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面食いを治したいイケメンしか好きになれない心理と後悔しない選び方

イベントが終わった帰り道。駅までの五分で、常連のミサキさんが小さな声で言いました。

「私、また顔で選んで失敗したかも」。三十歳。今回で三回目の、同じセリフ。

社会人向けのイベントサークルで面食いに悩む人とは本当によく会います。治したいと言う人もいれば、治らないと嘆く人もいる。恋人が面食いで不安な人。婚活で顔が好みじゃない相手に迷う人。みんなうちの会で繰り返し見てきました。

目次

面食いが治らないのは、意志が弱いからじゃない

顔で選んだ恋が続かないとき、何が起きているのか

ミサキさんの恋は、いつも三か月で終わる。始まりは決まって一目惚れ。あの高揚感を、彼女は恋だと信じて疑わない。

恋愛心理では、燃え上がる情熱と、ゆっくり育つ親密さを別物として扱います。顔から入る恋は、情熱だけが先に満タンになる。親密さが空っぽのまま、二人の時間が始まるわけです。

だから相手が少しそっけないだけで、ぐらつく。埋め合わせに連絡を増やす。相手は重く感じて距離を取る。三か月というのは、この往復が尽きる頃合いなんでしょう。

顔で選んだこと自体が失敗なのではなく、顔以外の燃料を足す前にガス欠になる。続かない恋の正体は、たいていこれでした。

顔のいい人に選ばれたい、の裏側

ミサキさんは友達に彼の写真を見せるとき、ちょっと得意げな顔をします。本人は気づいていない。私は見逃していません。

あの表情の裏にあるのは、承認への飢えです。整った顔の相手に選ばれた自分なら、価値がある。逆に言えば、選ばれない自分には価値がない。そんな採点表を、無意識に持ち歩いている。

彼に振られると、恋を失う以上に、自分の値段が下がった気がして落ち込む。回復に時間がかかるのは、そのせいかもしれない。

結局、先に手放すべきは面食いではなく、この表のほう。

治したほうがいい人と、そのままでいい人

顔から入ること自体は、直さなくていい。人はまず見た目で情報を受け取る生き物ですし、初頭効果という言葉もあるくらい。むしろ健全な反応じゃないですか。

線引きは二つ。顔だけで相手を減点し続けて、二回目に会う前に候補を消していないか。都合よく扱われているのに、顔がタイプだからと離れられなくなっていないか。どちらかに当てはまるなら、ゆるめて損はないです。

当てはまらないなら、あなたは面食いというより、好みがはっきりしている人。それだけの話。

イケメンしか好きになれない女性に、イベントで起きていたこと

二次会で毎回同じ席に座る彼女

ユキさん、二十八歳。参加二回目で気づきました。二次会になると必ず、その日一番顔のいい男性の隣に座る。磁石かよ!って心の中でツッコんだ(笑)。

連絡先はいつもちゃんと交換している。ところが三週間後の会で聞くと、返事が来なくなったと肩を落とす。

顔のいい男性の側の本音も、私は聞いています。悪気なく言うんですよ。顔で寄ってくる子は、選び放題の中の一人にしか見えないって。彼らのところには常に人が来る。急がないし、優先順位も上がらない。

その場にいた普通の男性たちは、候補外にされた空気を敏感に察知します。すると彼女に、男好きというラベルが貼られてしまう。本人が聞いたら泣くでしょ。実際は一途なのに(泣)。

恥ずかしいけど、私もそうだった

正直言って、二十四歳の私はユキさんそのもの。合コンで一番のイケメンにだけ話しかけ、他の男性の名前は覚えて帰らない。まさか自分が面食いだなんて、当時は思ってもいなくて。

ある夜、親友に言われたんです。顔しか見てないよね、と。

ぐさっ。刺さりすぎて、布団の中で自分を浅い人間だと責めた。朝まで眠れなかったなぁ。

でも今なら分かる。浅かったのは私ではなく、私が自分を測っていた物差しのほう。イケメンに選ばれる私、以外に自分を好きになる材料を持っていなかっただけ。イベント運営を始めた動機は、白状すると出会い目的でした。なのに参加者の恋を眺めているうちに、初めて自分の穴が埋まった気がしたんだよね。

幸せになった面食い女子との分かれ道

ユキさんの変化は突然だった。半年後の料理イベント。隣で黙々と野菜を切る男性の、手際の良さに目を奪われたと言います。顔は、彼女の言葉を借りれば全然タイプじゃなかった。

それでも、もう一度会いたいと思った。その感覚を初めて優先したと話していました。いま一緒に暮らしています。

幸せになった面食い女子に共通するのは、ルックス以外の入口をもう一つ持てたこと。話し方、手つき、店員さんへの態度。扉が二つあると、恋が一つの部屋だけで終わらなくなる。

イケメン好きをやめる必要はなかった。扉を増やしただけ。それで十分だったみたい。

面食いをゆるめる七つの手順、妥協ではなく基準の作り直し

妥協という言葉を、カウンセリングの現場では基準の見直しと言い換えることがあります。ゆるめるのは好みではなく、減点の速さ。

紙の上でやる、二つの作業

一つ目は好みの棚卸し。これまで好きになった人を五人書いて、顔以外に惹かれた点を横に添える。書けない人がいたら、それが顔だけの恋だった証拠。

二つ目は、顔で選んで後悔した恋を思い出せる限り書き出すこと。ミサキさんはこれで三年分書いて、途中で笑い出しました。同じ男を三回好きになってる!って。パターンは、字にすると恥ずかしいくらい見える。

出会いの場で変える、二つのルール

三つ目、二回目まで判断を保留する。初対面で無理と決めない。二回目に会って、会話の後味だけで判定する。これだけで候補が一気に増えた人を知っています。

四つ目、出会いの場を会話が起点になる場所に寄せる。立食パーティーは顔が先に目に入る。料理やボードゲームは、手元と頭の回転が先に伝わる。うちで恋が続いた組は、ほとんどが手元の見える会から生まれています。

心の置き場所を、三つ動かす

五つ目、推しと恋愛対象を分ける。推しの顔は理想の完成形。恋愛相手にその基準を当てるのは、自分を凹ませる近道でしかない。

六つ目、自己肯定感を恋愛の外で満たす。仕事でも趣味でも、誰かに褒められる場所を一つ持つ。恋で自分の値段を決めなくなると、顔への執着は意外とあっさり緩みます。

七つ目、自分用の相性表を作る。休みの過ごし方、財布の感覚、黙っている時間の居心地。顔の点数と同じ重さで、この三つも採点してみてほしい。

無理に妥協した人は、どうなったか

治そうとして失敗する人も見ています。顔が好みじゃない人と無理に付き合い、自己嫌悪で情緒が崩れた人。イケメンに選ばれる側になろうと美容と整形に注ぎ込み、疲れ切った人。

どちらも共通して、自分を責めるところから始めていました。

治さない選択も、ありです。面食いのまま幸せになる道もある。自分の魅力が伝わる場に身を置くこと。会話の速さ、笑わせる力、面倒見の良さ。見た目以外の色気は、思っているより種類が多いんだよ。

彼氏が面食いで不安なあなたへ、イベントで聞いた本音

顔で選ばれた私は、老けたら捨てられる?

リナさん、三十一歳。彼氏は自他ともに認める面食い。付き合って一年。彼が美人の投稿にいいねを押すたび、胸がズキッとするらしい。

私は顔で選ばれた。だから、顔が衰えたら終わる。もっと綺麗な人が現れたら終わる。そういう条件付きの愛を、彼女はずっと想像していました。

聞いていて気づいたのは、彼が何か言ったわけではないこと。不安の材料は全部、自分の中の比較から出ていた。外見コンプレックスが、彼の面食いを借りて騒いでいただけ。

面食い男性に聞いてみた、付き合った後に見ているもの

うちのイベントで面食いを公言する男性、十人ほどに同じ質問をしました。付き合った後も、顔を見続けているのか。

答えは驚くほど揃っていて、入口は顔、続くかは一緒にいて楽かどうか。面白いのは、好みの顔が彼女の顔に上書きされると言う人が半分近くいたこと。三年付き合った彼女の顔が、いつの間にか自分のタイプになっていた。そう照れながら話す人もいました。

心理学に単純接触効果という考えがあります。会う回数が増えるほど、好意が上がりやすい。顔の好みも、接触で書き換わる部分があるようです。全員がそうとは言い切れない。ただ、聞いた範囲ではかなり近かった。

長く愛される人がやっていた、小さなこと

リナさんが変えたのは、彼の好きな顔に寄せることではなかった。清潔感と、自分がいちばん機嫌よくいられる服。それと、比較をやめること。

面食いの彼を束縛した人は、見てきた限り関係を縮めています。監視は、相手から顔以外を見る余裕を奪うから。

その点、自分の機嫌を自分で取れる人は強い。顔の話が出ない関係ほど、長く続いていました。

離れたほうがいいサイン

条件はあります。顔以外の部分を全部否定してくる。他の女性と比べて貶す。ただ隣にいるだけで、自分が減点されている気分になる。

この三つが揃うなら、面食いというより、相手が人を飾りとして扱っている。リナさんの彼は一つも当てはまらなかった。それが分かってから、彼女はやっと眠れるようになったとか。

婚活で顔が好みじゃない相手に迷ったら

面食いが婚活で消耗しやすい理由

婚活寄りのイベントを開くと、面食いの人は序盤で疲れます。理由は単純で、顔が好みの相手には人が集まる。競争率が跳ね上がる。

写真で足切りをするから、会う前に候補が減る。会っても減点から始まる。三か月で出会いが尽きたと言って、退会していく人を何人も見送りました。あの時止められなかったのが、今でも悔しい。

顔は慣れるのか、という問い

慣れます。ただし条件付き。生理的に無理ではない相手なら、雰囲気は三回目あたりから変わって見える。声や仕草が顔に混ざって、印象の中身が変わる。

ナオさん、三十四歳は、写真では絶対に選ばなかった相手と結婚しました。結婚式で、今は顔も好きと笑っていたのが忘れられない。

生理的に受け付けない感覚は、時間で消えません。そこは無理をしないでほしい。この二つを混同すると、後悔が生まれます。

妥協と後悔を分ける、五つの問い

判断に迷ったら、五つの問いで自分を確かめてみてください。

肌が触れても嫌ではないか。会話が途切れても気まずくない相手なのか。二回目に会いたいと素直に思えるなら合格。お金と時間の使い方に驚かないこと。生活を一緒に回せそうな見通しがあること。

顔の点数は、この五つの後ろに並べる。五つのうち一つでも明確な違和感があるなら、それは妥協ではなく、単に合わない相手。顔が好みでもやめていい話です。

顔で選んだ人、そうでなかった人のその後

サキさんは見た目が好みの人と結婚しました。今も仲がいい。顔から入っても、会話と生活が続く相手なら何の問題もなかった。

反対に、年齢の焦りだけで決めた人もいます。顔も会話も妥協した相手。結婚後、相手の顔が見られなくなったと相談に来ました。妥協した自覚があるまま結婚すると、その自覚が毎朝、食卓に座る。

顔で決めるか、内面で決めるか、ではないんですよね。自分で選んだと言い切れるかどうか。そこだけが、後悔の分かれ目でした。

ミサキさんは先月、うちのハイキング会で知り合った人と三回目のデートに行きました。顔は、本人いわく六十点。会話は百点らしい。

駅までの五分、今回は違うセリフを聞けました。まだ分かんないけど、今度は焦ってないんだよね、って。

顔で選ぶ癖は、消さなくていい。もう一つ扉を持てば、恋は自然と別の部屋へ続いていく。

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