イベントの片づけをしていたら、参加者の女性がぽつりと言ったんですよね。
「彼氏いるのに、今日ずっとあの人のこと目で追ってた。私、最低ですか?」
受付を手伝ってくれた27歳のMさん。付き合って3年になる彼氏がいて、この日は友達の付き添いで来ただけ。それなのに、隣のテーブルの男性と話した30分で、胸がざわっとしてしまったらしい。(最低なわけないでしょ、と喉まで出かかった)
社会人サークルを運営して、この手の相談を何十回聞いたか分かりません。だから先に言っておきたい。彼氏がいるのに他の人が気になるのは、珍しくも異常でもないです。その気持ちを抱えたまま、何も起こさず帰っていく人のほうがずっと多い。
問題は気持ちが芽生えたことじゃなくて、そのあとどう動くかなんだよね。
気になるのは、あなたが最低だからじゃない
打ち上げで聞くと、半分くらいの人が経験している
イベント後の飲み会で、彼氏持ちの女性たちに聞いてみたことがあります。付き合っている間に、別の人にドキッとしたことはあるかって。手を挙げたのは、ざっくり半分。残りの半分も、ドキッとまではいかないけど、いいなと思ったことならあると言う人がほとんどでした。
ときめかない人のほうが、少数派なんですよ。
心理学では、人は新しい刺激に強く反応するようにできていると説明されます。3年見てきた彼氏の笑顔より、初めて会った人の笑顔のほうが脳にとっては新鮮。それだけの話で、愛が冷めた証拠でも、あなたの性格が悪いわけでもない。
気持ちと行動は、別の引き出しに入れておく
ひとつだけ覚えておいてほしいのが、ときめきそのものに罪はないということ。
罪が生まれるとしたら、その気持ちを理由に彼氏へ嘘をついたり、隠れて会ったり、彼氏を保険扱いしたとき。Mさんはその日、連絡先を交換せずに帰りました。帰り際の横顔がちょっと切なそうで、こっちまで胸がきゅっとなったけど(笑)、あれは誠実さの証だったと今でも思う。
気持ちは自由。行動には責任がある。この二つを別の引き出しにしまっておくだけで、自分を責める時間がぐっと減ります。偉そうに書いてるけど、私も昔、この引き出しを分けられずに彼氏も好きな人も一気に失ったことがあるので…はぁ。
他の人が気になるとき、心の中で起きていること
寂しさの穴に、優しい誰かがすっぽり入る
相談を聞いていて一番多いのが、寂しさが土台になっているパターン。
彼氏からのLINEが未読のまま2日。デートは毎回同じ居酒屋。かわいいと言われたのはいつだっけ…。そういう日々の中で、イベントで隣に座った人に髪型を褒められたら、そりゃ心が動くでしょ。動かないほうが不自然じゃん。
惹かれているのは、その人自身というより、自分を見てくれたという体験のほう。ここを取り違えると、彼氏と別れて乗り換えたあとで、同じ寂しさがまた顔を出します。
告白されると、自分の値段が上がった気がする
イベントで知り合った29歳のRさんは、彼氏がいるのに会社の後輩から突然告白されて、頭がぐらぐら揺れたと話してくれました。
「後輩を好きになったっていうより、選ばれた自分が嬉しかったんだと思う」
正直言って、この感覚は多くの人に当てはまります。人は好意を向けられると、お返しに好意を返したくなる。心理学で返報性と呼ばれる働きです。告白の翌日から急にその人がかっこよく見え始めたなら、相手の魅力が上がったわけじゃない。自分の中の評価が書き換わっただけかもしれない。
彼氏の顔が、景色の一部になっている
3年、5年と付き合うと、彼氏はドキドキの対象から、生活の背景に変わっていきます。安心はある。刺激はない。この状態で新しい人と話す30分は、乾いた土に水が染みるみたいに効くんですよ。
いわゆる倦怠期に他の人が気になる仕組みは、おおむねこれ。彼氏のせいでもあなたのせいでもなく、時間が作った状態です。だからこそ、二人の関係を作り直せる余地も残っています。
本気か一時の熱か、見分ける三つの問い
診断サイトみたいに15問も答える必要はなくて、私が相談を受けたときに必ず投げる問いは三つだけ。
その人を頭から消しても、彼氏と続けたい?
気になる人がいなくなった世界を想像してみてください。それでも彼氏に不満が残るなら、揺れている原因はその人じゃなく、彼との関係そのもの。逆に、その人さえいなければ彼氏と幸せに続けられそう。そう思えるなら、今起きているのは一時の熱の可能性が高いです。
彼氏への不満を、彼氏本人に言ったことはある?
意外と、ここで黙り込む人が多いんだよね。
友達には愚痴る。SNSには匂わせる。でも彼氏本人には言っていない。それなのに、彼氏は分かってくれないと感じている。Mさんもそうでした。連絡が減ったことを一度も伝えていなくて、言ったら重いと思われそうで…と小さな声。伝えていない不満を理由に他の人へ行くのは、審判を呼ばないまま試合を投げるのに近い。
同じことを、前の恋でもやっていない?
付き合って半年から1年のあたりで、必ず誰かが気になる。それを繰り返しているなら、相手の問題ではなく、恋の入り口の刺激だけを追いかける癖がついているのかもしれません。この場合、乗り換えても1年後にまた同じ場所に立つことになる(泣)。
別れるべきか、乗り換えるべきか
気になる人ができただけでは、別れる理由にならない
ここははっきり言います。誰かにときめいたという事実は、彼氏と別れる理由になりません。別れる理由になるのは、彼氏との間に、話し合っても解決できない不満があるときだけ。
人は手に入るものより、失うもののほうを重く感じるようにできています。今の安定を手放す決断は、そのぶん先延ばしになりやすい。気になる人の存在は、その言い訳にも使われやすいんです。その人がいなくても彼氏と別れたいか。イエスなら別れる。ノーなら別れない。気になる人はこの判断から一度外さないと、答えがずっと濁ったままになります。
相談してくる人の多くは、もう答えを持っているんです。私に求めているのは答えじゃなくて、背中を押す言葉か、止めてくれる言葉のどちらか。(それを見抜くのが運営の仕事だったりする)
後悔した人は、だいたい順番を間違えている
イベントで見てきた失敗パターンは、驚くほど似ています。
彼氏と別れる前に、気になる人と二人で会い始める。彼氏を保険として残したまま、新しい人の様子を探るわけです。関係が曖昧なまま、勢いで別れ話。この順番でうまくいった人を、私は知りません。
30代の女性で、彼氏をキープしたまま気になる人と会っていたら、結局どちらからも信用をなくして一人になった人がいました。あの時の彼女の言葉が忘れられない。「二兎を追ったんじゃなくて、どっちにも本気で向き合ってなかったんだよね」。
もうひとつ見落とされがちなのが、気になる人の本気度。彼氏と別れたあとで、相手はただの話し相手のつもりだったと分かった人を、私は二人知っています。乗り換える前に、その人が本当にあなたと付き合う気があるのか、冷静に見ておいたほうがいい。
順番は決まっています。先に彼氏と終わらせる。少し時間を置いて、それから新しい人と向き合うこと。遠回りに見えて、これが一番傷の浅い道。
続けるなら、不満を彼氏に手渡す
別れないと決めたなら、やるべきことはシンプル。抱えている不満を、彼氏に言葉で手渡す。
Mさんはその後、最近連絡が減って寂しかったと彼氏に伝えたそうです。返事は、仕事が忙しくて言われるまで気づかなかった、だけ。まさかのそれだけ(笑)。でもそこから彼氏のLINEが戻ってきて、他の人へのざわつきもいつの間にか薄れていったと聞きました。
不満は、言わなければ相手の中には存在しません。ここをすっ飛ばして分かってくれないと嘆いても、何も変わらないんです。
乗り換えは最低なのか
乗り換え自体が最低なわけじゃない。最低になるのは、彼氏に嘘をついたまま次へ進んだとき。誠実に終わらせてから新しい恋に行く人を、私は責める気になれません。むしろ、気持ちが冷めたまま惰性で付き合い続けるほうが、相手の時間を奪っている面もあります。
どこからが浮気?線引きを間違えないために
男女で線がズレている
彼氏がいる女性に、二人でご飯は浮気かと聞くと、食事くらいならと答える人が大半。同じ質問を男性側にすると、彼女が他の男と二人で会うのは無理と答える人が少なくありません。男性は体の接触を重く見て、女性は心の動きを重く見る。飲み会の会話でよく感じる傾向です。
自分の中ではセーフでも、彼氏の中ではとっくにアウト。こういうズレは日常的に起きるので、線引きを自分の感覚だけで決めないほうが安全です。
彼氏に言えない時点で、色が変わる
グレーゾーンの判定は、頭を抱えるほど難しくない。その行動を彼氏に話せるかどうか、それだけ。
今日イベントで知り合った人とご飯に行ったよ、と普通に言えるなら白。言えない、言いたくない、聞かれたらごまかしそう。そう思った瞬間に、その行動はグレーから黒へ近づいています。会う頻度でも時間帯でもなく、隠すかどうかで色が決まる。
隠れて会ってばれた人が失ったのは、彼氏だけじゃありませんでした。共通の友達、職場での居心地、そして自分を信じる感覚まで。あれを間近で見てから、私はこの線引きだけは強く言うようにしています。
二人で会うなら、自分にルールを
気になる人と関わりが続くなら、最初に彼氏がいることを伝えておく。これだけで、相手の期待も自分の暴走もだいぶ抑えられます。夜遅くまで二人にならない。悩み相談を毎回その人に持ち込まないこと。彼氏に見せられないLINEも同じ。この三つを守れそうにないと感じたら、距離を取るサインです。
彼氏に、気になる人がいると打ち明けるべきかは、正直むずかしい。ときめいた事実だけを伝えても、彼氏を不安にさせて終わることが多い。伝えるなら、その手前にある不満のほうを先に。
シチュエーション別に見る、気になる人との向き合い方
職場の人が気になるとき
一番厄介なのがこれ。毎日顔を合わせるので、距離を置くという対処法が使えない。おまけに、人は繰り返し会う相手に好意を持ちやすいという単純接触効果もあって、毎朝の挨拶がじわじわ効いてきます。
対策は、業務外の接点を意図的に減らすしかない。ランチは別行動。帰り道を合わせない。飲み会で隣の席には座らないこと。冷たく見えるかもしれない。でも、職場恋愛で泥沼になった人の話を何度も聞いてきた身としては、ここは意地でも守ってほしい!
元彼が気になるとき
久しぶりに連絡が来て、あの時の気持ちがよみがえる。ただ、元彼への気持ちには、恋愛感情というより、あの頃の自分への懐かしさが混ざっていることが多いです。別れた理由は、今も変わらずそこにある。それを思い出すだけで、熱は少し冷めます。
結婚を考えている彼氏がいるのに気になるとき
この人でいいのかなという迷いが、他の人へのときめきの形で出てくることがあります。イベントに来る30代の女性から本当によく聞く話。
このときの揺れは、気になる人の魅力というより、結婚という決断の重さのほうから生まれています。揺れが出た時点で、彼氏との将来の話を具体的に詰めてみてほしい。住む場所、仕事、お金、子ども。そこで会話が成り立つなら、揺れは自然に落ち着く。成り立たないなら、気になる人がいなくても考え直す時期が来ています。

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