ボードゲームイベントの片付け中、テーブルの端から聞こえてきた会話が忘れられません。
「インスタ教えてもらってもいいですか?」 「あ、やってないんですよね」
ピシッと空気が張りつめた3秒。声をかけた女性は笑顔のまま止まって、彼はスマホを握ったまま次の言葉を探してる。私は椅子を畳む手を止めて(あー、これ今週3回目だわ…)と心の中でつぶやいてました。
社会人向けのイベントサークルで、SNSをやってない男性をめぐる小さな事件はよく起きますが、相談してくるのは、当の本人より彼らを好きになった女性のほう。
SNSやってない男は本当に恋愛対象外なのか
「インスタ教えて」の3秒後に起きていること
冒頭の彼はユウキさん、31歳の設備系エンジニア。あの後こっそり聞いたら、ぼやいてました。「やってないって言った瞬間、相手の熱が下がるのが分かるんですよ」って。はぁ…と肩を落として。
でもね、声をかけた女性側にも後日話を聞けたんです。彼女の言い分はまるで違った。冷めたんじゃなくて、次の連絡手段がなくなって焦っただけ。インスタは彼女にとって名刺の代わり。まだLINEを聞くほどの距離じゃなかった。だから軽く繋がれる窓口が欲しかっただけなんだって。
白状すると、私も運営を始めた頃に同じことをやりました。参加者の男性に、えっやってないんですか、と素で返して場を凍らせた。
あの沈黙の正体は、拒絶じゃなくて手段の空白。ここを勘違いして自信をなくす男性が、サークルには驚くほどいます。
対象外になる人と、印象が上がる人の分かれ目
同じSNSなしでも、女性の反応が真逆になる二人を見たことがあります。
ひとりは、やってないと答えてそれで終わり。会話もそこで途切れる。もうひとりはタカシさん、34歳の公務員。「写真は撮るんで、今日のボドゲの写真LINEで送りますよ」と間髪入れずに代案を出しました。彼はその日、3人と連絡先を交換して帰っていったんですよ!
もう一つ、印象を落とす型があります。やってない理由を熱く語り出す人。時間の無駄、承認欲求の塊、って言葉が出た瞬間、相手は自分のことを言われた気になる。目の前の女性はたぶん毎日インスタを開いてるんです。やってない、だけで止めておくのが得。
アカウントがないこと自体は減点にならない。結局、代わりの連絡ルートを差し出せるかどうかの差だけ。表紙も帯も剥がされた文庫本を渡されたら、誰だって戸惑う。最初の一ページを読ませてもらえたら、話は変わるでしょ?
割合の話、肌感でよければ
イベントの参加者だと、インスタを動かしてない男性は3人に1人くらい。40代になると一気に増える。女性は年代を問わず、やってない人のほうが少数派。この差があるから、女性はレアだと目を丸くして、男性は自分だけおかしいのかと縮こまる。同じ現象を違う側から見てるだけなんですよね。
ちなみに反応には年代差もある。20代の女性は会話のインフラが丸ごとインスタなので固まりがち。30代後半になると、あ、そうなんだ、で流す人が増えます。
SNSをやらない男性の心理と特徴
理由の大半は面倒くさい、で深い意味はない
イベント後の飲みで、やってない男性たちに理由を聞いて回った夜があります。返ってきた答えは拍子抜けするほど単純。投稿するネタがない、見るだけで疲れる、返信を求められるのがしんどい。ほぼこの三つに収まりました。
ここが女性側の誤解ポイント。相手の生活が見えないと、人は不確実さを埋めるために勝手に物語を作ってしまう。心理学でよく言われる、不確実性低減の欲求ってやつ。情報が少ないほど、推測で穴を埋めたくなる。その推測はなぜか悪い方向へ転がりやすい。実際に聞いてみれば、ただの面倒くさがりがほとんどでした。
ひとりだけ重い理由の人もいました。元カノに投稿を全部監視されて、別れたあとアカウントごと消したという営業職の男性。この手の過去を持つ人は、SNSの話題になると少しだけ声が低くなる。責めずに流してあげてほしい場面です。
見逃したくないケースの見分け方
とはいえ、アカウントがないことを隠れ蓑にしてる人もゼロではない。サークルで起きたのは、28歳の看護師ミサキさんが好きになった男性が、まさか既婚だったケース。彼はSNSなしに加えて三点が揃ってた。LINEの返信が平日の昼だけ。休日の話になると突然曖昧になる。写真は絶対に撮らせない。
SNSなしだけなら気にしなくていい。けれど、連絡の時間帯と休日の話と写真への反応がセットで不自然なら、そこは立ち止まる場所です。確かめ方はシンプルで、日曜の昼に会える?と一度だけ提案してみること。理由を言わずに毎回ずらされるなら、そこで判断していい。詰問しなくても答えは出ます。ミサキさんは後になって(あの時、休日の話を流されたのを引っかかりとして覚えておけば…)と悔やんでました(泣)。
誠実そう、は半分正解
SNSをやらない男性は誠実、という説はよく耳にします。会場で見た限り、半分は当たり。他の女性と繋がる場所が物理的に少ないから、浮気のきっかけそのものが減る。スマホを触る時間も短いから、目の前の人に集中してる人が多いんだよね。
半分外れなのは、SNSをやらないことと誠実さは別物だという点。連絡が飛び抜けてマメだったのは、SNSを三つ掛け持ちしてる男性でした。逆にアカウントなしで、既読無視が三日続くのが平常運転の人もいる。誠実さは返信の中身と約束の守り方で測るもので、アカウントの有無で測るものじゃない。
SNSなしで出会って距離を縮める方法
男性側は、インスタの代わりに見せられるものを持っておく
ユウキさんがあの一件の後にやったことは、笑っちゃうくらい小さい。スマホのアルバムに、趣味のキャンプと自作カレーの写真を10枚ほど並べておいた。「インスタやってないんですけど、代わりにこれ見ます?」って見せる用。それだけ!
なのに次のイベントでは、会話がちゃんと続くようになったんです。自己開示には返報性がある。自分の生活を一枚見せると、相手も自分のことを話しやすくなる。SNSがない人は、この入口を自分の手で用意する必要があるだけ。写真の選び方にもコツがあって、自撮りやジムの鏡越しは避けたほうがいい。料理、風景、飼ってる猫。自慢に見えない生活の断片のほうが、相手は質問しやすい。
正直言って、私は最初この方法を聞いたとき(それ、ダサくない?)って引っかかりました。本人がやってる姿を見たら、あまりに自然で言葉を失った。写真を見せながら話す時間のほうが、画面越しにいいねを押し合うより、はるかに距離が縮まる。見ていてはっきり分かりましたね。
女性側は、LINEを聞く口実を先に作る
インスタがない相手にLINEを聞くのは、確かに一段飛ばしの感覚がある。上手かった女性参加者は、その場で共通の宿題を作る人でした。今日のボードゲームの名前、後で送りますね。あのお店の場所、調べて連絡しますね。こんなふうに用件を先に置く。用件があれば交換はすんなり通るし、断られる怖さも薄まるし。
意外と男性側は、聞かれること自体を喜んでます。SNSがない男性ほど、自分から聞くのが苦手だったりするので。
やめたほうがいいのは、共通の知人をたどってアカウントを掘り当てにいくこと。見つからないと知って鍵垢まで探し回った女性が、後でその話を本人にして引かれてました。見えないものは、見せてもらうまで待つ。
出会いの場は、その場で会話が完結するところを選ぶ
マッチングアプリにはSNS連携を求めるものもある。プロフィールの情報量で勝負する形式は、やってない人には少し不利。趣味の集まりやイベントみたいに、その場で話せる場所だと情報量の差が消える。
アプリで苦戦してイベントに流れてきた男性、少なくないです。話してみれば普通に面白い人が、文字とアイコンだけだと埋もれてしまってた。単純接触効果って言葉があるように、顔を合わせる回数が増えるほど好意は育ちやすい。会う場所を変えただけで動き出した人、何人も見てきました。
SNSやってない彼氏と付き合ってからのリアル
良かったこと、比較地獄から降りられる
イベントで知り合ったカップルに、付き合って一年後に話を聞きに行きました。彼女はアヤカさん、30歳で広告代理店勤務。元カノの影がないのが一番楽だった、と即答!彼の過去の投稿を遡ってひとりで傷つく夜がない。他の女性のいいねを数える癖も消えたらしい。
社会的比較の材料が、そもそも存在しないんですよ。自分の恋愛を他人の恋愛と並べる回数が減っていく。付き合ってからじわじわ効いてくる部分です。彼女は「私、前の彼氏のときSNSで消耗してたんだ」とようやく気づいたそう。
しんどかったこと、喧嘩中に何も見えない
同じアヤカさんがしんどかったと言ったのは、喧嘩の最中。以前ならストーリーで生存確認できたのに、既読がつかない数時間、今は何も見えない。(生きてる?怒ってる?寝てるだけ?)と頭の中で問い続ける。ズーンと沈んだ夜が何度かあったそうです。
面白いのは、彼のほうにはその不安が一切なかったこと。見えないから不安、という考えが頭に浮かびもしない。この温度差を最初にすり合わせておかないと、片方だけが消耗します。
ここは隠しようがなく、SNSのない相手と付き合う代償です。二人が決めたのは、喧嘩しても寝る前に一言だけスタンプを送るルール。中身はなんでもいい。存在の合図さえあれば、想像の暴走は止まる。
投稿したい派との折り合いのつけ方
彼女が投稿したい人だと、もう一つ壁がある。カップル写真を載せたいのに、彼が顔出しを嫌がるパターン。アヤカさんのところは、後ろ姿と手元だけならOK、タグ付けはしない、という線で落ち着いた。彼が譲ったのは、彼女にとって投稿が自己表現の一部だと理解したから。彼女のほうは、顔を出さないことが彼の安心の一部だと分かって引いた。
一方で、彼に断りなく匂わせ投稿を続けて、共通の友人経由でバレて揉めたカップルも見ました。載せるか載せないかより、事前に話したかどうかで、揉め方の重さが段違い。どちらかだけが我慢する形は、長持ちしないんだよなぁ。
結婚相手として見たときの話
30代の婚活層からは、SNSをやらない男性は堅実なのか、という質問をよく受けます。堅実さとアカウントの有無に直接の関係はない。ただ、承認を外に求めない人は、家庭内の評価で満足できやすい。運営目線の実感です。家事をやって誰にも見せずに満足できる人、という言い方が近いかな。
男性側へ一つだけ。婚活のプロフィールにSNSなしを書く必要はない。聞かれたら、写真は撮るけど載せない派です、と一言で済ませるのが角が立たない。
イベント発で結婚まで行ったカップルを数えてみました。男性側がSNSなしのケースが4割ほど。母数が小さいので断言はしないけど、少なくとも不利ではなかった。
片付けのときに言葉に詰まったユウキさん、その後どうなったかは聞けてない。それでも、彼の代案トークを真似する男性が最近サークルで増えてる気がする。つい笑ってしまいました(笑)。SNSのない人は、メニューのない定食屋みたいなもの。初見の客は入りづらいけど、大将に聞けば今日のおすすめが出てくる。聞く側にも出す側にも、ほんの少しの段取りがあれば済む話でした。

コメント