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社会人のペアリングは恥ずかしい?年齢別のリアルと職場での付け方

受付で名前を書こうとして、右手をポケットに突っ込んだままペンを落とした男性がいた。三十代前半、都内のメーカー勤務。あとで飲みの席で理由を聞いたら、彼女とペアリングを買った翌週で、まだ人前に出す勇気がなかったんだって。

「これ、いい歳してキツくないですかね」

そう言いながら、めちゃくちゃ嬉しそうだったのが忘れられない(笑)

うちのイベントには毎月、二十代後半から四十代の男女が集まる。成立したあとに近況を教えてくれる人も多くて、ペアリングの話題もたまに出るが買うかどうかで揉めた話、職場でバレた話、別れて処分に困った話の恥ずかしいという言葉の下に何が沈んでいるのか、現場で見てきた範囲で書いていく。

目次

恥ずかしいと言うとき、たいてい他人は見ていない

身も蓋もないところから。

周りは、そこまで見てない。

イベントで日によっては一晩に百人以上の手元を見る立場から言うと、指輪に気づくのは同じように指輪をしている人だけ。あとは占い好きの女性がたまに指の意味に反応するくらい。男性はほぼ気づかないし、気づいても話題にしない。

じゃあ何が恥ずかしいのか。参加者の話を聞いていると、三つに分かれる。

ひとつめは、浮かれている自分を自分で認めるのが照れくさいという感覚。他人の目じゃなくて、内側から刺してくる声のほう。学生の頃はノリで買えたのに、社会人になると、恋愛を前面に出すのは幼いという刷り込みがじわっと効いてくるんだよなぁ。

ふたつめは、関係が続くかどうかの不安。ここ、かなり多い。恥ずかしいと言っていた人の話を掘っていくと、半分くらいは「別れたら気まずいから」に着地する。指輪は関係を目に見える形で外に出す道具だから、強度に自信がないほど照れという言葉に逃げやすい。

三つめが、職場という半分だけ公の場に私生活を持ち込むことへの抵抗。これは照れとは別種で、実務的な話。

職場でバレたときに実際に起きること

三十六歳の看護師の女性が言っていた。「左手薬指にしてたら既婚だと思われて、飲み会に誘われなくなった」と。逆に、二十九歳の営業職の男性は、独身だとバレた瞬間に上司から縁談を持ち込まれるようになったらしい。はぁ…と肩を落としていた顔が印象に残っている。

つまり職場での問題は、恥ずかしいかどうかじゃない。誤解されるか、詮索されるか。この二択だった。

だから右手を選ぶ人が多い。右手の薬指か中指。左手薬指は結婚指輪の場所として広く共有されているから、避けておくと余計な説明が減る。カジュアルに済ませたいなら右手中指、恋人という意味を残したいなら右手薬指、というのが参加者の間でよく聞く落とし所。

デザインについては、幅が二ミリを超えると急に主張が強くなる。細身でマット仕上げ、地金の色は肌馴染みのいいもの。刻印は内側に隠す。この条件を満たしていれば、指輪をつけない文化の職場でもほとんど浮かない。医療や製造など手袋を使う仕事の人は、そもそも勤務中に外す前提で、チェーンに通して首から下げている人もいた。

「それ結婚指輪?」と聞かれたときの返しは、ぼかしすぎないほうが平和。単に好きで買ったやつです、と軽く流すか、そうじゃないですよと笑って終わらせるか。過剰に否定すると逆に食いつかれる。

男性が抵抗する理由は、デザインじゃなかった

彼女に頼まれたけど気が乗らない。この相談は男性から本当によく来る。

二十七歳のIT企業勤務の男性は、こう言っていた。「嫌なんじゃなくて、指輪をつけてる自分がまだ想像できない」

これ、核心を突いてると思った。断りたいわけじゃない。アクセサリーをつける習慣がない人間にとって、指輪は身体感覚として異物なんだよね。キーボードに当たる。手を洗うたびに気になる。風呂で外して失くしそう。

実際に挙がる理由を並べると、慣れの問題、仕事で物理的に無理、金属アレルギー、値段への抵抗、そして関係を固定されることへの躊躇。最後のひとつだけ性質が違う。

彼女側が求めているのは、指輪という物体じゃないことが多い。自分との関係を隠さないでいてくれるかどうか、そこを確認したがっている。だから断り方を工夫すれば、話はけっこう収まる。

つけたくないと突っぱねる代わりに、勤務中は外すけど休みの日はつける、と条件を出した男性がいた。彼女はあっさり納得したそう。素材をチタンに変えて軽さで解決した人もいたし、指輪をやめてキーホルダーを揃えたカップルもいた。

やってはいけないのは、黙って引き出しに入れること。ぽろっと見つかったときのダメージがでかい。

彼氏がつけてくれない、が意味すること

女性側からの相談で一番多いのがこれ。三十歳の女性が、ぐるぐる考え込んだ末に打ち明けてくれた。「買ったのに、彼が一度もつけてないんです」

心配になる気持ちはわかる。ただ、つけない=愛情が薄い、とは限らない。

見分ける目安がある。

家でつけているのに外ではつけない人。これは職場や周囲への配慮であることが多くて、そこまで心配しなくていい。逆に、外でつけているのに特定の集まりのときだけ外す人。これは黄色信号。誰と会うときに外しているのかで、意味が変わってくる。

あと、そもそも一度も身につけず、話題にすると露骨に不機嫌になるケース。理由を聞かれること自体を避けているなら、指輪の問題じゃなくて関係の話になってる。

責めない聞き方が効く。つけてくれないの、じゃなくて、つけにくい理由があるなら教えてほしい、に変える。これだけで返事の質が変わったという報告を何度か受けている。前者は責任追及に聞こえるし、後者は事情の確認に聞こえる。人は責められると防御に入るから、本音が出てこなくなるんだよね。

別れたら? 引き出しの奥で待っている問題

買う前から別れた後を考えるのは、悲観的というより現実的。

三十三歳の女性は、前の恋人とのペアリングを三年間しまい込んでいた。捨てられないし、つけられないし。「見るたびに嫌な気持ちになるのに、なんか捨てられなくてさ」

選択肢は、そんなに多くない。

シルバーやステンレスの安価なものなら、思い切って処分してしまう人が大半。プラチナや金なら買取に出せば数千円から数万円になる。愛着があってどうしても手放せない場合は、リメイクしてペンダントトップに作り替える方法もある。加工費は一万円台からで、元の形が残らないぶん気持ちの整理はつきやすいらしい。

すぐに決められないなら、一年しまっておいてから考えても遅くない。時間が経つと執着がすっと薄れることがある。

で、この話をすると買う前の人が安心するんだよね。処分の道筋が見えていれば、購入のハードルが下がる。別れたときのことを考えて買えないというのは、裏を返せば、失敗が取り返せないと思い込んでいるだけだったりするんだよね。

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