位置は勝手に並ぶもんだよ。

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