土曜の夜、交流会の片付けをしていた時のこと。
30代の男性参加者が、グラスを持ったまま近づいてきました。
「2時間、同じ女性とずっと話せたんです。キャンプの話で盛り上がって」
声は弾んでいる。
なのに、次のひと言で肩がすとんと落ちたんです。
「でも、彼氏がいるかどうかも聞けなくて…」
2時間もあったのに!
そう突っ込みかけて、飲み込みました。
社会人向けのイベントを運営していると、この台詞に何度も出会います。
話は弾む。笑いも起きる。
ところが帰り道、手元に残っているのは相手の好きな焚き火台の名前だけ(泣)
恋愛の話に持っていきたいが、振られる怖さを抱えずに、相手の目に映る自分を知る手立て、いい人どまりの名札を外すきっかけは無いものか。
恋愛の話に持っていけない人が、本当に困っていること
切り出せない理由を、話題の引き出し不足だと考える人がいます。
会場で見えるのは、別の景色でした。
雑談が弾む人ほど友達の席に案内される
恋愛の話にたどり着けない人は、会話が下手なわけじゃない。
むしろ上手。
仕事、趣味、最近行った店。
安全な話題を次々に出せるから、相手も居心地がいい。
居心地がよすぎて、異性として意識する瞬間が来ないまま会が終わるんだよなぁ。
前菜ばかりおかわりして、メインの皿が出てこないコース料理みたいなもの。
お腹はふくれるのに、何を食べに来たのかは曖昧なまま帰り道につく。
心理学に、社会的浸透理論という考え方があります。
会話が浅い層から深い層へ進むほど、人との距離も縮まっていくという説。
天気や仕事は浅い層。
恋愛観や過去の恋は、もう一段深いところにある話題です。
浅い層を何時間往復しても、深い層へは勝手に降りていきません。
どちらかが一段、階段を下りないと。
知りたいのは恋バナの中身より、相手の反応
恋バナを振りたい人の目的は、相手の元恋人の情報集めではありません。
恋人はいるのか。
自分は恋の候補に入れそうか。
この二つを、告白という大勝負の前に確かめたい。
正直言って、ずるくも何ともないです。
プールに飛び込む前に、手で水温を確かめるのと同じこと。
いきなり飛び込んで震えるより、よほど健全じゃん。
だから集めるのは情報ではなく、相手の返し方。
切り出す言葉は、返事を引き出すための呼び水。
現場で見た、恋愛の話に持っていく自然な切り出し方
乾杯の数だけ、切り出しの場面を見てきました。
うまい人には、共通する動きがある。
頃合いは、相手が自分から話を足してきた時
何分たったら恋愛に触れていいのか。
よく聞かれるけれど、時計で測れるものでもない。
乾杯の直後は、誰でも肩に力が入っています。
質問に答えるだけで、自分からは話を足さない。
この段階で踏み込むと、相手は身を引きます。
目印は、聞いていないことまで話し始めた瞬間。
週末の行き先を尋ねたら、誰と行ったか、何が面白かったかまで勝手に出てくる。
ここまで来たら、もう切り出して大丈夫。
第三者の話を、車線変更の合図にする
うまく運ぶ人は、いきなり相手本人の恋愛を聞かない。
先に他人の恋愛を話題にのせる。
20代後半の女性参加者が見せた手際を、今も覚えています。
隣の男性と映画の話をしていた流れで、ふとこう言う。
「この前、友達の結婚式に行ってきたんですよ。出会いが職場の隣の席だったらしくて」
男性が身を乗り出す。
出会いってどこに落ちてるんでしょうね、と二人で笑い合う。
気づけば話題は、お互いの恋愛へ。
車線を変える時、突然ハンドルを切る人はいませんよね。
先にウインカーを出す。
友達の結婚、話題のドラマ、同僚ののろけ話。
どれも、これから恋愛の話に入りますよという予告になります。
相手は心の準備ができる。
本人への質問は、その後で間に合います。
自分の恋愛観を先にひとつ置く
次に目立つのが、自分から話す人。
ある男性参加者は、乾杯から20分ほどでこう口にしていました。
「僕、連絡はまめじゃなくていい派なんですよ。毎日だとネタが尽きちゃって」
向かいの女性が笑って、逆かもしれないですと返す。
質問をひとつもしていないのに、相手の恋愛観が出てきた。
自己開示の返報性と呼ばれる現象です。
人は打ち明けられると、同じくらいの深さで打ち明け返したくなる。
質問で相手の扉をこじ開けるより、自分の扉を少し開けておくと早い。
真逆をいく人もいました。
席について5分で、恋人いるんですかと直球。
相手の箸が空中で止まる。
隣の卓にいた私は、助け舟も出せずにおしぼりを握りしめていただけ。
あの時の沈黙、今でも夢に出ます(笑)
休日の話を、誰と過ごすかの話へずらす
休日は何をされてるんですか。
イベントで最も多く飛び交う質問で、恋愛から最も遠い質問でもあります。
場数を踏んだ参加者は、返ってきた答えにこう続ける。
「カフェ巡り、いいですね。そういうのって一人で行く派ですか、誰かと行く派ですか」
何をするかの話を、誰とするかの話へ。
話題は変えずに、角度だけ変える。
唐突さがないうえに、答えから恋人の気配まで読み取れます。
友達とですね、なら一歩前進。
最近は一人が多いかな、と返ってきたら追い風です。
空気が冷える聞き方
失敗も、山ほど目撃しています。
いちばん多いのは質問の連射。
恋人はいますか、いつからですか、どうして別れたんですか、と畳みかける。
聞かれる側は、窓口で書類の不備を確認されている気分になるんだよね。
運営席から見ている私まで、胃のあたりが重くなる。
(マジでそこまで聞く?)と、心の中でつぶやいたことも一度や二度じゃない。
初対面の男女の会話を分析した海外の研究があります。
答えを掘り下げる質問を重ねた人ほど、次も会いたいと言われやすかったという結果。
連射する人は、答えを受け取る前に次の質問を構えている。
相手に残るのは、聞いてもらえていない感触です。
元恋人の深掘りも冷えます。
別れた理由、付き合った人数。
聞いて得をする人は、あの席に一人もいないのに!
好きな人とのLINEで恋愛の話に持っていく例文とタイミング
対面で切り出せなかった夜の、敗者復活戦がLINE。
毎日やり取りは続くのに、ごはんの報告だけで一か月たった。
そんな相談も届きます。
ルームランナーと同じで、足は動いているのに少しも前に進んでいない。
送るなら会った日の夜
迷うなら、会ったその日の夜。
お礼のメッセージに一文だけ足します。
連絡先を交換した人たちを見ていると、翌日以降に持ち越した人ほど送れなくなる。
文面を練りすぎて、指が止まる。
三日寝かせたLINEは、冷蔵庫の奥の作り置きと同じ。
日がたつほど、フタを開けるのが怖くない?
返信のテンポが速い日も狙い目。
相手の手が空いていて、会話に乗ってくれている時です。
そのまま送れる切り出しの文面
お礼に足すなら、これくらいの軽さで。
「今日はありがとうございました。そういえば聞きそびれたんですけど、休みの日は誰かと出かけることが多いんですか」
共通の話題があったなら、そこから。
「話してたあの映画、観てきました。ああいう恋愛、ありだと思います?」
もう少し踏み込める関係なら、こう。
「今日は話しやすくて、あっという間でした。モテそうですよね、今いい人いないんですか」
三つとも、質問の前に一文はさんであります。
聞けなかった心残り、映画の感想、話していて浮かんだ印象。
この一文が、なぜ今それを聞くのかの理由になる。
理由のない恋愛の質問は、相手の画面の中で浮いてしまう。
文字で聞かないほうがいい話
LINEで全部を聞こうとしないこと。
元恋人とのこと、結婚への考え、恋愛で傷ついた記憶。
こういう話は文字にすると、ひと回り重くなって届きます。
表情も声色も、文字には添えられないから。
文字で聞くのは、恋人がいるのかと、どんな人が好きかまで。
その先は、会った時のためにとっておく。
続きは今度ごはんの時に聞かせてください。
そう送れば、質問が誘い文句に化けます。
意外と便利でしょ?
恋愛の話をしたあとの反応で脈ありを見分ける
切り出せた。で、ここからが本番です。
脈ありのとき、相手は聞き返してくる
真っ先に見る脈ありサインは、聞き返し。
相手が今はフリーですと答えた後、そちらはどうなんですかと聞いてくる。
向こうもこちらの恋愛事情を知りたがっている印です。
答えの細かさにも本気度がにじみます。
好きなタイプを聞いて、優しい人かな、で終わることもある。
沈黙が平気な人が落ち着くんです、と自分の言葉で話してくれたら別。
具体的な答えには、自分を知ってほしい気持ちが乗りやすい。
LINEなら、返信に質問がついてくる。
文が長くなる、話題を向こうから広げてくる、というのも同じ流れです。
後に交際を報告してくれた二人を、よく思い出します。
恋愛の話になった途端、どちらも椅子の向きが相手のほうへ変わったんです。
体の向きや前のめりの姿勢。
非言語コミュニケーションの研究でも、好意の手がかりに数えられています。
口より先に、体が返事をするらしい。
脈が薄いときの返事
手応えが薄い返事にも、似た癖が出ます。
まあ、いろいろありましてと笑って流される。
話題はすぐ別のところへ逃げていく。
こちらが独り身かどうかは、最後まで聞かれない。
見落としやすいのが、恋愛相談を持ちかけられるパターン。
実は気になる人がいて、と真顔で言われる。
それは信頼の証ではあっても、こちらを恋の相手として見ているとは限りません。
相談役の椅子は座り心地がいいぶん、立ち上がるのが難しいんですよ。
とはいえ、一度流されたくらいで結論を出すのは早い。
恋愛の話が単純に苦手な人もいます。
警戒がとけていないだけ、ということも。
日を変えてもう一度だけ軽く触れてみて、判断はその後に。
恋愛の話をしてくる男性と女性の心理
切り出す側に立つと、自分の質問がどう受け取られるかも気になるところ。
聞かれる側の気持ちを知っておくと、自分が聞く時の迷いも減ります。
聞いたあとの動きに本音が出る
相手から不意に、恋人いるの、どんな人がタイプなのと聞かれた時。
ドキッとしますよね。
期待していいのか、悪いのか。
手がかりは、質問の後に転がっています。
答えを聞いた相手が、自分のことも話し出すか。
そうなんですね、僕も今ひとりで。
こうして自分の状況を添えてくる人は、こちらを意識している見込みが高い。
関心のある相手のことは、どうしても知りたくなるものです。
聞くだけ聞いて、へえ、そうなんだで終わる。
周りの全員に同じ質問をしている。
そんな時は場を温める世間話だったと受け取っておくと、後の傷が浅くて済みます。
質問の中身で熱の入り方が変わる
恋人の有無は、入口の確認。
タイプを聞くのは、自分が当てはまるかの照らし合わせ。
理想のデートまで尋ねてきたら、頭の中ではもう隣を歩いているのかもしれません。
男性心理、女性心理と分けて語られがちな話題。
でも受付から眺めているかぎり、性別より本気の度合いで聞き方が変わります。
迷いなく聞ける人は、誰にでも聞ける人。
声が少し裏返るくらいの人が、まさかの本命だったりして。
聞かれてうれしい時の返し方
返し方はひとつ。
答えて、聞き返す。
今はいなくて、そちらは?
照れて、いやいや全然ですよとはぐらかした女性がいました。
聞いた男性は脈なしと読んで、別の卓へ移ってしまう。
後で彼女が受付に来て、内心ガッツポーズだったのにと小声で言う。
もったいなさすぎ!
たった一往復の返事で、相手は次の一歩を踏み出しやすくなります。
反応を見たあとの次の一手
反応が見えたら、あとは動く番。
手応えがあった日は、その日のうちに誘う
聞き返された。答えが具体的だった。
二つ揃ったら、帰り際か寝る前までに次の約束を置きにいく。
盛り上がった夜の熱は、翌週まで持たない。
冒頭のキャンプの彼にも、片付けの手を止めてそう伝えました。
彼はその夜、そわそわしながら一通を打ったそうです。
「さっき話してた焚き火、今度一緒にどうですか。ちなみに、誘ったら怒る人っていますか?」
返事は、いないです笑、行きたいです。
後日、照れながら画面を見せてくれました。
デートの誘いと恋人の確認を、一通で済ませる離れ業!
やるじゃん…
そこまで器用な人だとは思っていなかった。
見くびってました、ごめんなさい。
薄かった日は、雑談に戻って待つ
流された日は、追いかけない。
何事もなかった顔で、いつもの話題に戻ります。
結局、恋愛の話は一発勝負の試験じゃないんですよね。
二度目、三度目に会った時、相手から口を開く日も来る。
焦って詰めた人より、一度引いた人が、次の機会を残せていました。
ウインカーは、点けるだけなら誰の迷惑にもならない。
曲がるかどうかは、相手の返事を見てから決めればいい。

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